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家庭教師情報屋折原臨也7-2

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自前の回復力が功を奏し、本来入院三カ月の所静雄は一週間で退院した。うち終わりの三日は殆ど寝て起きての暇な生活だった。担当していた医者もその回復力に驚いたが、疑問も何も言わずに静雄を家に帰した。迎えに来た母親の車の後部座席に乗り込み、静雄は病院を一度だけ振り返った。
 ――― 結局、来なかったな
あれから退院までの一週間、臨也は病室に姿を見せなかった。あの時詮索の気はなかった。ただ分からないことを知りたかっただけだが、臨也にとってまずい部分を聞いてしまったのだと、あとから後悔した。しかし二週間も何をしているのだろう。
 家に着いて久しぶりに携帯を開くと、何件かメールが受信されていた。それはすべて新羅からのもので、容体を窺うものや授業の連絡などであった。

 学校に行くと、ついこの間中間考査が終わったというのに、二週間休んだということも相まって、もう期末考査の範囲が発表されていた。新しく学ぶ勉強が終わっていて助かったと静雄は思った。今はセンター試験に向けての復習や演習が殆どで、何とかなる気がした。
 昼食を終えて残りの昼休みに騒ぐ教室の引き戸を開けると教室中の視線が集まった。しかしそれも一瞬のことだった。各々のやるべきことに意識を向けた。だが彼らの表情はどこか明るく見えた。
 そしてどうやら二週間の間に席替えをしたらしく、自分の前の席には別のクラスメイトが座っていた。さて自分の席はどこだろうか。そう考えていると後ろから背中を軽く叩かれた。
「やぁ、静雄。もう退院したのかい?」
「まぁな」
新羅が声をかけてきた。肯定の返事を聞くなり表情が面白いものを見つけた子供のように明るくなった。そのまま新しい席まで案内してもらい、静雄は席に着いた。新羅は前の席の椅子の背に腰を預けた。
「やっぱり君はすごいね!全治三か月を一週間で完治させるなんて!本当もうぜひ検査したいよ!」
その目は興味と好奇心に輝いていた。それを見て静雄は深いため息をつき、両手を新羅へと伸ばした。
「少しは心配してくれてもよかったんじゃねーのか?」
「いだだだっ、だって、静雄だから大丈夫だと思ってええぇぇぇっ!」
おーよく伸びるな。そう思いながら静雄は新羅の頬を引っ張った。手を離せば新羅は両手で赤くなった頬を挟んだ。そして涙目になりながら自分を見上げ、文句を言った。あまりに日常過ぎて思わず笑ってしまった。
 そして予冷が鳴り、残り少ない学校生活が始まった。