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こらぼでほすと 襲撃3

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すぐに、王留美から予約の連絡が入るのが、さすがだなあ、と、連絡を受けた八戒は苦笑した。暗号通信の報告があって、三日後だった。もちろん、指名はロックオンだ。
「申し訳ございません、王様。ロックオンは、ただいま長期休暇に入っております。」
 一応、ホストの半分が休暇であることも告げた。すると、相手も、それでは結構だとの返事だ。王留美のエージェントが、こちらへ出張っているともわかっているから、これが真っ赤な嘘だとはバレているだろう。なんせ、親猫は、毎日、トダカと出勤して店の雑用をやっている。
「八戒、店の前に怪しい車と人間が張り付いてるぞ? 」
 こちらも警戒はしている。紅が何食わぬ顔で店へ出勤してきて、周辺のチェックをしてきた。
「トダカさんとこの方じゃなかったですか? 紅君。」
「そこまでは無理だ。」
 問題なのは、そこにトダカーズラブの面々が含まれていても面識のない紅にはわからないところだ。ここへ踏み込まれる心配はないだろうから、この中にいる限り、接触される心配はない。行き帰りは、トダカとその親衛隊がいるので、これも難しい。買い物なんかの外出も、ロックオン1人ということはないので、それも大丈夫なはずだ。
「ハイネが動かせないのが痛いですね。」
 現役MS組は、ラボで動いているので、遊撃隊のハイネも、そちらだ。ロックオンに気付かせずに、ずっとへばりついてもらうなら、ハイネが適任なのだが、これが使えないから厄介だ。鬼畜坊主は騒ぎを大きくして力技で解決するから、バレてしまう。いや、相手が力技なら、それに対抗するにはいいのだが、エージェントという職種の人間が力技に出て来るとは思えない。
「アスランから寺へ戻せって指示が出てるんだろ? 」
 紅の報告に、やれやれと悟浄が頭を掻きつつ、この後どうするか考えている。店のほうは、トダカと八戒が差配している。そこへ、アスランから指示があった。ロックオンを寺へ戻せ、というのだ。そんな囮作戦は、どうなんだ? と、トダカが反論したが、囮ではないと説明されて、確かに、そのほうが安全か、と、納得した。とはいものの、トダカのほうから寺へ帰れ、というのはおかしいので、その件は三蔵から言い出してもらうように、調整した。だが、三蔵は、あまり良い顔はしていない。わざと体調を崩すのに協力するというのが納得できかねるらしい。だが、最終的には、そうなるのだし、そのほうが早く隠せるということで、八戒と悟浄で無理を通した。
 


 一週間は、のんびりとトダカ家で過ごしていたが、三蔵から、「いい加減に戻って来い。」 と、言われて寺へ移動した。帰るも何もないのだが、三蔵としては、すでに気分的には同居人であるのだろう、と、ロックオンは素直に、それに従った。。
 とはいっても、店のほうには出勤することにしている。縮小営業とはいえ、店内の掃除なんかは、やはりしなければならない。週に一度、クリーンサービスも入っているが、それでも、全ての机やら椅子やらを拭いたり、店内に掃除機をかけるというのは、毎日のことなので人数が必要になる。紅が時間の調整がつく限りは手伝ってくれているが、それが無理な日は、店を開けるトダカ1人なんてことになってしまうからだ。だから、三蔵たちより一足早く、店に出てくるようにしている。
「あまり入れたくないんだが、うちのに手伝ってもらうから、きみは無理をしなくてもいい。」
「無理はしてませんから。」
「そうやって無自覚だから心配するんだ。」
 掃除はいいから、八戒のほうを手伝ってくれ、と、事務室へ追いやられた。そちらには、八戒と悟浄がいて、事務仕事をしているが、こちらも、いつもより業務量は少ない。
「まあ、お茶でも飲め、ママニャン。そう慌てても、今日は予約がないからさ。」
 のんびりしてていいぞ、と、悟浄が茶を差し出す。さすがに、ナンバーワン以下数名が休みとなれば、その指名をする客は来ない。
「キラの力って偉大なんだなあーと、こういう時に感じるな。」
「そりゃそうさ。あいつのために、オーナーが作った店なんだ。あいつ目当ての客が多いのは当たり前だ。」
 元々は、キラとのんびりと話をしたいという目的で、店を始めた。最初から採算度外視だし、客も増やそうという意図もない。たまたま、知り合いが集まってしまったから、大所帯になっているだけだ。
「つまり、キラが俺らを拾ったみたいにして、増えてるわけですか? 」
「拾ったのばかりじゃないけどな。表舞台を引退したトダカさんみたいなのもいるし、俺らみたいにキラと元々知り合いだったから誘われたってのもいる。」
「あと、勝手に入ってきたハイネやイザークたちとか? まあ、本職のある人もいますしね。」
 基本的には、ホストだが、それ以外の仕事もある。歌姫の私設武装組織というのも含まれているのが笑えるといえば笑える。各方面のエキスパートが、ついでにホストをやっているというのが正しいのかもしれない。
「そういえば、ラボって、今は誰が管理しているんです? 」
 ロックオンとしては、組織のほうのことも気になるから、一度、ラボへ戻りたいと思っているのだが、トダカに止められた。
「今、ラボは改装しているので使えません。MSも、オーヴのファクトリーでオーバーフォールしているみたいですよ。」
「改装? 」
「ええ、発着場の重力場を新しくしているので、ついでに内部も新しいシステムなんかを組み込んでるみたいです。エターナルは、キラ君が使っていてプラントにありますから、今のところは稼動していません。」
 と、まことしやかに八戒は、嘘八百をべらべらと並べる。実際は、キラとアスランが情報収集に勤しみ、鷹が指揮して、ハイネがMSの整備と調整をしているはずだ。
「そうなのか。じゃあ、無理だなあ。」
「里心か? ママニャン。」
「いや、あれから三ヶ月だし、そろそろ誰か降りてくるんじゃないかと・・・」
「あっちも忙しいんだろ? せつニャンが利かん坊だっていっても、勝手はしにくいだろうしな。うちのサルで我慢しとけ。いや、坊主か? 」
「坊主でしょうね。ロックオンがいると体のいいお手伝いだと思って、こき使ってますからね。あれ、いちいち、言うことをきいてやらなくてもいいんですよ? ロックオン。益々付け上がりますから。」
「はあ、適当にします。」
 ラボは使えないとわかって、ロックオンは、ちょっと肩が落ちた。心配しているのはわかるのだが、今のところ、それで連絡されては困るから、八戒も悟浄も誤魔化した。
 うだうだと話し込んでいると、三蔵たちが出勤してきて、爾燕が軽食を運んでくる。ここのところ、あまり客がないので、全員で夕食を食べて、のんびりしている日が多い。誰も、ノルマがあるわけでもないから、気分ものんびりしたものだ。普通のホストクラブなら、連日、客引きでもしているところだが、ここにはその必要がない。



 寺にいる限り、食事の準備はあるわけで、それにはもれなく買出しというのも付随している。大量に買うから、悟空が休みの日に付き合ってもらうが、ちまちまとしたものが不足することもある。
「三蔵さん、ちょっと出てきます。」
作品名:こらぼでほすと 襲撃3 作家名:篠義