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GUNSLINGER BOYXIV

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君の嫌いなこと




普段は物置として利用しているその部屋は地下であるため窓も無く電気をつけても薄暗くて少々ほこりっぽい。
とても食事に向く場所とは思えないが男の持つプレートには粗末なスープが乗っていた。

「おい、メシだ」

部屋の隅でうずくまっていた少年は顔をあげこちらを見た。後ろ手に縛られている状態で器用に立ち上がり歩み寄ってくる。
監禁されているのにも関わらずその表情には怯えも恐怖もなく、幼い容姿とその落ち着きようがどこかちぐはぐだ。
床に食事を置き手が使えない状態でどうやって食べるのかと見ていたが、少年はたいして迷いもせずにその場に膝を折りたたんでうずくまり、半身を傾けて直にスープを舐めはじめた。
本当に小動物か何かのようだ。

「・・くそ・・つまんねえガキだな。ちょっとは怯えてみせろよ」

ポケットから無造作に取り出した銃で少年の頭をつついてみるが特に何の反応もなく、少年は上半身を元に戻して小さく「スープ、もういいです」とだけ言った。
ますます面白くない。
せっかく暇つぶしがてら来たのだから泣いたり漏らしたりしてくれた方が遊びがいがあるものを。
そんなことを考えながら少年の首筋に銃口を滑らせ顎を持ち上げる。
青い瞳は相変わらず無感情なままだが、この顔立ちも珍しい瞳の色もそういう趣味の連中にはかなり受けそうだ。ただの子供とはいえ捕まえた以上ただで帰すわけにもいかないだろうし、組織の男たちの溜まった性欲の処理に使われるのは目に見えている。
その後はその筋に売り飛ばされるのか、それともこのままここで飼われるのか。
どっちにしろこの子供に選択権はない。
まあ、下っ端の俺には関係無いことだが。
この子供がリーダーに気に入られれば下っ端の構成員には貸してなどもらえないだろう。

「あの・・」
「ん?」
「兄さんは・・・・・?」
「ああ、いまごろ尋問受けてるんじゃないか?」

一緒にいた兄の方は尋問用の部屋にに連れていかれた。
あっちはあっちで利用するつもりらしいからおそらくそこまでひどい扱いは受けていないはずだが詳しくは知らない。

別に男はそこまでおしゃべりなわけではなかった。
しかしこのとき、戻ってもとくにやることもなく暇だったためつい口が軽くなっていた。子供相手で気が抜け油断していたというのもある。
男は少年の隣にどっこいしょと座り込み話し始めた。

「お前ら兄弟が誰に雇われたかは知らねえけどよー、ちょっとタイミングが悪かったな」
「・・たいみんぐ?」
「今この組織の連中はいつも以上に気が立っててよ。なにしろ最近、仲間の一人が公社に探り入れてる途中に殺されたんだ」

その発言をした瞬間、少年の目付きが変わったのに男は気がつかずそのまま話を続ける。

「・・・・・・」
「正確には殺されたんじゃなくて自殺だったらしいけどなー。追い詰められた後にこの組織のこと吐かされんのを恐れて自分で頭撃ったらしい」
「・・・・・」
「知ってっか?社会福祉公社ってのは表向き政府主導の慈善団体みたいな顔してやがるが本当はそんなんは全部建前で本業は政府の敵や気に入らない連中を秘密裏に消すための組織なんだぜ?その人はもう少しで言い逃れできないような決定的証拠を持ち帰れたらしいんだがな。そうしたらそれを世間にバラまいて奴らを潰してやれたかもしれないのに・・」

「知ってますよ」

不意に、遮るように少年が口を開いた。
「あ?」と横を向いた瞬間、手元でもて遊んでいた銃が蹴り飛ばされ寸分おかずに横から強力な蹴りが襲い倒れ込んだ。
なんだ?なにがあった?
状況が飲み込めず激痛にうめきながら目を開けるとガチャリとこめかみに冷たい感触が突きつけられた。

「声をあげればこのまま撃ちます」

銃。先程まで自分が持っていた銃だ。
後ろで縛られていたはずの少年の手はなぜか自由になっている。

「な゛・・・・あ・・・・お前、」
「撃ちますよ?それとも首の骨を折られる方がいいですか?」

青い大きな瞳がわずかに細められる。
どこにでもいそうな子供なのに、その雰囲気はまるでさっきとは別人だった。

「10秒待ちますから、兄さんの居場所を教えてください」
「は・・?何言って・・」
「教えないのならカウントダウン終了と同時に頭を撃ち抜きます」

少年は丁寧で平坦だがどこかイラついているようにも感じる口調でそう言い、おもむろにカウントを始めた。

「きゅう・・、はち・・、なな・・、」

まるで鬼ごっこの鬼が数を数えるような声なのに、男の防衛本能は全力で危険だと告げていた。
殺される。
このガキは本気で俺を殺するもりだ。

「よん・・、さん・・」
「に・・二階の・・階段右手の部屋だっ」
「・・本当ですね?」

こくこくと何度もうなずく。
しかし少年は構えた銃をおろそうとはせず、むしろ一層強く銃口を押し付けてきた。
口内が乾き、じわりと嫌な汗がにじむ。女子供に銃をつきつけたことは何度もあるがその逆は初めてだ。

「この建物には何人ぐらい仲間がいるんですか?」
「た・・たぶん、15人かそこら・・・」
「そうですか」

少年は深く息を吐き、ぽつりとつぶやいた。


「じゃあ、残りは14人ってことですね」


「へ・・・・?」

男がその言葉の意味を理解する暇などなかった。
引き金が引かれ、乾いた音が地下室に響き・・男の意識は永遠に閉ざされた。


作品名:GUNSLINGER BOYXIV 作家名:net