こらぼでほすと ふぁーすとみっしょん
それは、ソレスタルビーイングが紛争根絶に本格的に乗り出す、ちょいと前の話である
。準備の最終段階で、大々的な宣言はしていないが、細かいミッションをやり始めていた
。マイスターたちの連携やらフォーメーションの訓練をしていた頃である。
そんなソレスタルビーイングのエージェントの許へ、いきなり、本当に、いきなり連絡
が入ったのは、世界で一番有名な「ピンクの妖精」というあだ名の歌姫様だった。
「実は、折り入ってお願いがございます。おひとり、お借りしたい人材がございます。」
いや、あんた、どうして、この連絡先を知っているんだ? ぐらいの段階で驚いている
ことを無視して、いきなり本題に入る辺りが、さすが、天下の歌姫様だ。
「もちろん、タダとは申しませんし、お借りしている方のミッションは、こちらで肩代わ
りもさせていただきます。……うちにあるMS五体と、そのパイロットをミッションにお
使いくださいな。一応、全員、過去にトップエリートを張っていたものばかりです。」
ガンダムマイスターに引けはとりませんよ? と、にっこりと微笑まれてしまっては、
エージェントも、どうとも返事ができない。
「MSとパイロットのデータを送りますから、ご検討ください。これでも不足でしたら、
後何人かは用意させていただますわ。」
と、返事をしないままに、連絡を切られてしまった。
プトレマイオスへエージェントからの連絡が、すぐに入ったものの、一同絶句するしか
ない状態で、ただ、ただ、送られてきたデータを目にする。
「スッスメラギさん、これ、アカツキとかジャスティスとかディスティニーとか…これっ
てっっ。」
「……過去の遺物というか…これ、本当にパイロット込みで貸して貰えるなら、一人くら
い貸し出しても問題はないわよね? 」
そこにあるのは、過去、華々しく活躍していたMSと、そのパイロット当人だというの
だから驚きだ。
大戦の後で、きっちりすっぱりと消息を絶っているメンバーでもある。ついでに、歌姫
からの援助の内容も送られていて、こちらも、願ったり叶ったりの内容だ。
「ところで、誰を貸して欲しいわけ? ティエリア? 」
最後に、貸し出して欲しい人物が書かれている書類に、スメラギも、うっっと唸る。こ
れを持っていかれると、もれなく、おまけもついていくからだ。
「うーん、マイスター二人か……えーっと、それなら、七体貸して貰って……あれ? 一
体が足りない……」
とっても有名なMSだけが、そこには載っていなかった。不殺なのに最強の白のMSだ
。さすがに、ナンバーワンは貸してくれないらしい。まあ、そりゃそうだろう。あの機体
とパイロットは特別製だ。外部に漏らすことではないのは、スメラギも理解している。
「まあ、いいでしょう。期限は一ヶ月なら、あんまり問題はないだろうし。援助と融資は
有難いものね。」
マイスターの人権とかいうものは、まったく無視されて、この提案は了承されたのは、
マイスターには内緒だ。
特殊任務という名目で、貸し出すことに決定した。
プトレマイオスからの返信に、「あらあら」と最強で最恐な「ピンクの妖精」歌姫はこ
ろころと微笑った。
「あちらにも困ったちゃんがいるそうですわよ? ふたり貸し出すからうちのMSは七体
欲しいとの返答です。」
「はあ? 七体? そんなんじゃ母艦代わりの輸送機もいるじゃないか。」
ホストクラブ『吉祥富貴』の共同経営者でもあるカガリは、ラクスが示したMS七体と
その搭乗者名を見てタメイキをついた。軍隊で言うと、ほぼ一個小隊を母艦付きで貸し出
すようなものだ。
「まあまあ、それくらいは譲歩してさしあげねばね。こちらの我儘でもあるのですから。
」
その“我儘”が“有無を言わさぬ絶対的な要求”なのをカガリは敢えて触れない。
「しっかし『ソレスタルビーイング』とは、また物騒な勢力を作り上げたものだ。おい、
オーブ連合は全く関与しないからな? 巻き込むなよ?」
「ほほほ。MS乗りの交換留学生みたいなものじゃありませんの? なにしろお得意様の
お願い事ですものv 叶えてさしあげねばなりませんわ。」
「…ま、あいつらには、MS乗りだってのを思い出してもらえばいいわけだ。」
「そうですわよ。そうそう、カガリもガンダムマイスターがいらしたらぜひお店に顔をお
出しなさいね。どうやら可愛い子ちゃんがくっついてくるそうですよ。」
「はあ? 可愛いのならうちのキラでもう手一杯だ。全く、アスランを貸し出すと知れば
また脅し込みで文句言ってくるだろうからな、気が気じゃないぞ。」
