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こらぼでほすと 留守番6

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次の日には、子猫たちは、すっかり熱も下がって、咳をえふえふするぐらいになった。それとは、真逆に、親猫のほうは、どんよりした空気を纏わせ始めた。あーやっぱりねぇーと、ハイネが笑顔で、その親猫の首根っこを掴まえると、自分の車に叩きこんで連行した。いつもなら、そのまんま自分が別荘へ運びこむところだが、本日は他の予定が先に入っていた。それも、オーヴからの依頼なんてものだから、ドタキャンできる代物ではない。
「くれぐれも言っておくが、この状態のママニャンに、何かしたら地獄行きだから。」
「俺は、ママに、そこまで命懸けの愛は捧げてないな。」
 で、引き渡したのが鷹だ。そのまま、ハイネはラボで自分のオレンジのMSに乗り込んで発進した。
「・・・・すいません・・・毎回毎回・・・」
 そろそろ、熱が高熱ラインになってきた親猫は、ふらふらと鷹に寄りかかる。はいはい、気にしない、と、鷹は担ぎ上げてラボの医療ルームのほうへ運んだ。すでに、連絡されていた医者も、そこで準備していて、軽く笑っている。
「予想通りだったね、ロックオンくん。」
「予想も何も・・・確定してましたよ。・・・早めに復帰できるようにお願いします。」
「まあ努力はさせてもらう。」
 頼まれた留守番を中途半端にしてきてしまった。一応、アレルヤに、家事の流れとか注意事項なんかは伝えてきたが、あの三人だけ、というのは、非常に不安だ。検査服に着替えていたら、鷹が、とんでもないことを言い出した。
「ママ、ちびどものことは、俺が看てやるから安心しろ。これから、あっちへ遠征して、ハイネの代わりに居候だ。」
「へ? 」
「子供ばっかりじゃ用心悪いからな。じゃっっ。」
「・・いや、鷹さんっっ。」
「俺だけじゃないから大丈夫。マリューも来るからな。」
 鷹は、紫子猫が、いたくお気に入りで、とっても手を出したいなんて思っている危険人物だ。それが、寺へ居候なんて危険極まりない事態だ。だが、そのつれあいも一緒ということなら、大丈夫か、と、熱でボケている親猫は、着替えてベッドに沈み込む。そのつれあいは、現役技術仕官で、日中は留守だということを、すっぽり失念していた。



刹那とティエリアは、ふうと、こたつに潜ってため息をついている。親猫のことは心配だが、ここでの用事を肩代わりしてくれ、と、頼まれたから看病には出向けない。刹那だけでも、と、ティエリアは提案したのだが、風邪ひきの病人が看病できるわけがないだろう、と、ハイネに却下されてしまった。で、子猫二匹は、ぶすっくれて拗ねているのだ。
「ふたりとも、そこで寝ると風邪がぶり返しちゃうよ? 」
 ほら、これを・・と、カーディガンをアレルヤが、肩にかけてくれる。えふえふと咳している子猫たちの看病をしつつ、洗濯だの掃除だのに勤しんでいるアレルヤは、そのぶすっくれている子猫たちの姿に、くすっと笑っている。ようやく、刹那が別行動できるようになったから、こちらで手伝いをさせてくれ、と、ロックオンに命じられた。以前なら、やだっっ、と、しがみついて絶対に離れなかった刹那が、「俺の代わりに、悟空のとこにいてやってくれ。」 と、ロックオンに頼まれたら、ちゃんと頷いたのは、大変な進歩だ。少しずつ精神的に落ち着いてきた証拠でもある。
「えーっと、後は、お風呂だな。」
 昨日、八戒がやってきて打ち合わせして、朝と子猫たちの看病だけすることが、アレルヤの担当になった。悟空も、今はバイトに出ていないから、それ以外は、自分でやれるし、夜の食事は、八戒が担当することになっている。とはいっても、悟空は学校へ通っているのだから、それ以外も、できることはしておこう、と、アレルヤは張り切っている。
「ティエリア、刹那、ホットミルクしようか? 」
「蜂蜜入れてくれ。」
「僕はカフェオレがいい。」
 ぶすっくれているが、一応、食欲も戻って来た。後は、喉が腫れているのが治ったら全快だ。
「きみだけに、用事をさせて申し訳ない。」
 ティエリアが起き上がって、カーディガンに袖を通しつつ、アレルヤに謝る。さすがに、一日、発熱で辛かったから、まだ、元通りに動けないのを謝ってくれている。
「僕は、超兵でよかったと思ったよ、ティエリア。きみたちと同じように風邪をひいたら、ロックオンにすごい迷惑かけてただろうからね。もう少し、身体が楽になったら、刹那と、別荘へ戻って、ロックオンの看病をしてあげてね。こっちは、僕がなんとかするから。」
 どうせ、行けなくて心配で拗ねているのだから、よくなったら、さっさと心配を解消してくればいい。
「ああ、そうさせてもらおう。刹那が、まだ熱があるみたいだから、これが回復したら、ということになるな。」
 横手で、うにょーとこたつで伸びて寝ている刹那は、まだ、なんだかぐったりしている。ティエリアは、いろいろと普通ではない部分があるから、回復も早いのだが、完全に普通の人間である刹那は、そうもいかない。刹那とロックオンは、何度か、外出によってウイルスにやられるだろうと言われていたから、ふたりとも、その部分では心配していたのだ。だから、免疫力が通常値になるまでは、と、外出も許可しなかった。
「しょうがないよね。刹那も、ほとんど外部と接触してなかったんだし、寒さには弱いみたいだから。」
「しかし、そろそろ戻らないとならないんだが・・・・」
「・・・うん・・・」
 こちらに降りて、二ヶ月だ。そろそろ、組織から呼び出しがかかるだろう。マイスターだから、と、いって、これ以上の我侭は認められないだろう。なんせ、降りた理由が、親猫の見舞いと看病なんていう、非常に私的と分類されるものだったからだ。
「刹那だけ残して、僕らが先に戻るのはダメ? 」
「今度からは、全員ではなく、順番に降りれば、ロックオンの管理は可能だな。一ヶ月か二ヶ月交代ということなら。」
 どうにかなるかな、と、ティエリアは提案する。まだ、ロックオンは組織との縁が完全に切れたわけではない。治療さえできれば、マイスターへの復帰もできる。ということで、組織のほうへティエリアが報告した。実際は、それは限りなく不可能に近いだろうことも理解しているが、それでも、やっぱり、たまに親猫の顔を見たいと、刹那だけでなく、ティエリアもアレルヤも思っているからだ。
「三人で、なんとかしなくちゃね。」
「世界情勢の如何による。・・・もし、このまま世界が統一されて穏やかに動いていくのなら、俺たちも動く必要はない。」
「そうなったら、僕らも、『吉祥富貴』に就職かな? 」
「別に、ここに拘らなくても、やりたいことをやればいい。きみが望むものは、なんだ?」
 そう尋ねられて、アレルヤは、ちょっと困った顔をした。戦うために、身体ごと弄られているアレルヤには、普通の望みなんてものを考えたこともなかった。
「できれば、みんなで一緒に働いて暮らしたいかな。それで、こうやって、のんびりとしていられる時間があればいいよ。」
「抽象的だな。もっと、職業についての希望というのは、ないのか? 」
「そういうことなら、ティエリアは、どうなの? 」
作品名:こらぼでほすと 留守番6 作家名:篠義