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こらぼでほすと 来襲1

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 食事して、じゃあ、ちょっとブラブラしてくるわ、と、スメラギが出て行った。二時間ほど昼寝して、家事をしていると悟空が帰って来る。いつものように、おやつを提供して、出かけた三蔵について報告する。
「ふーん、じゃあ、あっちで合流か。」
 もごもごと特大のオムライスを食べている悟空は頷く。
「それと、俺も一緒に出勤するからさ。時間は、開店時間ぐらいでもいいかな?」
「はあ? ロックオンさん? 」
「今日、うちの組織の戦術予報士が訪ねて来て、吉祥富貴でもてなせって言われたんだよ。そのうち、戻って来るから、その人を案内する。それと、今夜、俺、マンションへ戻るから、明日の弁当はないから。」
 とはいえ、性格おかんなので、明日の朝の準備はしてある。温めて味噌を溶けばいいように、すでに味噌汁は作り置きしたし、おかずも準備してある。それらについて説明したら、そこまでしなくてもいいのに、と、悟空は笑う。
「でも、朝からバタバタするのは大変だろ? 」
「その人って、ロックオンさんの彼女なの? 」
「え? 」
 別に、この寺はオールセルフサービスなので、客が突然に来ても、どうということはない。ロックオンは、脇部屋のひとつで寝ているから、客間は空いている。そこに彼女を泊めればいいのに、そうしないということは、そういうことじやないの? というのが、悟空の素朴な意見だ。
「違うよ。・・・ちょっとな。」
「うちでいいじゃん。」
「あの人はなあ・・・・・煩くて寝てられないぞ? 」
「ん? 酒乱なの? 」
「そこまでいってないと思うけど、近い。」
 言葉を濁したロックオンに、悟空は納得はしてないけど、まあ、いいか、と、その話は終えた。刹那のママは、よく喋るが、あまり肝心なことは言わないのは、短い付き合いでもわかっているからだ。
「しばらく、弁当なしか・・・・ちょっと残念。」
 悟空にとっては、そっちのほうが問題だ。毎日のように準備してくれるお弁当は、とってもおいしい。ボリュームも申し分ないし、ここのところの学校での楽しみのひとつになっている。
「ごめんな。たぶん、二、三日で帰ると思うから。」
「うん、別にいい。それより、三蔵が怒りそうだ。」
「ははははは・・・そうだな。今夜、逢ったら謝っておく。」
 最近、楽を覚えてしまったので、ロックオンが留守をすると機嫌が悪くなる悟空の保護者は、また、ぶちぶちと文句を吐くことだろう。



 吉祥富貴の開店時間は、七時ということになっている。それまでに、だいたいのスタッフは揃うので、揃った段階で、本日の予約の確認が行われる。
「急遽なんだけど、CBのスメラギ・李・ノリエガ様の予約が入った。指名は、まだなんだが、ムウさんとハイネにエスコートは御願いします。」
 先に、アスランと八戒が打ち合わせをして、とりあえず、エスコートだけは決めておいた。宇宙へ出向した時に顔を合わせた人間のほうが無難だろうという人選だ。
「はいよ。一年いや二年ぶりか? スメラギさんは。」
 鷹のほうは、簡単にオーケーを出す。しかし、ハイネのほうは、少々、首を捻っていたりする。
「なあ、そういう場合って、ママニャンじゃないのか? 」
「ロックオンは案内だけの予定だ。まだ、無理だよ、ハイネ。」
 傍に座って話をするくらいは、どうにかなるが、飲酒なんかさせたら、それだけで、ぶっ倒れそうなロックオンに、接客は無理だと、アスランも八戒も判断した。それに、リラックスして飲みたいというリクエストなのだから、見慣れた顔より、接客上手なホストのほうがいいとも思った。
「今、スメラギさんは、ロックオンのところに居るから話は終わってると思う。それなら、派手に騒ぐほうが気分転換になるだろ? 」
 店でまで小難しい話をすることはないはずだ。だから、わざと騒々しいのをエスコートに指名している。
「そういうことなら引き受けましょ。それで? 他にオーダーは?」
 ハイネも、それで納得するが、それだけで、そのエスコートってわけじゃないよな? と、アスランにツッコむ。
「お涙頂戴作戦なんていうのを仕掛けようかと思うんだがな? ハイネ。」
 そこからの説明は、悟浄だ。騒ぐだけなら、悟浄とハイネが一番だ。それを、わざと外して鷹と組むのだから、それには理由があるのも、ハイネにはわかっている。そこいらの説明を、悟浄がすると、なるほど、と、鷹に視線を向ける。
「エロフェロモンムードで酔わせて、俺が泣き落とすと。」
「おまえ、俺は、それほどいかがわしいサービスか? ハイネ。」
「いかがわしいだろ? あんた。」
「こらこら、その言い方だと、鷹さんが、いかにも性悪ホストみたいじゃないか? ハイネ。雰囲気に酔わせるとでも評してやれ。」
「虎さん、それ、フォローしてないって。」
「どっちでもいいよ。とりあえず、ママニャンのとこを、CBの地上待機所ってことで、公認してもらえってだけだ。そういうの得意だろ? あんたら。」
 ハイネも鷹も、女性を持ち上げて気分を良くするのは得意技だ。酔う前に、気分良く、それを認めて貰うとなると、こういう陣容がベストだ。鷹が、ハイネに視線を向ける。
「なら、ハイネ。確実に泣き落とせよ? そこまでのお膳立ては俺がする。」
「了解。」
 ハイネのほうも、ニカッと笑って頷く。リタイヤして組織から外れてしまっても、精神的な支えとして、親猫が必要なのはスタッフにも理解できる。それを認めさせるということなら、多少の行き過ぎた接待があっても、目は瞑るつもりだ。
「他の予定のほうは、指名があるから、いつも通りで御願いします。」
 ここは、常連のお客様しか来ない店なので、最初から指名は決まっている。だから、自分の顧客だとホスト側も名前を言われれば判るようになっているので、打ち合わせ自体は簡単なものだ。
「それから、そろそろ模様替えを提案します。何かいい案があれば、アスランまで。」
「あれ? そういや、サルと三蔵さんが来てないな。」
 ディアッカが周囲を見回して、気付いた。悟空は、この時間、キラと一緒におやつだの食事だのしているからいないのだが、三蔵は大抵、カウンターに座っている。
「鬼畜坊主は、本業で少し遅れています。それから、悟空は、ロックオンとスメラギ様を案内してくるので、三十分ほど遅れます。」
「ああ、そういうことか。」
「さあ、開店しよう。」
 ミーティングが終わると、アスランが声を張り上げる。本日の業務の始まりだ。
作品名:こらぼでほすと 来襲1 作家名:篠義