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ただのものかき
ただのものかき
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最高の親友(ライバル)

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ガシイッ!!


リョウ「ぐうっ!!!!」

狼の一撃が龍を捉える。
が――――――

リョウ「ぬんっ!!」


ドゴッ!!


テリー「ぬああっ!!!!」

即座に龍の返しが狼に刺さる。
鼻と鼻がぶつかるくらいの超接近戦で互いに一歩も引かない攻防。
彼ら以外の格闘家なら一撃必倒の攻撃が、うなりをあげて飛び交い続ける。
しかし――――――

テリー「(へへっ…これだ…これが、俺の望んでいたファイトだ!!こんな最高のファイト、簡単に倒れてられるか!!)」

物心ついたときには復讐にその身を焦がし、憎しみのみを糧に戦い続けてきた孤高の復讐者(リベンジャー)。
いつからか、『復讐という目的を果たすため』の過程に過ぎなかったものが――――
自分と同じ、この道でしか生きられない者達との『最高の語らい』となっていた。
そして、目の前に立ちふさがる強敵と、全力を尽くして戦う(かたらう)。
互いの想い、互いの人生、互いの強さを全てさらけ出し、競い合う。
今、自身が認める最高の強者との戦い(かたらい)。
全てをさらけ出し、この最高の相手に目一杯の感謝を持って、この最高の強さを超える。
それまでは、決して倒れない。

リョウ「(ははは…すごい!!こんな…こんな素晴らしい…楽しいファイトになるとは!!負けられない!!そして、倒れるわけにはいかない!!)」

人一倍の優しさを持ちながら、大切な存在のために心を痛めながらも戦わざるを得なかった日々。
戦うことは、『何かを護る』ための手段に過ぎなかった。
それしかなかったがゆえに、心の痛手は日に日に膨れ上がっていった。
しかし、目の前の男と初めて戦った時、初めて戦うことが楽しいと感じることができた。
奪うのではない、傷つけるのでもない――――
ただ、己の全てを持って相手と戦う(かたらう)。
己の全てをさらけ出し、戦うことの楽しさを教えてくれた男に目一杯の感謝を持って、目の前の計り知れない強さを乗り越える。
それまでは、倒れるわけにはいかない。

テリー「ヘヤアッ!!!!」

炎と化した闘気を左拳に纏い、最短距離を一気に振り上げる。


バキイッ!!!!


リョウ「ぐああああっ!!!!」

龍の顎を貫くかのように、天空に跳ね上げる。
そこから、さらに

テリー「ハアッ!!!!」


ズガアッ!!!!


リョウ「ぐうああああああっ!!!!」


炎と化した闘気を纏った右拳が、返しの一撃となって打ち下ろされる。
顎を天に向けられたところに、その一撃が人中に突き刺さる。
クイックバーン。
接近戦でその威力を発揮する、コンビネーション・ブロー。
バーンナックルの重さに速さを加えた、強力無比な必殺技だ。

リョウ「ぐううっ…」

二つの人体急所を的確に打ち抜かれ、リョウの足がふらつく。
頭部を連続で攻撃されたこともあり、脳が揺らされてまともに立っていることも危うい。

テリー「Kick But(キックバット)!!!!」

このチャンスを逃すまいと、身をかがめて体を大きく捻り、その反動を利用して弧を描くように飛び上がり、上から蹴り下ろす。
クラックシュート。
テリーが得意とするキック系の必殺技だ。
一気に畳み掛けようとする狼。
だが――――――

リョウ「させんっ!…虎砲!!!!」


グシャアッ!!!!


テリー「うああああっ!!!!」

弓を引き絞るように身をかがめ、そこから反動で体ごと天空を貫くように拳を繰り出す。
クラックシュートの軌道を捉え、見事にカウンターを成立させる。
虎砲。
極限流空手の技のひとつで、対空迎撃を主とした必殺技だ。
畳み掛けようとしたところに逆にカウンター。
テリーの体が、大きな音を立てて地面に打ち付けられる。

テリー「ぐ、おおおっ…」

クラックシュートの威力をカウンターで倍返しにされたテリー。
だが、震える体を揺らしながらも、なお起き上がってくる。

リョウ「ぐ、ぬうっ…」

しかし、クイックバーンで脳を揺らされたリョウのダメージも大きい。
畳み掛けることもできず、どうにか体勢を整えることに全神経を集中している。

テリー「(ニィ…)ま…まだ…まだ…こんなんじゃ、終われねえ…そうだろ?…『無敵の龍』?」
リョウ「(ニィ…)あ…ああ…こんな最高のファイト、このくらいで終わらせられねえ…なあ?『伝説の狼』?」

互いに定まらない足取りを整える作業の最中。
どちらが先にダメージから立ち直ってくるのか。
しかし、そんな緊迫した場面でも…。
心の底からこの戦いを喜び、楽しんでいる二人。
まだ、戦いは終わらない。



ユリ「す…すごい…すごすぎるよ…二人とも…」

『伝説の狼』と『無敵の龍』の戦い。
それは、まさに凄まじいの一言に尽きる。
リョウは、その優しさがゆえ―――――――
テリーは、その陽気さゆえ――――――
本来持ちえる強さを発揮できる場面に巡りあえることがなかった。
リョウは、生来の優しさがゆえに、無意識のうちにその図抜けた強さに枷(リミット)をかけてしまっていた。
そのため、本人は全力を出しているつもりでも、それはあくまで『競技のうえでの全力』に過ぎなかったのだ。
生物の生存本能に訴えかけるほどの状況にならない限り、その力が解放されることはなかった。


――――――――しかし、今彼の目の前には、その全力を惜しみなく発揮できる存在がいる――――――――


その枷(リミット)を解放したリョウの強さ――――
それは、実の妹であり、同じ極限流の空手家であるユリですら見ることはできなかった。
そして、その強さは、間違いなく全盛期の父をも遥かに凌ぐ――――
文字通り極限流最強の強さであることに相違ない。
テリーは、戦いを『語らう』場としてきたときから、自然とその力に枷(リミット)がかかってしまっていた。
八極聖拳の祖、タン・フー・ルー老師ですら畏怖する、その圧倒的な潜在能力。
いつのまにか『競技のうえでの強さ』としての枷(リミット)が、彼の潜在意識に刷り込まれてしまっていたのだ。


――――――――だが、今目の前にいる相手は、その潜在能力を解放するべき相手――――――――


タン老師、さらにはかのサウスタウンの帝王、ギース・ハワード、その異母弟であるヴォルフガング・クラウザー。
その三人の誰もが驚異に、そして恐怖に感じた余りある潜在能力。
もはや誰しもにとっても未知数となる圧倒的な強さ。
それほどまでの強さと強さが、枷を解き放ち、真っ向からぶつかりあっている。
そんな戦いに、ユリは目を、心を奪われていた。