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こらぼでほすと 襲撃4

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 いつもと違う部屋だと気付いた。ラボの医療ルームには、さんざん世話になっているか

ら知らない場所はない。車椅子で移動させられている廊下も、別荘のそれではない。
「ドクター、ここは、どこです? 」
「ラクス様の本宅だ。ラボは使えないから、こちらで治療した。しばらくは、安静にして

いてくれ。寒暖差が激しいから、できるだけ部屋からも出ないで欲しい。入用なものは、

こちらに教えてくれれば用意する。」
 まあ、確かに身体はだるい。医療ポッドで回復させてくれたにしては、あまり回復して

ないんじゃないか、と、思うぐらいだ。ラボは改装修理中だと聞いているが、だが、どこ

かでひっかかるものがあるのも確かだ。重力場の改装だというなら、医療ルームは使える

はずだからだ。
「俺、こんなとこに居るのはまずいんじゃないんですか? 」
「どうしてだい? 」
「いや、一応、俺、テロリストじゃないですか。そんなのをオーナーの本宅に置いてるの

がバレたら、まずいでしょ? 」
「バレることはない。ここの警備システムはキラ様が構築されたものだ。外からの覗きな

んてものはできないようになっている。・・・・まあ、外へ出なければという前提はつく

がね。今のところ、きみが外を歩き回れるとは到底、思えないから問題ない。」
 医療施設は地下にあるし、移された部屋も、そのすぐ傍にある。そこは、屋敷の裏側に

なるから、外から肉眼で窓のうちを覗ける場所はないという説明だ。特区の少し外になる

ので、かなり広大な敷地を有していて、屋敷の裏は、こんもりとした森があるほどだ。屋

敷自体も、正面から右側は、パブリックエリアになっているが、左側はプライベートエリ

アになっていて、歌姫が信頼する人間しか入れないエリアになっている。医療施設も、ロ

ックオンの療養する部屋も、もちろん、そのプライベートエリアに存在する。
「それに、悟空くんが心配しているんでね。こちらなら、見舞いにも来られるから。」
「ああ、そうか。」
 そう言われたらそうだ。起き上がれなくなったから、心配されたのはわかる。さっさと

回復しないと、三蔵が機嫌を悪くするし、悟空にも迷惑がかかるだろう。店だって、人手

が足りない時なので、時期が悪かった、と、反省はした。



「店? うーん、適当にやってるから大丈夫。そんなの気にしなくていいからさ。ちょっ

と、のんびりしてないとさ、ロックオン。」
 翌日、悟空が午後から現れた。寺に置き去りにしていた読みかけの本と雑誌を持参して

くれたのは有り難かった。おやつは食べたのか? と、開口一番に言ったら、看護士が気

を利かせて、軽食とかおやつを運んできてくれたので、それを食べつつ、悟空は、ロック

オン不在の三日間についての三蔵の様子を報告してくれている。
「なんか、いつもより機嫌はいいよ。」
「そうか、それならいいんだけどさ。・・・ああ。三蔵さんのタバコが、もうないんじゃ

ないかな?  ワンカートンを切ってたはずだ。」
「うん、昨日、コンビニで買ってたよ。よく、そんな細かいことまで覚えてるな? 」
「一日五箱も吸うんだから・・・・あれ、もうちょっと減らしたほうがいいんじゃないか

な? 」
「うん、俺も、そう思うんだけどさ。ニコ中の人間て、なかなかやめられないらしいぜ。

悟浄も似たようなもんだ。」
「ごめんな? 急に具合悪くして。」
「いいって、季節の変わり目はダメだって、自分でも言ってたじゃん。店も忙しくないし

さ。ゆっくりしててよ。ていうかな、ロックオンが、ここにいると、俺、おやつ食べ放題

なんで、それは嬉しいぞ? 」
「あはははは・・・ここのは高級品だもんな。梅雨明けまでは出してもらえないみたいだ

から、時間があるなら通えよ、悟空。」
「おう、じゃんじゃん通う。」
「朝とか大丈夫か? 」
「うん、大丈夫。まあ、ちょっとばかりしょぼいメシになってるけど、晩飯は店で食って

るから栄養は足りてる。」
「もうちょっと動けるようになったら、ここの台所借りて作り置きさせてもらうよ。」
「いいっていいって。それより、身体早く治して帰ってきてくれたほうがいい。」
「うん、俺も、そっちのほうがいいな。」
 それを聞いている看護士やドクターは、おまえらは親子か? と、ツッコミたいくらい

にナチュラルな家族の会話を展開しているのが微笑ましいのか、どっか間違ってるのか微

妙なところだ。
「そういや、鷹さんとハイネは? 」
「ん? なんかオーヴにバイトに行ってるって。」
「キラは、まだか? 」
「うん、まだだ。ちょっと長引いてるみたい。」
「シンたちも? 」
「あいつらは学校が忙しいんだってさ。」
 見事なほどに、MS乗りたちが不在だ。なんだか、気になる符号だ。
「今までも、こんなことあったのか? 店を縮小営業っての。」
「あったよ。確か、ロックオンたちの回収する、ちょっと前ぐらいにさ。その時は、店を

一ヶ月くらい休みにしてた。」
 悟空は、キラと仲が良い。だが、MSの知識はない。だから、どういうことになってい

たかまではわからないという。
「でも、あの時は、キラが地上に居たからメールの交換とか電話はしてたぜ。今回はプラ

ントだから繋がらないんだ。普通にプラントにいるだけならメールできるんだけどさ。今

回は、電波が届かないとこにいるみたいでさ。」

・・・・それって、なんかあるんじゃねぇーのか?・・・・

 その時もMS組は、全員、マイスターたちの回収の作業に出張っていたので、留守をし

ていたという。それらの説明からして、今回も何か起こっているのではないか? と、ロ

ックオンも気付いた。何かあるとしたら、今、組織の建て直しをしているマイスターたち

ということになるだろう。
「なあ、刹那とはメールできるか? 」
「それは無理だよ、ロックオン。俺、暗号通信なんてツールを使えないからさ。」
 組織とメールする場合は、暗号通信のツールが必要になる。一端、普通にメールを作成

して、それを暗号に変換して、さらに、直接ではなく、ターミナルになるサーバーへ経由

させなければならない。それらの操作は、普通の携帯端末では無理がある。ロックオンの

携帯端末には、それを仕込んであるが、寺に置き去りにしている。
「今度、来る時に俺の携帯を持ってきてくれないか? 」
「うん、いいよ。部屋? 」
「たぶん、部屋の文机のとこの充電器に差し込んでたと思う。」
「了解。」 と、悟空は簡単に応じてくれたが、「そこになかった。」 と、三日後にや

ってきて伝えられたので、疑心は深まった。『吉祥富貴』が、マイスターたちに手を差し

伸べるのは、マイスターの生命の危機のみと説明されている。もし、誰かがそういうこと

になっているとしたら、おちおち寝ても居られない。ドクターたちに尋ねても、「わから

ない。」 の一点張りだ。誰か事情のわかっていそうなのが来ないかと、じりじりしてい

たら、格好のカモが飛び込んできた。

 特区での会議があるとかで、カガリが現れたからだ。大きな花束を手にして現れたカガ
作品名:こらぼでほすと 襲撃4 作家名:篠義