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弾けた

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「さっきから思ってたが、何なんだその笑って欲しいだのってのは?」
「うん、宮田君僕と話す時はいっつも興味なさそうな顔するのに、鷹村さん達と話すときは、偶にだけど、少しだけ笑ってるんだよね。」
「・・・そうか?」
「そうだよッ!でも、本当に偶然見れるか見れないかのところで何時もハッキリしなくて、僕、宮田君ともっと仲良くなりたいから、怒らせてばっかだし、笑った顔見たこと無いから、どうしても見てみたくって、頑張ったんだけど・・・・」
「失敗した。と」
「ハイ」
「オレの笑った所見て何が面白いんだ。お前、打たれ過ぎで頭おかしくなってんじゃないのか?病院今から行くか?」
「大丈夫だよっ、頭は大丈夫!それに、面白いんじゃなくて嬉しいんだよ。宮田君が笑ってくれると、何だか毎日もっと頑張れる気がするんだ。」
「・・・・お前、少し黙れ。」

そういって、額に手を当てもっと困った顔をされてしまった。
そうして、一つため息をついたと思ったら、僕は宮田君に思いっきり頭をはたかれていた。
パーーーン、と小気味よい音が聞こえたと同時に、声にならない痛みが届く。

「〜〜〜〜ッッ、な、なんでっ!?」
「黙れ、お前は一生口きくな」
「無理だよッ、酷いよ宮田くんっ」
「五月蠅い」
「そんな、酷いよ。僕の事嫌いになったの?」
「〜〜〜っ、いいか!今後そういう恥ずかしい事や誤解を招くような事を言ったら、俺はオマエと二度と口を利かないしロードに着きあってもやらねぇ」
「ヒドッ」

思わず涙があふれるくらい僕にとって死刑にも等しい言い分だった。
そんなに酷い事を言わなくたっていいのに。
僕の何がそんなに宮田君を怒らせるのか解らなかったが、現に、宮田君は眉を吊り上げ眉間の皺もいつも以上に深く刻まれている。
僕にはもう、どうすればいいのか解らなくなってしまった。
本当に泣いてしまいそうだ。幸い周りには誰もいなかったので手の腹で涙をぬぐった。

「泣くなッ」
「ご、ごめんなさい」
「謝んな、ってもういい。悪かった少しきつく言いすぎた。」
「もう、怒ってないよね?」
「ああ、というか初めからそんな怒ってねぇよ」
「そうなの?」
「・・・そうだよ」
「なんだ、良かった。」
「男が簡単に泣くんじゃねぇよ。」

ジャージの袖手で顔をゴシゴシ拭われるのがちょっと痛かったが、やっぱり宮田君は優しい人だと解って嬉しかった。
自分も少し笑った顔が見たかったからって、意固地になっていたと思う。
笑わそうと思わなくても、きっとそのうちに見れるかもしれない。
要はタイミングだ。
全く笑わないわけじゃないんだから、きっといつか見る事が出来る。
その方が笑わせようとして笑ってもらえた時よりももっと嬉しいに違いない。
宮田君が顔を拭いてくれたから涙も消えたので、お礼を言おうと顔を上げた。

「あの、宮田く__
「ホント、お前って面倒くさい奴」

そういって、宮田君が僕を見下ろして笑っていた。
面倒くさいなんて心外だなと思ったけど、それ以上に見てみたいと思っていたものが急に眼の前至近距離にあってどう対応すればいいのかもわからず動けなくなってしまった。

「言っとくが、お前は何でも思った事を言いすぎる。少しは相手がどう思うか考えてから話せよ。今度同じ事したら殴るからな。」
「・・・」
「あと、千堂の言う事を何でも鵜呑みにすんな。じゃあな」

そういって、僕が曲がろうとした方向とは反対に走って行ってしまった。
心臓がバクバクして煩い。
「僕を認めてくれた」とか「毎日もっと頑張れる」とか、それどころじゃない。

(あんなのないよ・・・)

それどころじゃない。
それ以前の問題だ。
不意打ちだ。


心臓が痛くて、動けないよ。


END

作品名:弾けた 作家名:タカ