ろぐぐぐ!! そのに
*臨帝②
某15年ネチネチ動画が好きすぎて、曲を聴いただけでブワッってなる今日この頃。
――痛い。
頭がぼんやりして、視界が霞んで、でも痛いってことはまだ分かる。
えっと、どうしてこうなったんだっけ。
学校の帰り、僕はただ横断歩道渡ってて、そして確か車が走ってきて、そして。
そう、か。
それで僕は、こんなことに。
喧騒が遠くに聞こえて、誰かに呼びかけている気がする。
でも言葉は出なくて、掠れた声だけが口から出ていた。
痛い、いたい、けれど。
どんなに痛くたって、頭に浮かぶのは僕の大好きな人。
(いざ や、さ ん)
(いざやさ ん、いざやさん、いざやさん)
綺麗な黒い髪も、宝石のような赤い瞳。
整えられた綺麗な顔に浮かべる笑顔も、「みかどくん」と紡ぐ声はどこまでも優しくて。
もし僕が死んでしまったら、あの人は悲しんでくれるだろうか。
何時も沢山の人間の中の、たった一人の僕に。
沢山の愛をく惜しみなくくれる、たった一人のあの人は。
(それは、いやだなぁ)
あの人の迷惑になるのは嫌だ、重荷になるのは嫌だ、枷になるのはいや、だ。
まぁあの人が僕の死を悲しんでくれるかは分からないけど。(正臣曰く、「血も涙もない人」だし)
(あぁ、いるかわからない かみさま)
(もしもあのひとが、かなしんでいたら)(くるしんでいたら)
あの人の中の僕を、
***
「………ぅ、ん」
ぱちり、と眼を覚ますとパソコンの液晶が視界に入ってくる。
どうやら転寝をしてしまっていたらしい。
頭がだんだん覚醒していき、思考もはっきりとしていく。
眼を擦ろうと目元に手で触れて、そして漸く気付いた。
「あ、れ……?」
少し生温い液体が、ぴちゃりと触れる。
それが涙だと分かるのに、たっぷりを時間を使ってしまった。
俺って泣けるんだ、なんて馬鹿みたいなことを考えて。
だけど、どうして泣いているのかが分からなくて。
だけど、
誰かが俺の名前を呼んでいた、そんな気がした。
(誰、だろう)
知ってる声だったと思う。
でも思い出せない、分からない。
「―――みかど、くん」
―――あ、れ。
俺は今、何て言った?
「帝人君って……、」
みかどくんって、だれだ?
(あのひとのなかのぼくを、こわしてください)
作品名:ろぐぐぐ!! そのに 作家名:朱紅(氷刹)