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こらぼでほすと 留守番7

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 ティエリアにとって、ロックオンは、人間らしさを教えてくれた相手だ。何かで迷ったりしたら、たぶん、親猫に教えを請いたいと思う。それを見透かしたように言われて、紫子猫らしくなく苦笑した。


 キラたちが、寺へ金曜日の深夜に帰った。そこから、土日は、こちらに滞在する。土曜日の朝から、歌姫様が唐突に現れたが、それも、ご愛嬌というものだろう。
「この休みは、こちらでゆっくりさせていただこうと思います。」
「だが、ラクス。ここに、って・・・泊まるところがないぞ? 」
 アスランは、朝から押しかけてきて、キラにべったりとくっついている歌姫様に、そう言う。客間はアレルヤと刹那と悟空が、脇部屋のひとつは、自分たちが使っている。もうひとつはハイネが使っているので、ラクスだけなら、脇部屋をひとつ空けて事足りるが、護衛のヒルダたちの泊まる場所がない。
「雑魚寝でよろしいじゃありませんか? アスラン。私くし、キラと一緒に寝ますから、あなたとハイネは、アレルヤたちのところ。そして、ヒルダさんたちは、もうひとつの脇部屋ではいけませんか? 」
「あのな、ラクス。いくらなんでも、三人は無理だ。それに、ヒルダさんは女性で、マーズさんとヘルベルトさんは男性だ。雑魚寝の限度を越えているだろう? 寝るのは本宅でいいじゃないか。」
 いくら脇部屋が、そこそこの広さがあるといっても、巨体の二人と、ヒルダでは、一部屋では狭すぎる。それに、一応、ヒルダは女性だ。最低限のエチケットというものがある。 
「まあ、あたしは別に構わないけどさ。寝返りで潰されるのは勘弁だね。」
「おい、ヒルダ。それを言うなら、おまえの蹴りが問題だと思うがね? 」
「違いない。おまえのは強烈だぞ? 俺は血反吐を吐くかと思ったね。」
「あんたら、レディに対して、それは失礼だと弁えたら、どうなんだい? だいたい、あたしの蹴りなんかで血反吐吐くたぁーへたれてるだろ? 」
 戦場では、男女なんて関係がない。チームだから、同室だったこともある。だから、一々、気にしていないが、それでも、寝相が悪いなんて言われたら、ヒルダも怒る。
「悟空みたいだね? ヒルダさん。刹那が、この間、蹴られて痣を作ったんだよ。」
「ちょっと、キラ坊や、聞き捨てならないことをお言いだね。」
 悪気はない。むしろ、天然ゆえの暴言だ。だから、ヒルダも本気ではないが、一応、マナー違反だ、と、キラのホッペを軽く引っ張る。
「まあまあ、ヒルダさん。ここは、私に免じてお許しくださいな。・・・しょうがありませんね。泊まるのは諦めます。」
 この調子だと、泊まるのは難しいと、歌姫様も判断した。だが、キラを手放すつもりはない。
「アスラン、キラは私と本宅へ泊まります。それだけは譲れません。」
「まあ、それは認めましょう。」
 いつものことだから、アスランも簡単に折れる。月に何度かしか会えないのだから、会ったら一緒に居たいというのが、歌姫様のささやかな希望だ。それまで認めないほど、アスランも狭量ではない。
「ラクス、境内でバーベキューしない? この季節なら火があっても暑くないし、焚き火で焼き芋とかしても楽しいよ? 」
「あら、それは楽しそうですわね、キラ。早速、手配させますわ。悟空、境内で焚き火は問題ありませんの? 」
「おう、大丈夫だよ、歌姫さん。俺、それなら肉を目一杯食いたい。」
「わかりました。用意させましょう。刹那は希望はありませんの?」
 だが、バーベキューとはなんぞや? 辺りで刹那は、停滞しているので、希望と言われてもわからない。
「えーっとね、刹那。バーベキューっていうのは、庭で火を熾して、好きなものを焼いて食べることなんだ。だから、食べたいものはないのか? って、ラクスは聞いてるんだ。」
 そこをフォローするのは、アスランだ。説明されて、そういうことか、と、刹那も頷いた。
「りんごを焼くとうまい。」
「わかりました。りんごですね。アレルヤとハレルヤは? 」
「僕らは希望はありません。というか、何を焼くのか、よくわからないから。」
 さらに、超兵様になると、その料理法自体が、どんなものか想像もつかないなんてことになってくる。そりゃ、宇宙でバーベキューはやらないだろう。それなら、いろいろと用意させるので、食べられるものを楽しんでください、と、歌姫様は携帯端末で、本宅へ連絡を入れた。
 


 いつもより遅く起きたハイネは、外から流れてくる匂いに、はっと、飛び起きた。肉を焼く香ばしい匂いはいいのだが、それと共に、木の燃える匂いもする。何事だよ、と、脇部屋の障子を派手に開いたら、境内には人が、たくさんいた。
「遅いぞ、ハイネ。今日の昼飯は、これだからっっ。食いっぱぐれたら何もないぞ。」
 ハイネを目に留めたアスランが、そう叫ぶ。すでに、バーベキューは佳境だ。悟空が、歌姫様が手配してくれたスタッフたちが焼いてくれている肉を、片っ端から胃袋に収めている。刹那とアレルヤは、網に載せられている、いろんなものを、おっかなびっくり試している。キラに至っては、境内に設置されたテーブルで魚の骨を歌姫様に取ってもらって食べさせてもらっていたりする。
「なんなんだよ、これは。」
 食いっぱぐれたら、何もないと言われて、ハイネも境内へ降りてくる。まだ、ヒゲも剃っていない素のまんまだ。
「キラがバーベキューをすると言った。」
 アスランも、皿に載せた鳥の足を豪快に齧っている。
「歌姫様におねだりしたのか・・・相変わらず、とんでもない。」
「そう言うもんじゃないよ、ハイネ。こんなこと、滅多にできないんだから、楽しめばいいのさ。」
 ヒルダも楽しそうに、串に刺さった野菜と肉のコンビを手にして笑っている。普通は夏にするものだが、ちゃんと防寒も考えられていて、あっちこっちに、大型のヒーターが設置され、焚き火も起こされている。焚き火には、ダッチオーブンが仕掛けられているところをみると、そちらで煮込み料理も作っている様子だ。
「このメンバーで食い切れるのか? 」
「まあ、なんとかなるさ。マーズさんとヘルベルトさんもいるし、悟空がすごいからな。」
 その悟空に視線を向けると、がつがつと肉を食べているところだ。それも、相当なスピードで、網の上の肉が無くなっていく。焼いているスタッフが追いつかないほど早い。
「うわぁーすげぇー。」
「だろ? だから、早く食べたいものを確保したほうがいいぞ。」
 一応、悟空の分は、悟空専用の網で焼かれていて、他のものは、別のところに設置された網に用意はされている。そちらには、刹那たちがいて、今は、野菜とエビのコンビを齧っている。
 そちらへハイネも合流して、食べ始めると、アスランの携帯端末が鳴った。相手を確認すると、その場から離れて話し始めた。相手は、別荘の紫子猫で、トレインの予約をしてほしい、という頼みだった。
「それ、刹那たちは知っているのか? ・・・・ああ、うん・・・わかった。じゃあ、今夜にでも合流するか? ・・・ああ・・・」
作品名:こらぼでほすと 留守番7 作家名:篠義