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こらぼでほすと 留守番7

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「おまえというやつは・・・・・」
 歌姫様のプラント遠征に付き合っていた虎は、けほけほと咳をして出迎えた親猫に、呆れたように言い放った。ちょっと目を放した隙に風邪をひいているのだから、説教したくなるというものだ。
「あ、いや、これは・・・」
「おまえがついていながら、何を怠った? ティエリア。」
 横には、きっちりと紫子猫がへばりついているので、そちらを叱る。完璧な管理をしているはずだからだ。
「すまない、俺と刹那の風邪を移した。」
「なに? 」
「だから、虎さん。大したことじゃねぇーから。こいつらだって、街で移されてきてわかんなかったんだよ。」
「隊長、こんなところで話していると、ロックオンの具合が悪くなりますよ。ひとまず、別荘にあがりましょう。」
 格納庫とラボを繋ぐ通路には空調なんてものはない。こんな寒いところで説教なんかしている場合じゃない、と、ダコスタが機転を利かせる。確かに、そうだな、と、応じて、歩き出した。
「俺が、エターナルでプラントに行く前に決まった留守番は、どうなった? 」
「それが・・・まだ終わってなくて・・・今、アレルヤと刹那が行ってくれてます。」
 それはいいのだ。それは。問題点は、別にある。そこに説明が行き着くと、虎ですら呆れた声を出した。
「もういっそのこと、やってしまえ。いちいち、接触されたらたまらん。」
「一応、悟浄さんたちが半殺しにして捨てました。」
「それぐらいで懲りるわけがないだろう。」
「えーまあ、アレルヤと悟空がいるので、刹那のほうは安全だと思います。」
「・・・ったく、厄介なヤツに見初められたもんだ。そっちは、俺も参加するから、おまえは大人しく寝ていろ。いいな? 」
 はい、と、大人しく頷く性格ではないので、虎も返事は期待していない。管理している紫子猫に視線で頼んでおく。紫子猫のほうも、こくっと了承のサインを送ってきた。
 とりあえず、本日と明日は休みだから、家のほうへ虎もダコスタも引き上げた。まだ、こちらでの情報を貰っていないので、そちらは、八戒のほうへ確認すればいい。まだ、しつこく追い駆けてくるようだったら、本格的に対処も考えるべきだろう。


 虎たちが引き取ってから、部屋で二人になると、ソファへ親猫は伸びた。まだ、ちょっと発熱が残っているから、疲れるのも早いらしい。
「こんなところで寝ないで、ベッドへ行け。」
 ティエリアが注意しつつ、ペットボトルの水を渡す。
「いや、話の最中に寝てしまわないように、ここで聞く。」
「なんの話だ? 」
「そろそろ、タイムリミットだろ? 戻る算段をしておかないとな。それを決めたら、アスランたちにトレインの予約とかしてもらわないといけないから、ここでやっちまおうぜ、ティエリア。」
 二ヶ月も過ぎたら、休暇も終わる。あちらは、今、建て直しで大変な時だし、いつまでもマイスターが勝手をしていていいわけではない。たぶん、言い出せなくて、ティエリアも困っているのだろうと感じていた。たまに、視線を外してため息なんかつかれたら、ロックオンにはわかることだ。
「べっ別に、あなたに決めてもらわなくても。」
「一応、まだ、俺がリーダーだ。ま、実際はリタイヤしてるけどな。」
「あなたは、そのうち復帰できる。だから、そのままで、いい、と、俺は思っている。」
「なら、俺の指揮権って有効だろ? 近日中に、向こうに帰れ。トレインの予約と、CBとの連絡が取れたら、すぐに実行だ。ティエリア。」
「だがっっ、あなたが。」
「俺? 俺は、別に、このままだ。どうもしねぇーよ。ここで、おまえさんたちの無事を祈って待ってる。それしかできないのが、申し訳ないんだが、今のところは、それで精一杯だ。」
 具合が悪いのに、一人にしておけない、と、ティエリアは反論するが、そんなもの今更だ、と、ロックオンは笑い飛ばした。どうしても、ちょっとしたことで体調が崩れるのは、どうしようもない。それで、一々心配していたら、ティエリアたちは、どこにも行けなくなってしまう。これから世界が統一されていく上で、どんなことが起こるのか、よくわからない。何がしかの歪みが生じたら、また、CBは活動する。それまでに完全に組織は建て直さなければならないのだ。
「わかっている。まだ、新しいMSも設計すら終わっていない。情報網やドッグの修理も完全ではない。今、やらなければならないことが多いのも理解している。だが、それでも、俺は、あなたを一人にするのが不安なんだ。」
「一人になったからって死ねるわけがないぞ? 今の俺は、正式に『吉祥富貴』のスタッフになっちまったからな。所属している限り、おまえらのために何があっても生かされるだろうから。」
 刹那が悲しい気持ちにならないように、その願いによって、死んでいたはずの自分は、ここで生き返らされた。それは、ティエリアやアレルヤについても、そうだ。全部が終わって、刹那が戻って来るまで、絶対に自分は生かされるだろう。そして、刹那が戻って来るために生き延びようとするから、待っていてやろうと自分でも決めた。
「・・・ロックオン・・・」
「おまえさんも死ねないことは覚悟しておけ。刹那が悲しまないために、キラが全員の確保が必要だと判断した。だから、何かあっても、守られるはずだ。だからといって、無茶していいってわけじゃないからな。」
 ティエリアは、死ぬつもりで太陽炉を切り離した。後で聞いたロックオンは、それが自分のせいだと、後悔した。自分が帰らなかったから、ティエリアも同じ事をしたのだ。だから、それは戒める。これで十分だ、なんて思わせない。必ず帰らなければいけないのだと、真剣にティエリアを睨んで、それを伝える。ティエリアも、それはわかったのか、ちょっと頬を歪めた。ヒルダにも叱られたことだ。生き残るために、最後まで足掻けと言われた。それを今は実感している。あそこで助けてもらえたから、生きているロックオンと会えたのだ。あのまま眠ったら、自分はロックオンが生きていたことすら知らないままだった。今度は間違えない、と、ティエリアも真剣な瞳で頷いた。
「刹那だけ残らせようと思っている。先に俺とアレルヤだけ帰るつもりだった。」
「いや、刹那も連れて行け。あの変態に追い駆けられるぐらいなら、さっさと組織へ戻ったほうが安全だ。」
 そう言われればそうだ。あの寺に滞在している限り、あの変態ストーカーに追い駆けられる危険はある。組織へ戻ってしまえば、行方は追われる心配はない。もう戻って来れないわけではない。
「了解だ、ロックオン。近日中に組織に戻る。アスランとの打ち合わせは、俺がやらせてもらうから、あなたはベッドへ行け。」
 話は終わった、と、ティエリアが立ち上がり、親猫の腕を引っ張って起こす。へらへらと笑いつつ、親猫も起き上がる。
「できたら三日ぐらい後がいいな。そしたら、おまえさんたちの見送りに、俺も行けるだろうからさ。・・・ティエリア、たまには降りて来て、顔は見せてくれよ。」
「俺は重力は苦手だ。だが、あなたが、そう頼むなら降りてこないこともない。」
「おう、よろしく頼むわ。」
作品名:こらぼでほすと 留守番7 作家名:篠義