爆弾仕掛けのレプリカ
今にも笑い出しそうになるのをこらえながら、臨也は努めて優しげに「大丈夫。セルティには内緒にしといてあげるから」と言って、恭しく帝人を抱きしめた。頼りなく骨ばった、細い身体。ただ、この身体は計り知れない起爆剤を抱えている。
あやすように、震える帝人の背中を優しく叩きながら、臨也は机の上で消し炭となったレプリカの首を見て猫のように笑った。
愚かな子供だと、臨也は思う。
いや、愚かだからこそ、愛おしいのかもしれない。
崖ぎりぎりに立たされた少年が起こす行動を、臨也は楽しみに思う。ここまでぎりぎりにたたせると、もう足を滑らせ落ちるか、臨也が落とすか、自ら落ちるかのどれかだろうが。
そう思う折原臨也は気付かない。
抱きしめた少年が、本棚を見やり、薄く笑っていることに。
落とそうと背中を押した手を掴まれ、道連れにされる可能性に。
作品名:爆弾仕掛けのレプリカ 作家名:小雲エイチ