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恋のアルチメータム

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「ユウ、君は僕とタクト、いい加減にどちらかに決めてくれないか」


スガタはユウへ意地悪く言った。意地悪いのは言葉だけではない。
スガタに触れられて、ユウのものはもうはち切れそうなくらいだと言うのに、ここで止めるなんて本当に意地悪……スガタが意地悪なのはいつものことだけど。

なんて心の中で溜め息を吐いたのが顔にでも出ていたのか、くちゅ、と指先でその先端を痛いほどに抉られる。でもそれくらいじゃ勿論、決定的な刺激には成り得なかった。


「…す、がたぁっ!!…も、おねがい……」
「違うだろ。僕は、選んでって言ってるんだ」


ユウは嫌々するように首を振った。シンドウ邸、放課後。今日タクトと教室で、こっそり唇を重ねたのを、スガタに見られていたのかも知れなかった。
そうでもなけりゃ、こんな、とユウはぼんやり思った。


「考え事?余裕だね。タクトのことだったら、妬けるな」

そう言いながらも笑顔で、スガタはユウの心臓の辺りへ口付けた。ユウの胸にはスガタの散らした、沢山の鬱血痕。
爽やかな顔をして、所有欲の強いスガタのやりそうなこと、


「ユウ、選んで。……勿論、タクトを選んだらここで止めるけどね」
「やっ…そんな、あッ!?」
「当然」

ユウのそれを根元から、スガタはきつく握り込んで、その耳元に唇を寄せると、「……握り潰しちゃおうか、コレ」なんてユウを脅す。ユウは自分の血が、さっと下がる音を聞いた。
スガタは喉を鳴らして笑うと、ユウの耳へ、とどめとも言える言葉を吹き込んだ。


「僕を選んで。そうしたらユウ、君が今一番欲しくて欲しくて堪らないもの、あげるよ?」
「………ぁ」
「欲しいよね。僕の」


ユウは思わず生唾を飲み込んだ。
それを聞いたスガタがまた笑う――……ユウが、頷こうとした刹那。


「ユウ、スガタッ!!!」
「――タクト……!?」


扉が唐突に開かれて、その向こうに、息をきらせたタクトが立っていた。
友人であるはずのスガタが、しかし憎々しげにタクトを睨んだ。タクトも負けじと睨み返す。


「それ、僕の。返してよ」
「何を言ってるのかわからないな…こいつは僕のだ。なあ、ユウ?」
「…………」
「……ユウ」


スガタはユウのそれから手を離すと、覆い被さっていた身を起こした。タクトが怒気を露にして部屋へと踏み込んでくる。スガタはユウとタクトを見比べて、それから切なそうに眉根を寄せた。同じく身を起こしたユウの手を取って顔を覗き込み、尋ねる。


「僕のこと、嫌いかな。タクトのことが好き?僕のことは選べないの、かな………」


ユウは答えなかった。ただ、ユウが視線を逸らしたのが全ての答えかと思って、スガタはきつく唇を噛んだ。しかしスガタは恨み言なんか言わなかった。強靭な精神力で自分を押さえ込み、ユウへ笑顔さえ向けて見せた。


「タクトがいい奴なのは、僕も保証する」
「スガタ………」

ユウは首を振った。 スガタは「良いんだ」と笑ってベッドを下りる。タクトの肩を叩いて、部屋を出ていこうとしたスガタを、しかしユウは「待って!!」と呼び止めた。
ユウはスガタとタクトを見比べて、頬を染め口を開いた。


「どっちも、……好きなんだよ。選べないよ。オレ、おかしいのかなあ……?」
「…………」
「しょうがないじゃん!!……いや、何がしょうがないのかは、わかんねえけど、なんていうか…………」

ユウは尻すぼみに呟いて、ああ、もう!と顔を両掌で覆った。
タクトとスガタは驚いた顔をしていたが、やがてどちらともなく見つめあって、ぷっと吹き出した。


「敵わないな」
「贅沢だよね!」


笑いながら二人はネクタイを外した。訝しげに首を傾げたユウへ、スガタは悪戯っぽく、タクトは快活に笑って見せた。
そして二人同時にベッドへ腰掛け。



『じゃあ、これからは二人で楽しませてあげるよ』





* * *




「……さ、3P…………」
「さすがです部長!!!」
「これで誰もあぶれませんね!!!イッツアミラクル!!!」
「はは………ありがとう……」


……何か大切なものを失った気がする、とサリナは思った。
舞台のためとは言え、もうちょっと良い手があったんじゃないだろうか……酷く頭痛がした。





作品名:恋のアルチメータム 作家名:みざき