二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

THW小説⑥ ~ 絆 ―2・23作戦― ~

INDEX|3ページ/4ページ|

次のページ前のページ
 



台東区での作戦は,終了し,俺は本部へと戻った。
魚屋の姿は,まだない。
「・・・・」
俺は,無言でインカムを棚に戻した。
「お疲れ様でした,碧風さん。」
ジンさんが,コーヒーをもってきてくれる。
「ジンさん。ずっと本部に居た?」
「はい。」
「魚屋は?」
「・・・まだ,です。連絡も,何も。」
少し,眼を伏せて,ジンさんが言いにくそうに言う。
「・・・ザビ,は?」
「・・・隊長は,部屋に入ったっきりです。」
「・・・・」
俺は,隊長室のドアをじっと見つめる。
・・・何故,あんな命令を出した?
ザビの意図は,全くわからない。
拳を握って,問いただしたい気持ちをグっとおさえる。
「・・・碧風さん。こちらで,一緒に戦況を見守りませんか・・・?」
少し,控えめにジンさんが俺を促す。
「・・・ああ。そうだね。ありがとう。」
俺は,戦況が一望できる作戦室へと足を向けた。

作戦室には,作戦を終えたSSWのメンバーが集まっていた。
魚屋の安否を気遣う声。
「大丈夫だよ,あいつなら絶対・・・!」
俺に励ましの言葉をかける仲間。
だが,その根拠はどこにもない。
戦況は,依然として,占領パーセンテージ赤100。
その数値は変わらない。
ヒソヒソと,不安の声があがりはじめる。
「流石の魚屋さんも・・・」
「あれは無謀だわ・・・」
・・・もう,俺も限界だ。
「碧風さんっ・・・!!」
ザビを,問いただそうと,ジンさんを振り切って作戦室を出ようとしたとき。
「あっ!!!!」
背後から,誰かの叫び声が聞こえた。
バッと振り返る。
見ると,中野区の占領数値が,どんどん減っていっていた。
100・・・99・・・98・・・97・・・

わああああああっ!!!
作戦室は,一気に歓声が沸きあがる。
「やったーーー!!!」
「よかったーーーー!!!」
ぴょんぴょんと抱き合う仲間たち。
俺に握手を求めてくる人もいる。
「碧風さん・・!よかったですね・・・!」
ジンさんも本当に喜んでくれている。
「ああ。・・・ザビを殴らなくてすんだよ,本当にな。」
俺は心底ほっとして,その場にしゃがみこんだ。


*********************************************


数十分後。
魚屋は本部に帰還した。
その姿はボロボロで,上半身をまとっている服は,もはや布キレだ。
「魚屋さん!!」
「おかえりなさい!!!」
一斉に,玄関で迎える仲間達。
魚屋は,ゆらり,と一歩,中へ入るや否や・・・
「どや!!貫通してきたで!!!!!!」
ドヤ顔で,自慢の筋肉をムキムキし,魚屋は全員にみせつける。

おおおおおおおお!!!
うわああああああああ!!!

その場のボルテージは最高潮だ。

・・・こいつ,不死身だ。
すげぇやつだ・・・・
俺は,少し離れた場所から,素直になんだか感動しながら,その様子を眺めていた。


「おつかれww」
トントントンと,ザビが階段を下りてきた。
「おつかれ,じゃないぜーーww 何だ,あの命令w」
ニヤニヤと魚屋が応酬する。
「俺の大事なアレ,やっただろ?これくらいしてもらわなw」
「そーいうことかw アレの代償かよw なら,仕方ねーなww」


・・・アレって何だ?
いや,そこじゃない。それもあるけど。
そうじゃなくて,どうしてこんなに簡単に,魚屋は命を懸けられるんだ・・・!!

・・・腹が立つ。
こんな命令を平気で出すザビにも,ザビの命令に忠実に従う魚屋にも。
そして,笑い話で済ませられる,二人の間の信頼関係・・・そして絆にも。
・・・なにもかも,腹が立つ・・・!!!

もう,何が何だかわからない,とにかく「怒り」という感情だけが,俺を支配する。
ギッ,とザビを睨む。
「な・・・何だよ」
ほんの一瞬,ひるむザビ。
殴ってやりたかったが,それよりも,今は。

くるりと振り返って,ギンッと魚屋を睨む。
「あ・・・兄貴・・・こえーよ,黒いオーラが・・・!」
俺は,怒りにまかせて,魚屋の耳をグイっとつかむ。
「あっ,ちょっ,いてっ!!」
魚屋が非難の声をあげるが,聞こえない。
耳をつかんだまま,ズルズルと魚屋を部屋へと引っぱっていった。


静寂。
そして。

「ぎゃあぁああああぁあぁあぁあぁ」
・・・・魚屋の悲鳴が,本部中をこだまする・・・


********************************************

「ねぇねぇ,めいみさん。何で碧風さんは,あんなに怒ってたの?」
「それはね,はるくちゃん♪それは,複雑な男心よ♪」
「・・・結局,アレって,何だったんですかね?」
「アレはア・レ・よ♪お子ちゃまは知らない方がいいわん♪」


*********************************************


その後,手当された魚屋が部屋から出てきたが,
傷がかなり増えていたことは言うまでもない・・・




                2011.02.23プロット
                2011.02.26本書き