Hey Mr.travellin' Man
*おまけ
「・・・兄さん、あれやっぱマズイって・・・!」
「良いじゃねぇかあれくらい。今回はオレすっげぇ働かされたからな」
「もー・・・すぐ東部に戻らなきゃいけない事わかってんの…!?」
列車に乗り込んでくつろぐべく、2人はぼそぼそと小声でやりあいながら歩く。アルフォンスはそっと振り返った。・・・ああ。
中央どころか、もれなくここでの兄の「やっちゃった」証は、黒髪の上官の、上質なスーツの背にはっきり残ってしまっている。
手形だ。
すっごいはっきりと手形だ。
「煤って落ちにくいんだよ…!」
「わかってるって。つーかオレなんて全身煤まみれだっての。ちょっとはこの苦労判りやがれってんだ」
「あああ、ボクもう知らないからね…!」
弟の切実なる悲鳴は、闇に融かされて消えた。
その後、セントラルに到着したエルリック兄弟を、駅にて待ち構えていたのは、常識と言葉の通じない親バカと全部が暑苦しい特盛りの、エドワードにとっては至上最悪最強のコンビの熱烈過ぎる大歓迎だったという。
その後、口から半透明な何かを立ち上らせながら拉致られる子供と、それをとぼとぼと追い掛けていく鎧の噂が都市伝説の如く一部を駆けめぐったが、子供のその後の行方はようとして知れぬまま、だとかいう話。
fin
作品名:Hey Mr.travellin' Man 作家名:みとなんこ@紺