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みとなんこ@紺
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Hey Mr.travellin' Man

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ベシンと背後から結構な衝撃を喰らった。
一瞬息が詰まるほどの衝撃だったんだが、精々迷惑そうな表情をして振り向いてやったのに、子供は実にあっけらかんとした顔で、アレいつ出んの?と列車を指して聞いてきた。
「…の前に、もう少し普通に呼べないものかね」
「オレの場合あれがフツーだから。で?」
実に小憎らしい様で再度問うてくる。…まぁ、右でなかっただけマシだ。
ため息をつきながら、現在進行形で打ち合わせをしていた機関士長に如何ですかと尋ねれば、給水自体は終わっているからいつでも、という答えが返ってきた。
「結局セントラルには行くんだね」
「とーぜん。中央図書館にまず篭もんなきゃな。で、そのあと『神学論』だ。許可証忘れんなよ」
「また書類が増えるのか・・・いつ戻ってくるつもりだ?」
「一週間以内には」
「用意しておこう」
中央で東部の品位を貶めるような事はしてくれるなよ、と釘を刺せば、子供はしばし考える風にして真顔になった。
「その手があったか…」

こら。

「――――アルフォンス君」
「…えー…善処、します?」
普段であれば溜め息をつきたそうな風情で兄を眺めている弟は、今は何故かウロウロと視線を彷徨わせている。目が合えば一瞬硬直し、ついーと。兄とまったく同じ仕草で視線を逸らされた。
・・・微妙に気にはなるが、まぁいい。
「先に乗り込んでいたまえ。全員の確認が終わり次第、出発だ」
「やりぃ、お先に!」
「大佐はどうするんですか?」
「このまま逆戻りだよ。しばらくセントラルには近寄りたくない」
先日のこのこと上京したが為に見舞われた災難の数々はまだ記憶に生々しく刻まれている。それが表情に出ていたか、子供はあからさまに顔を綻ばせた。
…こうしている様は、本当にただの生意気な子供なんだが。
「・・・はがねの。本当に向こうでいらんことはしてくれるなよ」
「要らん事ってひっでぇなぁ。オレはいつもあんたの為を思っ…」
「1週間と言ったろう。その間大人しくしていないと、世にも鬱陶しいものをけしかけてやる」
でろ、と効果音が付きそうな(と以前言ったのは部下の一人だったはず)声音で重々しく言ってやると、ちょっとばかり子供の勢いが萎んだ。
「鬱陶…?何?」

「・・・今の奴は凄いぞ。『まだ1歳でな、舌っ足らずに、ぱーぱ?、って呼んでくれるんだ。もうそれだけでオレは…っオレは…ッ』とヒゲのオヤジが一人で身悶える様はひたすらハンパなく気色の悪いぞ。駄目度合い最高潮だ。更に最悪な事にいま現在、本気で人の言ってる事が通じない」

まぁあれはおおよそ素の時もそんなきらいはあるが。
そこまでは続けずにいれば、ある程度想像がついたのだろう、子供はちょっと大人しくなった。
そうして親友を本人のいぬ間に地の底まで貶めておいて、ようやく大人は一息つく。
…ああ、中尉が呼んでいる。
それではまたな、と2人に告げてやれば、それぞれが違う形で別れを。
まぁ普段に比べれば比較的早いうちに顔を合わせる事になりそうだし、その時を楽しみに待つ事にする。
取りあえずそれはほんの少しの間。





作品名:Hey Mr.travellin' Man 作家名:みとなんこ@紺