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こらぼでほすと 襲撃3

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 そういう時は近くのスーパーまで出かける。こういう時は、ロックオン1人ということになる。
「ついでに、きゅうり。」
「はいはい。他には? 」
「タバコワンカートン。あとは・・・・ねぇーな。なめたけが安かったら買ってこい。」
「わかりました。いってきます。」
 特別警戒中だということは、坊主にもわかっているが、いつも付き合わないのに付き合うというのはおかしいから、いつも通りにしている。外出中は、トダカの親衛隊が警護しているはずだから、そちらに任せることにしている。門の外にいるのは気配でわかっているし、それとは違う気配もしている。
 スーパーまで徒歩十分ほどの距離だ。ぶらぶらと財布だけ持って、公園を斜めに突き切る。途中で本屋に立ち寄り、雑誌を数冊買っていると、背後から肩を叩かれた。
「あれ? 」
「やあ、元気か? 」
 背後にいたのは、アマギだった。手にしている雑誌を見て笑っている。悟空の弁当のために料理雑誌を手にしていたからだ。
「料理の研究でもしているのか? ロックオンくん。」
「あ、いや、こっちは季節で食材があるみたいなんで、そこいらのチェックです。アマギさんこそ、珍しい。」
 だいたいアマギは現役軍人様で、休日はトダカに随行している。こんなところで、1人でいるというのが珍しい。
「こちらに仕事で来ているんだが、ちょっと時間が空いたんだよ。それで暇つぶしをしていてね。」
「ああ、そうなんですか。」
「買い物かい? 」
「はい、ちょっと足りないものだけ。」
「なら付き合おう。きみは、出勤だろ? トダカのところへ顔を出すから一緒に。」
 時間潰しには、ちょうどいい、と、アマギに言われて、そういうことなら、と、スーパーへ付き合わせた。そこから寺まで帰り、出勤するのも一緒に、ということになった。三蔵も知り合いだから、驚くこともない。今のところ、夕食は店で食べているから、こちらで用意はしない。せいぜい、悟空のおやつを作るぐらいのことだ。おやつを作る間だけ待ってください、と、断りを入れて、ロックオンが台所へ向かう。すると、三蔵が控えめな声で、「いやがったか? 」 と、アマギに尋ねる。
「ええ、ぞろぞろと三人も。」
「拉致する気満々じゃねぇーか。潰しとけよ。」
「そちらは、うちのものがやっています。」
「だが、あんたが毎日、付き合うのも変だぞ? 」
「そこのところは抜かりない。明日は、うちのものが。」
「だから、おまえら全員、顔出したら変だろ? 」
「いえ、トダカもおりますので大丈夫です。」
 毎日、ロックオンも外出するわけではない。出勤はするが、それもクルマなので、接触は難しいからだ。三蔵は飲むので運転はできないということで、ロックオンが、ここのクルマで、三蔵を連れて帰ることになっている。買い物なんかの外出だけなら、トダカの関係者が、ここいらで仕事しているということにすれば、どうにかなる。あまり頻繁なら、トダカ自身が出張ることにもなっている。
「そこまでしなくてもいいんじゃねぇーか? 」
 もういっそのこと、アレルヤをロストしていることを教えたほうが話が早いだろう、と、三蔵は思っているのだが、いえいえと、アマギは否定する。
「それこそ、ロックオンくんのことだからラボへ情報収集に向かいますよ。」
 その情報は、組織には届かないだろうが、心労で体調を崩すのは目に見えている。できれば知らせずに、隠しておきたいというのが、キラの言い分だ。
 だが、どうせ、季節の変わり目で体調は崩すのだ。それなら、さっさとダウンさせとけ、と、三蔵が、さらに言い募る。
「意外とロックオン君は、神経が細いから、そういう倒れ方をすると、また・・・」
 前回のように昏睡するほどに具合が悪くなると問題だ。季節の変わり目だけなら、そこまでならない。回復が遅いのに、さらに遅くなるのは、ドクターでも勘弁してくれ、であるらしい。
「厄介なやつだ。」
 前回の時のことは、三蔵も聞いているから、舌打ちした。落ち込んで、もうダメだ、と、精神的にもダメージを受けたから、長引いたのだ。刹那たちを呼び戻したのも、回復させるためだった。歌姫からの爆弾発言という形にしたのも、どちらにも、その事実を知らせないという意図があった。
「気持ちはわかるんだ。彼は、まだ若いし、どこか繊細なんだと思う。」
「あいつは、甘いんだよ。」
 同じ年齢の三蔵は、そう吐き捨てるが、よくわかってはいる。1人だけ戦力外通告されたら、やっぱり落ち込むだろう。常に扶養者の前で背中を見せていたい。守るなんてことは考えないが、自分が常に、その前に在りたいとは思っている。扶養者の背中を見て守られるなんてのは、真っ平ごめんだ。
「拉致されたら、いいように駒にされちまうだろうしな。」
「ロックオン君のことだから、それでもやるだろうしね。」
 また、それができるというのも問題だ。伊達にスナイパーはやっていない。侵入ぐらい朝飯前だろう。正面切ってでない方法なら、鷹やハイネも排除可能だろうというのも想像できる。
 やれやれ、と、ふたりして息を大きく吐き出した。『吉祥富貴』に所属している人間は、全員が何かしら特殊技能があるので、そういう意味では厄介だ。
「アマギさん、ちょっと召し上がりますか? 」
 台所から簡単なつまみを運んできたロックオンに、ふたりして、ああ、と、返事する。悟空が帰ってくるまでに、三蔵は軽く晩酌するので、その準備もしていた。
「アマギさん、焼酎はいけるか? 」
「嗜む程度なら付き合います。」
「おい、きゅうり買ってきただろうな? ママ。」
「はい、ありますよ。でも薄めにしてください。」
「わかってるよ、いちいち、おまえは煩せぇー。」
 すでに、それは準備していたので、グラスをふたつと、水と薄切りしたきゅうりと焼酎の瓶が卓袱台に運ばれてくる。まだ日が高いのだが、そんなものは三蔵は無視だ。バイト前だから、薄めには作る。それを、どんっとアマギの前に置く。
「ママは付き合いが悪くてな。」
「飲んでも良いんなら付き合いますが? 」
「バカ言うな。おまえ、コップ半分でお陀仏するじゃねぇーか。あんなもん付き合ってねぇ。」
「はいはい、すいませんね。アマギさん、無理しなくていいですから。」
 この流れるような会話を聞いていると、トダカが娘だというのも頷ける。まさに、寺に嫁いだと表現するのが正しいくらいの夫婦の会話だ。悟空のおやつを作ると洗濯物を畳んでいる姿が、まさにおかんだ。
「トダカが、『娘が出来た。』と、言った意味がよくわかりました。」
「ああ、あっちがお里で、あの人が俺の舅らしい。・・・俺の好みじゃないとこだけが問題なんだがな。そこ以外は、いい女房だ。」
「あんた、それ、人に言うのやめませんか? 三蔵さん。この間、キラが、とんでもない発言して、俺は頭痛がしましたよ。」
 先日、この会話を店でしていて、キラから、「結婚式しようよ? 」 と、キラキラした目で言われたので、ロックオンはびびったのだ。電波天然は、何をやるかわかったものではない。たまたま、キラがプラントへ出向いたから、あの後は穏やかに暮らしているが、下手をすれば本気で結婚式をやりかねない。
作品名:こらぼでほすと 襲撃3 作家名:篠義