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こらぼでほすと 来襲2

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 それに気付いたら、すかさず冷蔵庫にペットボトルを放り込んで、居間の片付けだけはした。武力介入前も、片付けはロックオンの仕事で、スメラギのほうは、謝るだけ謝るとベッドに直行とか、戦術の研究に逃げてしまっていたので、慣れたものだ。命の責任というのは、とてつもなく重いだろうから、喚き散らすスメラギを怒鳴ったことはない。自分は、その重圧からリタイヤしてしまったが、スメラギには、まだ続く。そう思うと遣る瀬無いものがあって、何も言えないのだ。がんばれなんて、口が裂けても言えない。刹那たち現役マイスターたちが死なない戦術を建ててもらうために、スメラギには組織に存在して欲しいと思う。

 粗方片付けて、自分の部屋のベッドに潜り込むと、そのまんま目を閉じた。しかし、だ。すぐに安眠なんてものは訪れない。そして、すぐに、煩いのがやってきた。勝手に、走りこんできたと思ったら、べしべしと頬を叩かれた。
「起きてっっ、ロックオンさんっっ。もう、ほんと、どうして忘れるのかなあ。せっかく、八戒さんが作ってくれたのにぃー。」
「・・・キラ・・・うるせぇーぞ・・・」
「僕、刹那からママを預かってるんだもんっっ。ほら、起きて。これ、飲んで。飲まないと、アスランも連れて来て力づくで飲ませるからねっっ。」
 二日酔いの頭に、ぎゃんぎゃん喚くキラの声は、毒でしかない。そして、言ってることも、とんでもないので起き上がったら、あのおどろおどろしい液体のペットボトルを突きつけられた。キラ程度なら叩き出せるのだが、いかせん頭痛がして動きたくない。
「・・・わかったわかった・・・後で飲む。」
「ダメっっ、今っっ。」
 なんなら口移しする? とか言う天然電波は最強だ。
「できるもんなら、やってみろよ。・・・おまえさん、それの威力を知らないんだな? 」
 売り言葉に買い言葉で、そう挑発したら、ぐびっとキラはペットボトルに口をつけた。そして、ぐぎゃあーーっっと、おかしな声を上げて洗面所へ一目散に走っていった。
「・・・さすが、電波天然・・・」
 くくくくくっと肩を揺らせてロックオンは横になる。だが、すぐに、医者を送迎してきた悟浄がやってきて、「飲まないなら力づく。」 と、笑顔で言われて渋々飲む羽目に陥るまで数十分の平和でしかなかった。



 ドクターには、ねちねちと叱られたものの、二日酔いだけだから処方された薬を貰っただけで済んだ。
「あまり、飲酒は勧めたくないんだが? 」
「はい、すいません。」
 トダカにも叱られたことなので、大人しく謝っておく。こうなるのはわかっているから、わざわざ飲もうとは思わない。とりあえず大人しくしていなさい、と、言うとドクターは帰る。悟浄が送るのだろうと気を抜いていたら、トダカとアマギがひょっこり現れた。
「迎えに来たよ? ロックオン君。」
「え? 」
「うちで、しばらく私の相手をしてもらうからね。そう言っておいただろ? 」
「あ、じゃあ、二、三日したら伺います。」
 具合が治ったら、と、返事したら鼻で笑われた。ここで干からびるつもりなのかい? と、軽く叱られて叩き起こされて連行された。アマギがやって来たのは、もし具合が悪かったら担ぐつもりもあったらしい。そこまでされることはないです、と、自力で移動したものの、トダカ家に辿り着いたら、さすがに、ぐたぐだで客間のベッドに倒れこんだ。この程度の甘えは、トダカにはできるようになった。それは、トダカも歓迎している。
「ほんとうに、貧乏くじが好きな子だなあ、アマギ。」
 その様子に、トダカは大笑いしている。飲めないと断れば、ノンアルコールで相手もできるだろうに、それはしないのだ。どこまでも以前と同じように動こうとするから、それがおかしくて仕方ない。
「できること、という点で、そうなるんでしょう。」
 アマギも、相変わらずだなあ、と、笑っている。トダカが仕事に出る間は、適当に親衛隊が顔を出します、と、その手配を、すでにしている。シンとレイも、こちらに親猫がいるなら、顔は出すだろう。家庭料理に飢えているので、ロックオンの手料理は、食べたいからだ。
「三蔵さんには申し訳ないが、しばらくは、こちらにいてもらおうと思っているんだ。」
「お里帰りですか? トダカさん。」
「ん? まあ、そういうもんだ。」
「よかったですね。息子が増えて。」
「あははは・・・アマギ、ロックオン君は娘みたいなもんだ。なんせ、三蔵さんとこへ嫁入りしているようなもんだからね。」
 トダカの冗談に、アマギも噴出した。確かに、そういうことになっている。連れ子のあるもの同士の結婚というか、同居というか、そんな感じだ。
「刹那君がいない時は、悟空君の世話をして寂しさを紛らしている。なかなか、うまい具合に噛み合ってると思うよ。」
 寺にいれば、黒猫の心配をして落ち込んでいる暇はない。悟空というよりは、三蔵に手がかかるから、おいそれと考え事なんてしていられないのだ。それはそれでいい、と、トダカも思っている。
「三蔵さんは強烈ですから、ロックオン君の気分転換にはなるでしょう。あまりこき使われたら困るんですがね。」
 実際問題として、そういうこともある。体調が落ち着いている時はいいのだが、ちょっとしたことで崩れるから、その部分で、トダカ家という里があれば、適当に身体を休めることもできるからだ。精神面と肉体面から考えると、トダカ家と寺を行き来しているぐらいが、ちょうど良い。
「さて、軽く食事して出勤するとしよう。アマギ、今日は頼んでいいか? 」
「はい、そのつもりで身体は空けてあります。」
 『吉祥富貴』を開けるのは、トダカの仕事だ。だから、夕刻より前に出勤する。寝込んでしまったら、食事もしないだろうロックオンを深夜近くまで、ひとりで放置するなんてのは危険だから、今日は、アマギが、ここに待機する。適当な時間に起こして食事させて、話を聞くつもりだ。愚痴じゃなくても、誰かと会話すれば、気分は軽くなる。
「・・・・くくくくく・・・私からすれば、ロックオン君のほうが刹那君より手のかかる子供なんだがな。当人は、そんなこと、微塵も思っていない。」
「いや、そこまでは・・・」
 刹那は、そういう意味では強いので、トダカは心配しない。まだ、若いから突っ走ることはあっても、ブレーキになる親猫がいるから、無茶はしないだろうという算段もある。基本的に、親猫は寂しがり屋だが、黒子猫は、それもない。親猫がいなくなることはダメだが、独りでもやっていける強さは、今でも十分にあるのだ。
「刹那君は、いいリーダーになるだろう。経験が伴えば、あの子は、キラ様並のカリスマも備えるだろうからね。それが、とても楽しみだよ。」
「ええ、刹那君はいい目をしている。」
 まだ十代だから、経験値は低いが、それを補えば、強くなるだろうとアマギも思っている。それは、少し先の話になるだろうが、将来が楽しみな逸材だ。そんな話をしながら、ふたりで軽く食事して、トダカは出勤した。

作品名:こらぼでほすと 来襲2 作家名:篠義