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こらぼでほすと ふぁーすとみっしょん

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「やだっっ。」

 いや、もう、このミッションの話が出てからというもの、常時、このように、刹那がへ

ばりついている。マイスターその二の刹那の野生の勘に、何かがひっかかっているらしく

、マイスターその一のロックオンの傍から離れようとしないのだ。ハロに、「アマエンボ

ーアマエンボー」 と、バカにされても離れなかった。
 だが、そこは、どう見ても、水商売のクラブか何かなわけで、年齢的に、どう考えても

刹那は入れなさそうなところだ。水商売なんて、未成年は出入り禁止のはずだ。近くに、

ファミレスが見えているから、そこででも待機させておきたいのだが、頑として拒否らし

くベストの端を掴んで睨んでいる状態だ。言い争いの小競り合いは終わらない。

 扉の前で、ゴタゴタと揉めていたら、中から開いて、紫の瞳に亜麻色の髪の青年が、ひ

ょっこりと顔を出した。
「うわぁーいらっしゃーい。……ラクス、ロックオンさんが来たよーー。」
 おまえも年齢制限に引っかかってないか? というような青年は、挨拶してから、背後

へ声をかけた。
 いそいそと現れたのは、ピンクの妖精だ。さすがに、その顔は宇宙規模で有名だから、

マイスターたちも知っている。
「まあ、かわいいペットも、お連れくださいましたのね? 」
 腰の辺りにへばりついている刹那の頭を、歌姫が撫でようとすると、
「触るなっっ。」
 と、刹那は、ロックオンの背中に隠れる。
  まさに、威嚇する猫のように、歌姫を睨んでいるのだが、気にした様子もない。
「あらあら、人見知りですか? キラ、この可愛いペットちゃんに、何か甘いものでも用

意してもらいましょう。さあ、どうぞ、ロックオン。」
「いや、あんたが、エージェントなのか? ラクス・クラインだよな? 」
「はい、あなたをお借りしたくて連絡を差し上げました。」
「え? 」
「今月、どうしても、あなたとキラを侍らせてお祝いをしたい相手がいると、私の友人が

申しましてね。それで、一ヶ月、あなたを借りることになったんですわ。ほほほほ。」

     ……聞いてないし………売られてるし…………

  ミッションじゃなくて、ただのバイトなのでは…と、ロックオンも背後にへばりつい

ている刹那も気づいた。どうやら、出稼ぎらしい。
「ついでに、刹那が来るとは思いませんでしたわ。ふふふふ……一ヶ月もあれば、懐くの

かしら? 」
「ラクス様、そういう話は、中でしてください。」

 ここは往来ですよ? と、奥から現れたのは、翠の瞳の涼しげな印象の男だ。
「ようこそ、吉祥富貴へ。ロックオン。…僕は、臨時フロアマネージャーの猪八戒と申し

ます。詳しい話は、中で。さあ、どうぞ。」
「もしかして、ものすごく、俺、ドナドナされてんじゃないのか? 」
 そう呟きつつ、ロックオンも中へ入る。ついでに、へばりついている刹那も一緒だ。
  
 中へはいると、いかにも重厚なクラブの雰囲気だが、人気はない。
「とりあえず、チョコ食べる? 」
 背後にへばりついている刹那に、紫の瞳の青年が、高価そうな箱に入ったチョコを差し

出した。
 ちょろーっと、刹那の手が動いたが、ぺしりと、ロックオンが叩き落とす。
「まだ、ダメだ、刹那。ちゃんと、話を聞いてからだ。」
 なんだか、わからないけど、ものすごく面倒な出稼ぎなのではないだろうか、と、ロッ

クオンは溜息を吐いて、案内されるソファへと足を向けた。



 キラは刹那を知っている。もちろん、会うのは初めてだが、映像としては見ている。ソ

レスタルビーイングの存在に気付いたキラが、その組織を調べていた時に、そこの映像に

あったからだ。年齢は、キラより少し下で、マイスターとして登録されていた。つまり、

刹那は、これからMSでテロ活動をするということだ。戦うことを自ら志願したから、こ

んな組織にいるのだろうが、それでも、過去の自分と重ねて親近感が湧いた。いつか、刹

那に会えたら、言いたいと思ったことがあった。

「僕らは、きみの敵じゃない。」

 その一言を伝えたかった。ただの破壊しかしないテロリストなら、そんなことは言わな

い。ソレスタルビーイングの活動理念を確認して、それなら、と思ったからだ。キラが願

うのも戦いのない世界だ。ただ、それは、独裁的な政治で作り出されるような平和な世界

ではなく、戦い自体を無くした世界だ。だから、ソレスタルビーイングの活動理念は矛盾

はあるものの、キラには納得の行くものだった。それに参加している刹那にエールを送り

たいと思ってもいた。困難で達成が不可能に近いことをやろうとしている刹那に、僕らも

陰ながら賛同しているよ、と、元気付けてあげたかったのだ。親友の悟空にも、その話を

したら、いつか会えたら、そう炒ってろうな? と、こちらも頷いた。悟空自身は、人間

界の戦いに参加することはできないが、それでもキラのやることには賛同してくれている

。箱庭みたいに小さな世界の平和を維持するキラとラクスに、エールを送り続けてくれて

いる。それが力になると、キラは知っているから、これから戦いに身を投じる刹那にも知

っていて欲しい、と、思っている。


 店のソファに、全員が座り話が始まる。単独ミッションとのことだったが、実際は、一

ヶ月の出稼ぎである。
「ホスト? 」
「はい、一ヶ月、ホストをやっていただきます。最初は研修期間ということで、ヘルプの

見習いをしていただきますが、一ヵ月後に正式にホストとしてお客様の接待をしていただ

きます。」
 何がどうなったら、テロリストがホストのバイトをやらにゃいかんのだ? と、ロック

オンは首を傾げる。まあ、人生裏道街道まっしぐらのロックオンは、こういう水商売も経

験がある。やれないことはないが、これがミッションというのが疑問だ。
「まあ、そう難しく考えないで、ワーキングホリデーぐらいの感覚でいらっしゃってくだ

さい、ロックオンさん。」
 もう来てしまったものは仕方がない。組織からミッションだと指示されているので拒否

権もないのだから、大人しく了承するほかはない。宿泊は、近くのホテルに用意してある

こと、制服は貸与されること、とりあえずは、裏方の事務仕事の手伝いから、ということ

で説明が終わった。
「はい、もう食べてもいいよね? 」
 キラは、先程のチョコレートの箱を差し出す。刹那は、それとロックオンの顔を見比べ

ている。こういうしつけは厳しいらしい。
「ロックオンさん、もういいでしょ? 」
 代わりにキラが尋ねると、「ああ。」 という返事が戻って来たので、「さあ、どうぞ

。」 と、差し出す。キラよりも、一回りくらい小さい身体の刹那は、箱に手を伸ばした

。そういや、僕も、こんなだったなあ、と、しみじみと、自分の時のことを思い出してい

た。何もわからないままに、戦いに巻き込まれておかしくなりそうなほど痛めつけられた

。その当時のことは、今でも、少し苦いものがある。
「よおう、キラ。刹那は降りてきたか? 」
 そこへ裏からやってきたのは、悟空だ。ここで待ち合わせをしていた。どうせなら、俺