天才ハッカーでもあるカガリの双子の弟は、何か気に入らないことがあるとどういうわ
けだか、カガリへ脅しをかけてくる。
おそらくピンクの歌姫を直接牽制しないようにとの配慮があるのだろう、とキサカはカ
ガリを諭すが、カガリにはそんな政治的手腕うんぬんの前に、ただ単にカガリが歌姫を抑
えられる一番身近な相手だと認めてるにすぎない、と信じている。
だが、そんな《やんちゃな弟》に力の限り甘いと自負しているカガリにとっては、そ
んな脅しも、キラと語らう楽しみのひとつでもあるのだ。
「まあ、その辺りはちゃんと手は打っておきますわ。」
「楽しみですわねv」と歌姫が続けたが、カガリはどうにも返事ができない。しばらく
本気で店には近づかないほうがいいかもしれない、と脳内で鳴るアラームに今回は素直に
従ってみようと思うのだった。なんせ、今回の依頼というのは、店の常連客でラクスの仲
の良い知り合いのたっての頼みだったからだ。普通、友人の誕生日のお祝いというなら、
手に入る贈り物が妥当だろう。ましてや、店を貸し切りにして、ホスト全員に祝ってもら
うのだから、それで十分のはずだ。だが、そのラクスの知り合いは、自分の友人が大好き
な現在活動準備中のテロリストに接待をさせてサプライズさせてやろうと考えたのだ。そ
して、こういう遊びを存分に楽しむのが、『吉祥富貴』の基本である。そのために、わざ
わざ所有しているMSと、そのパイロットを派遣しちゃうぐらいノリもいい。
なんにも知らないガンダムマイスターその一は、書かれたメモを手にして、その場所を
探していた。本来なら、一人でいいのだが、ガンダムマイスターその二が、「やだっっ。
」 と、しがみついてしまったので、ふたりして出てきた。いつもなら、戦術予報士が、
マイスターその二にストップをかけているのに、今回は、「じゃあ、二人でミッションを
遂行してちょうだい。」 と、認めてしまった。
ミッションの内容が知らされないなんて、何事だ? と、その一は抗議したが、「あち
らで、エージェントに尋ねろ。」 の一点張りで、本気で不明なのが、少々気にかかると
ころだ。
「ここか? おい、刹那、下がってろ。」
「やだっっ。」
「後で、ソフトクリーム買ってやるからっっ。だいたい、おまえは、ここ、年齢制限に引
っかかるんじゃないか? あっちのファミレスで待ってろ。」
。準備の最終段階で、大々的な宣言はしていないが、細かいミッションをやり始めていた
。マイスターたちの連携やらフォーメーションの訓練をしていた頃である。
そんなソレスタルビーイングのエージェントの許へ、いきなり、本当に、いきなり連絡
が入ったのは、世界で一番有名な「ピンクの妖精」というあだ名の歌姫様だった。
「実は、折り入ってお願いがございます。おひとり、お借りしたい人材がございます。」
いや、あんた、どうして、この連絡先を知っているんだ? ぐらいの段階で驚いている
ことを無視して、いきなり本題に入る辺りが、さすが、天下の歌姫様だ。
「もちろん、タダとは申しませんし、お借りしている方のミッションは、こちらで肩代わ
りもさせていただきます。……うちにあるMS五体と、そのパイロットをミッションにお
使いくださいな。一応、全員、過去にトップエリートを張っていたものばかりです。」
ガンダムマイスターに引けはとりませんよ? と、にっこりと微笑まれてしまっては、
エージェントも、どうとも返事ができない。
「MSとパイロットのデータを送りますから、ご検討ください。これでも不足でしたら、
後何人かは用意させていただますわ。」
と、返事をしないままに、連絡を切られてしまった。
プトレマイオスへエージェントからの連絡が、すぐに入ったものの、一同絶句するしか
ない状態で、ただ、ただ、送られてきたデータを目にする。
「スッスメラギさん、これ、アカツキとかジャスティスとかディスティニーとか…これっ
てっっ。」
「……過去の遺物というか…これ、本当にパイロット込みで貸して貰えるなら、一人くら
い貸し出しても問題はないわよね? 」
そこにあるのは、過去、華々しく活躍していたMSと、そのパイロット当人だというの
だから驚きだ。
大戦の後で、きっちりすっぱりと消息を絶っているメンバーでもある。ついでに、歌姫
からの援助の内容も送られていて、こちらも、願ったり叶ったりの内容だ。
「ところで、誰を貸して欲しいわけ? ティエリア? 」
最後に、貸し出して欲しい人物が書かれている書類に、スメラギも、うっっと唸る。こ
れを持っていかれると、もれなく、おまけもついていくからだ。
