ろぐぐぐ!! そのに
*臨帝①
臨帝、臨也さんちなう。ほのぼのというか、臨也さんが世話焼きというか。
眠ろうと思った直前にピーンと来たなんてことないネタです。だから雑←
臨也さんがキャラ違いすぎて…笑
二階の本棚から戻ってみれば、リビングに帝人君の姿が見当たらない。
何処に行ったのかと思いきや、キッチンの方から水が流れる音が聞こえてくる。
階段を降り、音の方へと向かってみると、そこで帝人君が皿を洗ってくれていた。
俺に気づいた帝人君は手の動きを止めて此方の方に顔を上げると、「臨也さん、」と笑った。
「帝人君、置いててくれてよかったのに。てか洗浄機だって…」
「僕が洗いたいんです。だから気にしないで下さい」
何でもないように言って、そしてまた皿洗いを再開させる。
本当にこの子は律儀と言うか、何と言うか。
今まで会ってきた人間とはまるで違う子供に、隠しきれない笑みが零れる。
――と、そこで気付いた。
目の前では帝人君が腕捲りをし、泡塗れの皿を濯いでくれている。
そこまではいい、しかし。
蛇口から出ている透明の液体から出ていないのだ、湯気が。
お湯を使っているはずなら出るであろうそれが。
まさか。
慌てて帝人君の傍に寄り、蛇口から溢れ出るそれに手を突っ込む。
途端に伝わる冷えた温度。
そう、それはまさしく、間違いなく水で。
「み、みみみ帝人君!?」
「?どうしました臨也さん、そんなに慌てて…」
俺の突然の行動に帝人君も目を見開いて俺を見上げて訊ねる。
しかし俺はもうそれどころではなくて。
「何でお湯出さないの!?」
「え?何でって言われも…癖というか、もったいないというか」
「そんなの俺の前では気にしなくていいから…!」
水を止めお湯を出すと、冷え切っていたシンクから湯気が上がる。
ほうっと息を吐いて、改めて帝人君と視線を合わせる。
首を傾げながら俺を見上げてくる帝人君の手は赤くなっていて痛々しい。
いくら部屋に暖房がついているからって、家では水で洗ってるからって、せめて俺の家にいる時は止めて欲しい。
「次からはちゃんとお湯を使うこと、いいね?」
「でも…」
「分かった?」
「……はい」
渋々ながらも頷いてくれた帝人君は、小さく「ありがとうございます」と呟いて皿洗いを開始させる。
でも眼を離しておくとまた水を使いそうだ、やっぱり洗浄機を使わせようか。
(本当に、もう…)
明日はハンドクリーム買って来よう。
それよりも帝人君の部屋に湯沸器つけようかな、でも「もったいない」って使わないんだろうな。
いや、湯沸器もだけど彼の部屋には暖房も必要だろう。あの部屋で生きれるのか心配だよ。
(いっそ……一緒に暮らそうか)
今度提案してみようかな、なんてらしくない考えに、思わず笑みが漏れた。
作品名:ろぐぐぐ!! そのに 作家名:朱紅(氷刹)