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escada

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 欲しい物はたいてい移り気で、目に付いたものすべてに水谷は情を残す。
 「あれ欲しいなぁ」
 新しい携帯電話、好きなミュージシャンのCD、最近出たゲームソフト、全部水谷にあげれたらいいのになと思うけれど、そんな資本力は高校生の自分には到底ない。それになんでもホイホイあげたって逆に引かれそうな気がする。水谷は浮ついているようで意外と芯はしっかりしているのだ、多分。
 だから俺は水谷の必要としているものをすぐにあげれる存在でありたい。常に側にいて、分け与えられるものなら何でも差し上げたい。ありがとうって言われたい。栄口が居なきゃ困ると思われたい。水谷の中での自分の存在を、1番なんて高望みはしないから、いつでもオレ専用に区画を取って置いて欲しい。そこが友達ゾーンなのか恋人ゾーンなのかはどうでもいい、もうとっくの昔にあきらめはついている。
 物分りと諦めだけはいい俺でも、時々水谷と自分はモノで繋がっている友達のような気がしてくる。オレが何もあげなくなったら水谷はこんなに仲良くしてくれなくなるんじゃないだろうか。教科書やティッシュならまだしも、お腹を空かせた水谷にあげれるようにいつでも甘いアメやチョコレートを持ち歩くようになったとき、ふとそんな不安が浮かんだ。
 かなり重度だとは感じているのだ。けれど「してあげる」ことを今更やめて、その不安が実現することを考えると、とても恐ろしくてできなかった。
 「必要な物を持っている奴」っていうのは微妙に「必要な奴」へ、イコールで繋がらないだろうか。繋がって欲しい。そんなちっぽけな希望に縋りながら毎日を繰り返している。
作品名:escada 作家名:さはら