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ユキナ・リュカ ~この世界~

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「そう言えば気にしてなかったけど・・・やはり彼も持っている訳だ、真の紋章・・・。」
「まぁ、不完全だけどね。」
「不完全?」
「ああ、片割れは敵対してる親友が持ってるよ。」

その時ようやくいじけ始めているユキナの方をリュカが見た。

「君は何を持っているの?」

すると尻尾があればちぎれんばかりに振っていたであろう様子でユキナが言った。

「はいはいっ。えっと、俺は輝く盾の紋章ですっ。」
「輝く盾・・・そういえば昔ゲンカクが・・・」
「はい、ゲンカクは俺のじいちゃんなんです。」

ニッコリとそう言ったユキナを、リュカはじっと見た。

「え?なんですか?俺の顔、何かついてます?それともまさか見惚れちゃってるとかー」
「・・・君はほんとに・・・なんていうか・・・」

呆れたように言うリュカの横でルックが冷めたように言った。

「ただのバカなんだよ。」
「なんだとコラ、ルック、お前調子のってるとずっと前衛にまわすからね。どうせ前にきたってすばやく避けられるくせに後衛ばっか選びやがって。ちょっとは役に立て。」
「僕は君やビクトールのような力バカじゃないからね。無駄な事、してもしかたないだろ。」
「無駄ぁー?ちょっとは役に立て、鍛えるぞ、コラ。」
「その前に君はシュウに頭を鍛えてもらいなよ。」
「ってちょっと、ストップッ」

呆れたように2人の様子を見ていたリュカが止める。

「はい。」

リュカがいたのを思い出したかのように急ににこやかになり、ユキナは大人しく言う事を聞いた。
ルックはついていけない、とばかりにため息をついた。
その時メイドの仕事をしているのであろう、エプロンをつけた女性がおずおずとユキナに近づき、声をかけた。

「あの・・・ユキナ様?」
「なぁに?」
「その、シュウ様が呼んでおります・・・必ず連れてくるようにと、その、命をうけまして・・・」

女性は小さくなりながらそう言った。おそらくすごい剣幕で言われたのであろう。

「・・・ち・・・あの腹黒軍師め・・・毎回毎回色んな方法を考えてくれるよ・・・」

ぼそっとそう呟くと、その女性に向かってニッコリとして言った。

「わかった。ありがとう、ごめんなさい、面倒な事、おしつけられちゃいましたね。すぐに行きます。」

あきらかにホッとしつつ赤くなっている女性にもう一度笑いかけてから、ユキナはリュカとルックの方に向いた。

「そういう訳で・・・すみません、マクドールさん。ちょっと俺、シュウさんのとこに行ってきます。ちょっと、ルック。あとは頼んだけど、くれぐれもきちんとお世話しろよな、後、間違いだけはおこすなよな。」
「何バカな事言ってんのさ、君じゃあるまいし・・・とっとと行ってきなよ。」

ルックはバカにしたような顔で言った。
ムゥ、と可愛く膨らんだ頬をもとにもどし、じゃあ、とリュカに笑いかけてから、女性と一緒にエレベーターに乗って、ユキナは行ってしまった。
それをずっと呆れたように見ていたリュカが口を開こうとした時、ユキナと入れ替わりであろう、ビクトールとフリックが階段から下りてきた。

「お、ルックとも再会かぁ?」

能天気にそう声をかけてきたビクトールにリュカが言った。

「そういえば・・・ビク、お前言ってたね・・・。彼がいい性格だと・・・。」
「おお、まぁな。さっそく目の当たりにしたか。まああれでも普段は裏がないからなー。」

ガハハ、と笑いながらビクトールが答えた。

「裏がない?」
「ああ。だってお前にたいして丁寧にしゃべってはいたが、そのお前を前にして、普通にシュウやルックにたいして辛辣な言葉、使ってただろ?」

そういえば・・・とリュカは思い返した。
確かにだからこそ、色々なユキナの面を目の当たりにして驚いていたわけだ。

「しかし・・・。ん、そういえば普段、とは?」
「ん?ああ。あいつ、いい性格してる上に、なかなかの見た目だろ?まぁまだガキだがな。その外見を十分に承知したうえでフル活用してることはあるな。まぁ、いわゆる世渡り上手ってやつだ。」
「だが、今まで翻弄されて流されて、それを諦めて・・・」
「それも奴の一面だがな。だからこそ、の世渡り上手なんじゃねぇか?まぁ、それでも欲しいものなら必ず手に入れ、やりたい事があるならそれをやり遂げる奴だね。」

お前が最後まで聞かないから・・・と言いながらビクトールは楽しそうにそう説明した。
リュカはもう何度そう思ったか分からないが、開いた口がふさがらなかった。