「うーん、マイスター二人か……えーっと、それなら、七体貸して貰って……あれ? 一
体が足りない……」
とっても有名なMSだけが、そこには載っていなかった。不殺なのに最強の白のMSだ
。さすがに、ナンバーワンは貸してくれないらしい。まあ、そりゃそうだろう。あの機体
とパイロットは特別製だ。外部に漏らすことではないのは、スメラギも理解している。
「まあ、いいでしょう。期限は一ヶ月なら、あんまり問題はないだろうし。援助と融資は
有難いものね。」
マイスターの人権とかいうものは、まったく無視されて、この提案は了承されたのは、
マイスターには内緒だ。
特殊任務という名目で、貸し出すことに決定した。
プトレマイオスからの返信に、「あらあら」と最強で最恐な「ピンクの妖精」歌姫はこ
ろころと微笑った。
「あちらにも困ったちゃんがいるそうですわよ? ふたり貸し出すからうちのMSは七体
欲しいとの返答です。」
「はあ? 七体? そんなんじゃ母艦代わりの輸送機もいるじゃないか。」
ホストクラブ『吉祥富貴』の共同経営者でもあるカガリは、ラクスが示したMS七体と
その搭乗者名を見てタメイキをついた。軍隊で言うと、ほぼ一個小隊を母艦付きで貸し出
すようなものだ。
「まあまあ、それくらいは譲歩してさしあげねばね。こちらの我儘でもあるのですから。
」
その“我儘”が“有無を言わさぬ絶対的な要求”なのをカガリは敢えて触れない。
「しっかし『ソレスタルビーイング』とは、また物騒な勢力を作り上げたものだ。おい、
オーブ連合は全く関与しないからな? 巻き込むなよ?」
「ほほほ。MS乗りの交換留学生みたいなものじゃありませんの? なにしろお得意様の
お願い事ですものv 叶えてさしあげねばなりませんわ。」
「…ま、あいつらには、MS乗りだってのを思い出してもらえばいいわけだ。」
「そうですわよ。そうそう、カガリもガンダムマイスターがいらしたらぜひお店に顔をお
出しなさいね。どうやら可愛い子ちゃんがくっついてくるそうですよ。」
「はあ? 可愛いのならうちのキラでもう手一杯だ。全く、アスランを貸し出すと知れば
また脅し込みで文句言ってくるだろうからな、気が気じゃないぞ。」
天才ハッカーでもあるカガリの双子の弟は、何か気に入らないことがあるとどういうわ
けだか、カガリへ脅しをかけてくる。
おそらくピンクの歌姫を直接牽制しないようにとの配慮があるのだろう、とキサカはカ
ガリを諭すが、カガリにはそんな政治的手腕うんぬんの前に、ただ単にカガリが歌姫を抑
えられる一番身近な相手だと認めてるにすぎない、と信じている。
だが、そんな《やんちゃな弟》に力の限り甘いと自負しているカガリにとっては、そ
んな脅しも、キラと語らう楽しみのひとつでもあるのだ。
「まあ、その辺りはちゃんと手は打っておきますわ。」
「楽しみですわねv」と歌姫が続けたが、カガリはどうにも返事ができない。しばらく
本気で店には近づかないほうがいいかもしれない、と脳内で鳴るアラームに今回は素直に
従ってみようと思うのだった。なんせ、今回の依頼というのは、店の常連客でラクスの仲
の良い知り合いのたっての頼みだったからだ。普通、友人の誕生日のお祝いというなら、
手に入る贈り物が妥当だろう。ましてや、店を貸し切りにして、ホスト全員に祝ってもら
うのだから、それで十分のはずだ。だが、そのラクスの知り合いは、自分の友人が大好き
な現在活動準備中のテロリストに接待をさせてサプライズさせてやろうと考えたのだ。そ
して、こういう遊びを存分に楽しむのが、『吉祥富貴』の基本である。そのために、わざ
わざ所有しているMSと、そのパイロットを派遣しちゃうぐらいノリもいい。
なんにも知らないガンダムマイスターその一は、書かれたメモを手にして、その場所を
探していた。本来なら、一人でいいのだが、ガンダムマイスターその二が、「やだっっ。
」 と、しがみついてしまったので、ふたりして出てきた。いつもなら、戦術予報士が、
マイスターその二にストップをかけているのに、今回は、「じゃあ、二人でミッションを
遂行してちょうだい。」 と、認めてしまった。
ミッションの内容が知らされないなんて、何事だ? と、その一は抗議したが、「あち
らで、エージェントに尋ねろ。」 の一点張りで、本気で不明なのが、少々気にかかると
ころだ。
「ここか? おい、刹那、下がってろ。」
「やだっっ。」
「後で、ソフトクリーム買ってやるからっっ。だいたい、おまえは、ここ、年齢制限に引
っかかるんじゃないか? あっちのファミレスで待ってろ。」
作品名:こらぼでほすと ふぁーすとみっしょん 作家名:篠義