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こらぼでほすと 襲撃6

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刹那捕獲の報告は、『吉祥富貴』のスタッフのほうへも齎された。メールを確認しつつ、やれやれと、悟浄も息を吐く。
「王留美のほうは動きがないから、これで、終結だな。」
 横に座っている八戒も、「そうですねぇ。」 と、軽く同意した。ただ、まあ、気の毒なのは、鹵獲されたアレルヤで、ソレスタルビーイングが彼の居場所を探し当てるまでは不自由な生活を強要されることになる。
「僕らは、こういう時は無力です。」
「そうでもないだろ? ちゃんと店は営業させてんだし、ママのほうの警護もやってたんだからさ。」
 トダカ親衛隊が、概ね、警護はしていたが、見舞いということで、八戒、悟浄は顔を出していた。悟空も、それに加わっていたので、そういう意味では裏方で動いてはいたのだ。刹那が、どこに現れるかわからないから、寺に生身で現れた場合の捕獲は、悟浄たちの分担ということになっていた。キラが予測した通り、エクシアで急襲してきたから出番がなかっただけだ。
 続いて、メールが入った。今度は、オーナーからで、店の予約はないから二週間の休みにするというものだ。
「おや、剛毅だな。」
 こういう場合は有給休暇扱いになる。もちろん、バイトも、だ。フル稼働だったMS組のために、そういうことになったのだろう。一ヶ月以上、ラボやエターナルで緊張状態にあったのだから、休暇は必要だ。縮小営業とはいえ、いつもより少人数で店を切り盛りしていた自分たちも同様だ。
「なあ、八戒。二週間もあるなら、どっか行くか? 」
「そうですね。たまには温泉で、ゆっくり羽根を伸ばしましょうか? 悟浄。」
 刹那たちが落ち着くまで、何度かこういう体勢になる。だから、休める時は休んでおくのが鉄則だ。しとしとと降り続く雨音を聞きながら、悟浄が八戒の肩を抱き寄せる。
「どうせなら梅雨のないとこがいい。」
「そうですねぇー雨ばかりも飽きますからね。でも、海外に温泉なんてありましたっけ? 」
「海外ってか、北海道? 海の幸あり温泉あり、っていうのは、どーだ? オーヴでもいいけど。」
「オーヴはやめておきましょう。カガリさんが乱入してくるでしょう。」
「そうか、あいつ、帰ったんだったな。じゃあ、北海道で。」
「はいはい。」
 と、ふたりでいちゃこらとソファで会話を楽しんでいたら、さらに、三通目のメールだ。今度はアスランからで、本宅に明後日、ソレスタルビーイングのフェルト・グレイスが来るので顔合わせして欲しいというお願いだった。『吉祥富貴』のおかんとしては、やはり、こういう場合は、呼び出しが来る。年若い娘さんだから、他のものは扱いに困るらしい。
「二週間丸々じゃないわけね? 」
 悟浄、拗ねちゃうぞーと、口では文句をはきつつ、笑っている。組織のほうへ出向した時に、フェルトとは顔を合わせているので、悟浄が無口で大人しい子だった、と、八戒に説明する。
「しょうがありませんよ、こういうのは僕の担当らしいですからね。」
 さすがに、アマギたち軍人では厳ついから怖がられるのは目に見えているし、キラの天然電波攻撃も、びっくりするだろう。そうなると、物腰の柔らかいものが相手をするほうがいい。
「最初だけだろうから、終わったら行きましょう。僕も、たまには母親業を休み
たいです。」
「じゃあ、しばらく、恋人モードとか? 」
「恋人? 専業主婦がいいですね。」
「そんな色気のないのは勘弁してくれ。」
「おや、尽くして差し上げるのに。」
「尽くさなくていいから、たまには俺だけ相手しろよ。」
 なんだかんだで、八戒は、借り出されることが多い。ロックオンが、以前よりは、その負担は軽減してくれているが、あちらがダウンしてしまうと、以前通りなんてことになって、なかなかふたりっきりでゆっくりできないのだ。
「毎日、顔をつき合わせて、同居して、まだ構って欲しいんですか? 」
「欲しい。できれば、二十四時間つきっきりで部外者なしにしてくれ。」
「それじゃあ、僕が悟浄を監禁するみたいじゃないですか。」
「軟禁なら喜んで、お受けしましょ。」
「河童のくせに、犬みたいなことを・・・・」
「イノブタに飼育されるカッパか・・・・いいな、それ。」
 あはははは・・・と、悟浄は大笑いしつつ、八戒の肩に回していた手に力を込める。本日、出勤すれば、明日から一応、休暇だ、と、思うと、ついつい頬が緩んでしまう。別に場所なんて、どこでもいいのだ。たまに、ふたりっきりで何もしないというシチュエーションを楽しみたいだけだ。
「細かい場所の希望はあるか? 」
「良質の温泉があるところでお願いします。」
「時間もないことだし、とりあえず端末で検索してみるか。」
「でも、一週間後ですよ、悟浄。」
 組織のフェルト・グレイスの案内役というか接待役なんだろうから、最初のうちは、本宅に詰めていることになるだろう。たぶん、ロックオンに余計な話をされないための監視要員でもある。その辺りは、悟浄も理解している。
「そこいらは、せつニャンも、フェルトちゃんも、現状を見たら言えないと俺は思うね。」
 まだ、ぐだぐだの親猫に、アレルヤを探してくれ、なんて、とてもではないが言える状態ではない。梅雨の間は、寝たり起きたりでナマケモノモード発動に違いない。今日なんか、熱まで出していて、うんうん唸っていたのだ。あれを見て、それでも情報を寄越せ、と、命じられる人間は、そうそういない。
「あれがね、例えば、悟浄だったりすると、三蔵は笑顔で命じる、と、僕は思います。」
「あー、あの坊主、本気で鬼畜だからなあ。」
 というか、すぐに回復しちゃう自分たちの体力というのを、鬼畜坊主は分かっているから容赦なく、こき使うであろうというところだろう。




 通常警戒に戻したら、トダカ親衛隊もカガリン親衛隊も、お役御免ということになる。やれやれ、と、トダカも息をついて、ロックオンの部屋に顔を出す。今日は、具合が悪いと、ドクターから言われているので、ちょっと顔を見て帰るつもりだ。アマギたち親衛隊も、ロックオンと親しいものは、帰るから挨拶だけはしておこうとついてきた。
「・・・トダカさん・・・」
「起きなくていい。アマギたちが、こちらでの仕事が終わって帰るから、挨拶がてら見舞いに来ただけなんだ。寝てなさい。」
 ぐだぐだのロックオンは、「お疲れ様です。」 と、ちょっと頭を上げてアマギたちに挨拶する。
「そうは言っても、週末にはトダカ家に来るんだけどね。」
 親衛隊のひとりが、そうおどけて言う。オーヴと、特区はかなり近い位置関係にあるから、週末は、いつもトダカ家に、親衛隊の誰かがいる。
「俺は、しばらくは、出してもらえそうにないです。」
「そりゃ、その調子じゃ無理だろう。ゆっくりしているといい。何か欲しいものはないのか? 」
「・・・いや・・・別に・・・」
 至れり尽くせりで、と、ロックオンは苦笑する。あまり長居出来る状態ではないので、「お大事に。」 と、アマギたちは、すぐに引き上げた。最後に、トダカも、同じように挨拶するが、最後に、「すぐに、いいことがあるよ。」 と、意味深な台詞を付け足して出て行った。
・・・いいこと?・・・・
作品名:こらぼでほすと 襲撃6 作家名:篠義