Plam
c:ell
「君なんか選ばなかっただろうか」
「なにいきなりなんですか」
「なぜ僕は赤ん坊を選ばなかったんだろう」
言った途端、雲雀の脳細胞は火がついたみたいに動きだした。そうさ、なぜ、なぜ、これなんだろう。僕は赤ん坊に確かに心奪われたはずなのに、いやそうでなくとも一体なぜ追っかけて取っ捕まえて食ってしまったのがこれだったのだろう。
雲雀が頭蓋骨の内側で記憶の道をたどって嘆いていることを知ってか知らずか、ああ、と沢田はうなずいた。ああ、確かにそれはオレも思いましたが、でも。
「やめた方が、いいですよ」
「なぜ、赤ん坊となら幸せになれそう」
「じゃ、なくて」
沢田はいっそつまらなさげに、それでもぬぐいされない穏やかさを声に混じらせた。
「心にもないこと、言わない方がいいですよ」