ぐらにる 眠り姫8
きみは、私が落胆していると思っているのだろう? 眠り姫。
それは違う。あのまま、共に暮らしていることも楽しかっただろうが、
いつか、こうなると思っていた。その危険を私は密かに期待していた。
きみが、その眠り姫の心を眠らせて、マイスターで在り続けるというなら、
私は、それを殺すだけだ。
二度と目覚めないなら、それでもいい。
私が眠る時には攫いに行く。
きみが、どんなナイトと一緒だったとしても、
それも叩き伏せて奪うだろう。
それまで、互いに殺しあおう。
きみを苦しめて、私の眠り姫だったことを懐かしいと思えばいい。
また、私も激しい戦いで痛みを感じて、きみが、私の眠り姫だった、あの穏やかな日々を
懐かしもう。
それは、私ときみの共通の記憶で、他の誰にも共有できないものだから。
「ビリー、そろそろ彼らが動き出す。我々も準備を万全にしよう。」
友人に、そう告げた。手紙は、その友人にも内緒だ。
それは、眠り姫が唯一、私にくれた贈り物だから、独占するにやぶさかではない。