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THW小説⑥ ~ 絆 ―2・23作戦― ~

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「うおああぁああぁああぁあ!!!」
雄叫びと共に,敵の真ん中に突っ込んでいく魚屋。
「どおぅりゃああああああ!!!」
ドゴオォオオオン!!
速攻で一騎をぶちかます。
次々と吹き飛ぶ神奈川部隊。
「すげ・・・」
俺は,思わず感嘆の声をあげていた。
だが,この騒ぎは,他の敵も寄せ付ける。
どこに隠れていたのか,わらわらと,魚屋へ群がっていく敵。
「!!!」
流石にこれはヤバい。
俺は焦って,魚屋の援護をしようと飛び出した。
「ぐっ・・・!」
すぐさま,敵が目の前に立ちふさがる。
ギィン!!
交錯する,刀と刀。
敵の数が多すぎて,なかなか魚屋までたどり着けない。
ヤバイな・・・!
少し,焦りだした,その瞬間。

「ぐおあああっ!!」
ドォ・・・ン!
「魚屋!」
「魚屋さん!!」
「大丈夫ですか!?」
魚屋が,ふっとんで建物にぶつかったのが,見えた。
焦った他の攻特メンバーの声も聞こえる。
「・・・っちっくしょ!!邪魔すんなああああ!!」
俺は目の前の敵を斬りつけて,魚屋へ駆け寄る。
「きゃあああっ!」
「うわああっ!!」
他の攻特メンバーも,押されっぱなしだ。
しかし,以前,占領パーセンテージは赤100のまま。

どうする・・・・!
どうしたらいい・・・!!!

その時。
「中野区撤退!全員台東区へ!!」

ベストなタイミングで,ザビからの撤退命令が聞こえてきた。
「助かった・・・!」
思わずつぶやいてしまう。
中野区をどうにかできなかったのは悔しい。
だが,どうみても戦況は不利だった。

俺は,気を失ったままの魚屋をかついで,台東区へと向かった。

********************************************

台東区では,先に遊特隊が暴れていたお陰で,すんなりと作戦は遂行されて,占領パーセンテージをぐんぐんと広げていく。
「このまま,占領できそうだな。」
いくらか,回復した魚屋にむかって言う。
「そうだな。どっちが占領するか競争すっか?」
なんて,軽口を叩きあっていた時。

サビの声が,インカムから聞こえてきた。

「最終指令。魚屋は中野区へ行き,一人で貫通してこい。
 あとは全員台東区占領で作戦を終わる。以上。」

無機質な,ザビの声。
プツン,と切れるインカム。

今・・・ザビは何と?
思わず,耳を疑う。
魚屋に,一人で中野区を貫通させる・・・?
あの,中野区を・・・?

スッ,と顔から血の気が引く。
ザビは,魚屋に・・・


俺の最愛の人は,俺の最愛の弟に,
「死ね」,と,言った。


「ったくw しょーがねーなぁ,うちの元嫁はw」
苦笑しながらぽりぽりと頭を掻く魚屋。
俺は,ハッとして,魚屋の方へ振り向く。
「え・・・まさか,お前,行くのか?」
「いかなきゃなんねぇだろ。隊長命令だ。」
魚屋は強い。
俺なんかより全然。
そんなことは知っている。
だが,さっきの中野区での戦闘。
いくら何でもこれは・・・!!
思わず,ガッと魚屋の腕をつかむ。
「・・・兄貴。何,考えてる?」
俺の考えを見透かすように,魚屋が言う。
「俺を,引き留めようってのか?」
「違う。・・・せめて,俺も一緒に・・・」
「バカ兄貴。また命令違反になんぜ??・・・俺一人で充分だ。」
「アホ!中野区,さっきヤバかったじゃねーか!!」
「だからこそだよ。そんなとこで,俺,兄貴まで守れる自信,ねーよ。」
魚屋は,ハハッと情けなく笑う。
「・・・。」
俺は,絶句してしまった。
事実だ。
俺が行った所で,足手まといになる。
俺が,守りたいのに。
俺が,弟を守らなければいけないのに。

「・・・俺は,死なねぇ。」
魚屋が,口を開く。
「大事なモンが,守りてぇモンがあるから。俺は,死なねぇよ,兄貴。」
俺は,顔をあげて魚屋を見た。
すでに,その決意がこめられた視線は,中野区へと向けられている。
「・・・魚屋」
「俺が戻ってきたら,また美味いコーヒー入れてくれよな,兄貴。」
ポン,と俺の肩を叩くと,魚屋は単身中野区へと向かっていった・・・