二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

こらぼでほすと 留守番6

INDEX|2ページ/5ページ|

次のページ前のページ
 

 で、もちろん、ティエリアも、ヴェーダの推奨するプランを遂行するためだけに存在していたから、これからの希望なんてものはない。うーん、と、考えて苦笑した。
「きみと似たようなものだ。社会勉強をさせてもらわないと、どんな職業があるのかさえ、俺にもわからない。」
「じゃあ、いろいろやってみて決めよう。・・・・そういう未来があると思えば、なんだか楽しいし。」
 これから先に、もう一度、戦うことになっても、その後に、そういう楽しい未来があれば、希望になる。世界が変革されるために、未来が戦いのないものであるように、そう望むことすらなかった二人にとって、とても魅力的だ。
「喉が渇いた。」
「あ、ごめん。すぐに、カフェオレを入れるね。・・・刹那は、いいかな。」
 くぴーと寝ている黒子猫は、自分たちの会話すら聞こえないぐらい眠っている。そのまま寝かせておけばいいだろうと、ティエリアが刹那の肩からずり落ちたカーディガンを引き上げてやっている。


 午後近くに、悟浄と八戒がやって来て、昼と夜の食事の準備をしてくれた。子猫たちは、まだ、喉の具合が悪いから、柔らかく煮た中華粥だ。
「あのな、午後から鷹さんが、こっちに来る。それで、今夜、ハイネが戻らないから、そのまんま居座るつもりらしい。」
 サルと純粋培養テロリストたちだけでは、心許ない、ということで、そうなったらしいが、問題点は、ひとつだ。
「ティエリアくんを守ってくださいね、アレルヤくん。あの人、本気で美少年キラーです。」
「あれさえなければ、頼り甲斐のあるおっさんなんだけどなあ。」
 自分たちが、泊まります、と、言ったのだが、仕事が終わってから、こちらに戻ってくる時間を考えたら、空白時間がありすぎるのも事実で、鷹は、本日、予約もないから出勤しないで、こちらにやってくる、と、言われてしまうと、ダメとは拒否できなかったのだ。こういう場合の頼みの虎も、今は宇宙へ上がっているし、ここへ来られるメンバーも限られていて、そんなことになってしまった。
「じゃあ、ロックオンの看病は、誰もいないんですか? 」
 ティエリアを守るのは、自分で十分だが、ロックオンが一人なのだとしたら、そっちのほうが心配だ、と、アレルヤもティエリアも刹那も身を乗り出す。
「いえ、ドクターが看護士も引き連れて来て治療してくれてますから、看護は完璧です。」
 親猫のほうは、専門家である看護士に任せたほうが安全だ。ぐだぐだになっているだけなら、いいのだが、回復するまでは、本格的に看護してもらわないといけない。前回の時も、看護士が付き添っていたので、そちらは、ドクターに任せてある。
「見舞いに行くには、せつニャンの風邪が完治してからにしろよ。そうでないと、ママニャンが動きたがって、意味がないからな。」
 まあ、三日もすれば完治するだろうから、ちょうど、親猫の容態も安定するだろう。
「俺は行かない。」
「「「 え? 」」」
 さっさかと行きたがるだろうと思っていた黒子猫が、そんなことを言い放ったので、全員、びっくりした。
「ロックオンからミッションを引き継いだ。だから、行かない。」
「いいのか? 刹那。」
「おまえが行ってこい、ティエリア。」
 ロックオンは、二度とどこにも一人で行かない、と、刹那と約束してくれた。だから、傍にいる必要はない。ちゃんと、待っていてくれるのだから、頼まれたことを遂行するほうが先決だ、と、刹那は思っている。少し寂しい気もするが、以前ほど、あの姿を探そうと思わなくなった。
「大した進歩だ。」
「約束したから、大丈夫だ。」
 刹那は、何かをロックオンと約束したらしい。それで、不安には感じなくなったのだとしたら、精神的な不安定も解消しているのだろう。ティエリアも、その様子に頬を緩めた。
「じゃあ、僕と刹那で、留守番ミッションは遂行するよ。・・・八戒さん、ロックオンのほうに人手が入用になったら、ティエリアを。」
「ええ、その時は連絡します。」
 もう、あれから半年だ。刹那だって落ち着いたのだろう、と、八戒も微笑む。『吉祥富貴』で保護されている限り、勝手にいなくなるなんてことはない。ここにいれば、刹那たちの宇宙での動向も、すぐにわかるから、ロックオンも離れることはできないからだ。待っているのだとわかれば、心配することもない。


 悟空が帰る頃に、鷹もやってきて、八戒たちと入れ替わりに、寺へ居座った。夕食を食べ終わると、子猫たちは部屋に戻った。アレルヤが、そっちの世話で出向いたので、居間には悟空と鷹だけだ。
「あんま、三蔵と変わんないな。」
 これといって、何をするわけでもなく、こたつで寝転んで、テレビを眺めている鷹に、悟空は素直な感想を漏らす。
「パパなんてもんは、こういうもんだ。ああ、明日、マリューが来るからな、おサルちゃん。昼メシは支度しなくていいぞ。日曜の夕方まで、こちらでママの代わりをしてくれる手筈になってる。」
「マリューさん? へぇー久しぶりに会うなあ。」
 『吉祥富貴』の上得意客であるマリューだが、しばらく、プラントのほうへ仕事で出張していて、来店していなかった。
「おまえさんたちの世話ができるって言ったら、ふたつ返事でノッてきた。」
 寺の留守番のことを伝えたら、「私にも一枚噛ませろ。」 と、言い出した。刹那たちが、仕事に出て来なくなったから、久しぶりに会いたいと、マリューも思っていたのだ。ロックオンの監視の後で、マリューのほうも長期出張に出たから、戻って来た刹那たちに会えていなかった。その長期出張の後の休暇でマリューは、一週間の休みをもらっていて、ただいま絶賛休暇消化中だったのも運が良かったといえよう。
「どっか、出かけるか? 」
「どうかなあ。刹那が、まだ全快してないんだよなあ。」
「くくくく・・・やっぱり、せつニャンは、俺と同じナチュラルなんだな。・・・まあ、ダメなら、ここでのんびりするっていうのも手だ。」
 その時の状況次第にするか、と、鷹も鷹揚に構えている。これといって、何かをしなければならないということはないのだ。とりあえず、あのストーカー対策と留守番が、主な用件だから、難しく考えることはない。さすがに、用心に酒はやめておこうか、ぐらいのことは、鷹も考えている。
「ロックオンさん、どうなの? 」
「午後からの連絡だと、まだ、ほぼ意識不明らしい。二、三日は、そのまんまだろう。ママの場合、回復させるのが大変みたいでな。」
「あ、それ、刹那には言わないでくれ、鷹さん。」
 今は、客間で大人しく寝込んでいる刹那に、心配させるようなことは言いたくない。
「もちろんだ。ママも気にしてたから言わない。」
 子猫たちの様子を、定時連絡してくれ、と、親猫にも頼まれている。今のところ、携帯端末を開くこともないだろうから、鷹も連絡していない。
「それより、三蔵さんは、いつ戻るんだ? 」
「さあ? 後一週間以内には戻ると思うんだけどさ。うちの親父、事務仕事が続くとキレるから、キレたら放り投げてくると思うんだ。その限界が二週間なんだ。」
作品名:こらぼでほすと 留守番6 作家名:篠義