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鉄の棺 石の骸番外4~住めば都~

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 計画では、Z-oneたちは過去と未来、あるいは次元の彼方へとばらばらに引き離されていく。みんなで集まって計画を進めていくのもいいかもしれないが、この計画は現時点で解明したあらゆる可能性を実験するものでもある。一所にいると効率が悪い上に、一度失敗すると全員が巻き込まれてしまう可能性だってある。
 二度と友と会えないかもしれないのはとても寂しいものだが、計画を実現する上では、すっぱり割り切らなければならない事柄もある。
 だから、会えなくなる分を補うかのように、全員で話し合い続けるのだ。

――ちなみに、うっかりレアな不動遊星グッズを見つけてしまうと、Z-oneとアンチノミーが当分の間使い物にならなくなる。
 彼らが嬉しいのはいいのだが、大事なレポートそっちのけで熱狂するのは止めて欲しい。
 彼らが公私混同しなければ、遊星ファンクラブも悪くはない。むしろ応援してやりたいくらいなのだが。

『20xx年xx月xx日。五時七分。談話室にて、Z-oneとアンチノミーを発見。一昨日見つけた遊星の決闘映像集に夢中になっていたが、彼らには日誌とレポートが残っているので、有無を言わさず研究室に連行する』
『奴らは最後までぶうぶう文句を垂れていたが、人の楽しみの邪魔をせねばならない私の心苦しい気持ちも考えろ、遊星バカめ』


 夜。今日の夕食も四人揃って行われる。
 仕事の内容によっては一人二人いない日もあるが、原則、朝夕の食事は全員で摂るルールになっている。
 Z-oneが寝食を忘れてしまい、ある日突然ぶっ倒れることがしばしばあったからだ。

『20xx年xx月xx日。七時三十分。今晩の献立は白飯と豚カツと、温野菜のサラダと御吸い物と、茶碗蒸し。残りの肉じゃがもこれに加わる』
『生野菜のサラダは、滅亡後を境に全く口にしたことがない。たまにあのしゃきしゃき感が懐かしくなる。野菜の種が見つかったら早速栽培できるような機構を作りたい』
『今日のZ-oneの行動パターンは、幸いなことに一日中Z-oneの方だった。次の彼の食事当番は四日後。どうかその日は「不動遊星」にならないよう祈るしかない』
『何時ぞやのように、夕食そのものがキャンセルされる目にはもう会いたくないからだ。食事は我々の楽しみの一つなのだから』

 各々に残された時間は、後わずかだ。
 今日は全員揃っていても、明日には誰か一人いなくなるかもしれない。生き残りの四人がここに合流してから、長い年月が過ぎて行ってしまった。
 Z-oneによる復活計画は実現可能だが、それでも計画が始まればすぐに全員ばらばらになる。使命の内容次第では、もう永久に会えずじまいになるメンバーも出てくるだろう。
 後悔などしたくない。だから、運命の日が来るまで、可能な限り充実した生活を四人一緒に過ごしていきたいのだ。

『20xx年xx月xx日。十時十八分。順番に入浴後、必要なレポートと個人的な日誌をつける。そうしたら今日はもう終わりにしよう』
『若い時は夜更かしなど平気だったのだが……寄る年波には勝てぬということか。遊星バカどもはたまに日付をまたいで何かやっているが、寝不足は健康の敵だぞ』
『まあいい。……明日もまた仲間と無事に会えるように祈りたい。以上、本日の記録を終了する』


(END)


2011/2/27