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THW小説⑤ ~全て遠き理想郷~

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注意書き:
前作4.8「イロノナイセカイ」の設定を少し引き継いでいます。
個人の妄想です。
実在する人物,出来事とは直接関係するものではありません。
というか,むしろもう全く別物と考えてください。捏造です。
苦情は受け付けたくありません。各個人の自己責任にて,お願いします。

以下の設定項目が耐えられない方は,読まない方が賢明です。
今回,多分大丈夫です。健全です。

①実際にあった出来事を元に,実在の人物らしき人たちがなにやらやっている。
②腐要素がない。
③くすぐったい思いをするのが嫌だ。
④シリアス。
⑤戦闘シーンが苦手だ。
⑥その他いろいろイタイ内容。


大丈夫な方のみ,どうぞ。


〜全て遠き理想郷〜


埼玉攻特隊の傘下にあるSSW(埼玉ストライクワイバーンズ)に入って,数日後。
この,SSWは,作戦を遂行する為に編成された,特別部隊だ。
したがって,作戦の回数も,攻特隊の何倍,という数になる。
今日も,ザビ指揮下の元,作戦が繰り広げられている。
だが,今日は,いささか様子が違っていた。
「うあああっ!!」
向こうで,また仲間の悲鳴が聞こえる。
「ぐっ・・・!」
俺は,魚屋と背中を合わせて戦いつつ,歯を食いしばる。
俺は相当焦っていた。
どう見ても,埼玉が劣勢だ。
さっきから,仲間がバタバタと倒れているのがわかる。
助けに行きたいが・・・!
こちらも,自分たちの敵に囲まれて精一杯だった。
「ぐあっ!!」
後ろで,魚屋の悲鳴が聞こえる。
「魚屋!!!」
バッと振り向くと,魚屋が右肩をおさえて,片膝をついている。
そこに,襲い掛かる無数の剣。
ガキィンッ!!
魚屋の前に踊り出た俺は,刀でそれを全て受け止める。
「ぐうっ・・・!」
流石に,一人で受け止めるには,人数が多すぎる。
ミシッ,と足元が,大勢の人数の力を受けて,沈んでいく。
「あ,兄貴!!後ろっ!」
魚屋の声に反射的に刀で敵をなぎ払い,後ろの敵に振り向いて,また刀で攻撃を受け止める。
「あ・・・・!!」
何故か,ギクリとしている,魚屋の顔を見る。
「兄貴,眼の色・・・!!」
(やべぇ,紅になりかけてんじゃんよ!2000人斬りの噂は本当だったのか!)

??
魚屋がなんで驚いているのかわからない。

その時。
ザビのひときわ大きな声が,インカムから聞こえてきた。
「あきらめ肝心!撤退!全員,生きて還ることだけ考えろ!」
「ほら,還るぞ,兄貴!」
魚屋に腕をひっぱられ,その場からダッシュで離れる。
「兄貴,俺の傷なら大丈夫だから!撤退命令だ!」
「待て・・!まだ・・・!」
俺は,周りを瞬時に見渡す。
まだ,倒れている仲間が大勢・・・・!!
俺は倒れている仲間を回収しに向かった。
バッと魚屋の腕をふりほどく。
「兄貴・・・!」
背後で,魚屋の悲痛な叫びが聞こえた気がした。


*********************************************


倒れている仲間の所にかけより,何人か助け起こす。
「早く逃げるんだ!」
途中で敵から攻撃を喰らうが,構いやしない。
倒れているツインテールの少女を見つけ,近づいて抱き起す。
「大丈夫か?なんとか本部まで還るんだ・・・!」

その時。
ドスッ
背中に鈍痛が走った。
熱い。
「ぐっ・・・・!」
鉄の味が口の中に広がる。
口の中では抑えきれず,グブッと血を吐き出す。
「あ・・・」
ピピッと自分の血が少女の頬に飛んだ。
少女の眼が見開かれる。

ザシュッ
続けて右肩が斬られる。
もんどりうってゴロゴロと地面を転がった。
「ぐあっ!」
激痛が肩に走る。
「とどめだ。」
さらに刀が振り下ろされようとする。
「くっそ・・!!」
ここまでか・・・・!!
月明かりに隠れて,敵の顔はわからない。

俺の一生って,意外とはかないもんなんだな。

そんなことを思った時。
目の前が真白くスパークする。
雷撃によって黒焦げになり,動かなくなる敵。
「あ・・・ザビ・・・」
無表情のザビが俺に近づいてくる。
何故,ザビがこんなとこにいるんだ?
俺は,場違いにも,そんなことを思った。
「お前・・・なんでこんなとこまで下がってるんだ。先に,行かないと・・・」
ザッ
何も言わず俺の目の前に立つザビ。
その顔は,本当に無表情だった。
なんだ?どうした?
そう思った瞬間。
ガンッ!
俺はザビが振り上げたゴルフクラブに,思いっきり後頭部を殴られた・・・


**************************************


「隊長・・・!ちょっと・・・!」
碧風が助けようとしていた少女 ―はるく― が声をあげる。
「碧風さんは,私を助けてくれようとしていただけなんです・・・!なにも・・こんな・・・」
目の前には,届かぬ存在と思っていた隊長がいる。
だが,あまりの出来事に,はるくは,思わず異議を唱えてしまった。
そんな様子を気にもせず,また無表情にザビは言葉をかける。
「はるく,お前,歩けるか?」
「あ・・・ハイ・・・なんとか・・」
「よし,戻るぞ。」
そう言ってザビは,自分よりも一回り大きな碧風を軽々とかついで歩き出す。
はるくは慌てて,ザビの後ろについて,本部を目指した。


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