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こらぼでほすと 襲撃4

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王留美が、マジ切れ状態になる数日前、寺では、ちょっとした異変があった。二、三日

前から動きの鈍かったロックオンが、とうとうギブアップしたからだ。夜の仕事に出る段

になっても、自分の部屋になっている脇部屋から起きてこない。いつもなら、二時間は早

く、あちらへ出向いているはずだった。
「ロックオン? 」
 脇部屋を開けて、悟空が声をかける。もそもそと布団が動いた。
「悪りぃー悟空。今日は無理みたいだ。・・・・明日たぶん、起きられないから、どうに

かしてくれ。」
 雨が降る前に、具合が悪くなるのは、悟空も知っている。それに加えて、ここのところ

気温が暑かったり寒かったりと不安定だったから、余計に堪えたらしい。
「医者は? 」
「いや、雨が降り出したら起きられるから大丈夫だ。明日くらい豪雨だと思うぜ。・・・

・朝の支度は、おまえがバイトしてる間に、どうにかしておくから弁当は勘弁な? 」
 声自体は、いつもの調子だが起き上がれないくらいにだるいらしい。それでも、どうに

か身体を起こそうとしているので、布団の上から肩辺りを、悟空が押さえつける。
「そんなことはいいよ。明日は休みだし。とりあえず寝てて。」
 ぽふぽふと布団を叩いて、悟空も部屋を出る。さて、どうしたもんか、と考えつつ居間

に引き返したら、坊主は、まだ普段着のままだった。
「時間だぞ? さんぞー。」
「俺の指名はねぇーから、今日は休む。おまえ、メシ作れ。たぶん、ママが冷凍している

作り置きがあるはずだ。」
「医者は? 」
「店が終わったら、いのぶたが来る。あればっかりは、どうしようもねぇーらしい。」
 ようやくダウンしたか、と、三蔵は連絡した。1人にしておくわけにはいかないから、

こちらで待機してくれ、と、八戒から頼まれた。明日まで様子を見て、食事が摂れないほ

ど弱っているなら、歌姫の本宅へ移すと言われた。ラボより安全といえば安全だ。
「サル、明日の予定はどうなってるんだ? 」
「明日は土曜で休みだ。」
 電子レンジで、何やら準備している悟空は、大声で叫んでいる。休みなら、ちょうど良

い。ママの運搬を任せられる。

 結局、翌日と言わず、その夜のうちに移動させることになった。ぐったりしているだけ

ならいいのだが、熱もあって具合が相当に悪そうだったからだ。門の前までクルマを寄せ

て悟空が、軽く持ち上げて運ぶ。
「三蔵、しばらく悟空を借りますよ? 」
「ああ、そうしてくれ。」
 刹那が来るまで、悟空で我慢してもらうしかない。世話しなければならない対象があれ

ば、ロックオンも、さっさと回復するだろう。悟空にも、そう説明して一緒に、歌姫の本

宅へ運んだ。
 だが、ドクターは診察して、「すぐには回復しない。」 と、診断した。寒暖差が激し

かったから、それで余計に具合が悪いらしい。
「悟空くん、せっかく来てくれたのに、すまないが三日ぐらい後からにしてくれるか? 

看病する必要はないから、手の空いた時間に尋ねてくれるだけでいい。」
 しばらくは梅雨のハシリというやつで、気圧も安定しない。医療ポットへ放り込んで体

調を安定させるほうが先決だ。その期間が三日ということらしい。オーナーの本宅には本

格的な医療施設も完備している。いろいろと極秘裏に治療する人間が後を絶たないから、

設備を拡充していった結果、ここは病院か? というぐらいの施設になっている。専属の

医者と助手と看護士も常駐しているので、入院するのと変わらない治療と看護が可能だ。
「ありゃりゃ、本格的にダウンかよ? ママニャン。」
「だから、働きすぎるなって忠告したんですけどねぇ。」
 ドクターの報告に、悟浄も八戒も苦笑する。こうなることはわかっていたが、なんとも

上手い具合にことが運ぶものだと感心する。悟空だけは、その事実を知らないから、ちょ

っと心配そうな顔をしているのだが、それでも事実は告げない。
「俺も甘えすぎたかな? 」
「いいえ、いいんですよ、悟空。季節の変わり目は、こんな感じなんです。今日は帰りま

しょう。ここのパスは持っていましたね? 」
「うん、持ってる。」
「じゃあ、木曜日から適当に顔を出してあげてください。僕らも、極力、顔を出しますし

、カガリさんが、近々こちらにいらっしゃるみたいですから、トレーニングの相手もして

あげてください。」
 この計画で、トダカ親衛隊を借り出したから、カガリも事態を把握している。カガリの

親衛隊も、こちらに警護でやってくるから、ここへ王家のエージェントが、いかに優秀と

いえど侵入は難しくなるだろう。




 つまり、王留美は、この医療ポッドに入ったロックオンと対面してしまった訳で、声を

かけるとかいう状況ではなかった。それも、いかにも軍人という男が警護しているし、看

護士とドクターもいるので、メモリーチップを、どこかに潜ませるなんてことも不可能だ

った。
「遺伝子段階で代謝機能が自律できない部分があります。そのため、体調が崩れると、こ

のようなことになるんです。」
 ドクターは、いかにも、それらしく説明する。実際、ここまでしたのは、今回が初めて

だ。いつもは、ここに至る前にナマケモノモードになるように指示する。重篤だと思わせ

ておいて欲しい、というアスランからの依頼で、そういう説明をした。
「おそらく一月か二月は、このままでしょう。」
「わかりました。では、お見舞いの花だけ、ここに。」
 ボディガードの紅龍が手にしていた花束を、看護士に託すと、用はないとばかりに王留

美も踵を返した。これでは、情報の漏洩など頼めるはずもない。彼らが屋敷から出て、し

ばらくしてから、看護士から、その花束をアマギが受け取って、部下に渡した。
「チェックだけはさせておきます。」
「いや、捨ててしまえ、そんなもの。」
「そうですね。破棄してくれ。」
 何か仕込まれていては面倒だから、ドクターのほうも、そう指示する。そんなもの、見

せる必要はないことは一目瞭然だ。高価な花束だが、見舞いのためのものではない。
「ラクス様が、花は手配させてくださってるから、部屋には、それを飾ればいい。明日に

は、部屋に移すから。」
 体調さえ落ち着けば、医療ポッドに押し込んでおくほどではない。空調の効いた部屋で

療養させておくだけで十分な程度なのだ。
「うっかりしていたよ。三蔵さんとこは、空調関係が雑なんだった。」
 ドクターも、そこを失念していた。夏でもクーラーを、ほとんど使わないという自然派

の家なので、そういうところだと、入梅前の寒暖差なんてものは、家のものは気にしない

。そんなところで生活したら、そりゃ具合も悪くなるというのだ。
「ははは・・・・今のロックオンくんには悪い環境でしょう。だが、そのお陰で、大袈裟

に繕えた。」
「まあ、そうなんだが。」
 ロックオン・ストラトスは使い物にならない、と、王留美は判断した。これで、あちら

からの接触はなくなるはずだ。とりあえず、厄介な侵入者は、これで排除できたと思われ

る。


作品名:こらぼでほすと 襲撃4 作家名:篠義