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とあるアーチャーの銀河鉄道 第二章

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〜衛宮〜

結局俺が、家まで気を失った衛宮士郎をおぶって連れて帰ってきた。
一成とタイガーの質問攻めに会ったが、「修理中のストーブにまだ、灯油でも残っていたのではないのか。」ということにした。ちなみに「二人が来る前に、綺麗に掃除しておいた。」とも付け加えた。
士郎に関しては、「火傷の痕がないから、驚いて気絶したのではないのか?」という風にしておいた。
事実はもっと大変な事に成っていた。幸い「魔術回路」と「肉体」のズレは最小限で、少し魔力を流せば治る程度のもので済んだ。
これというのも、この事態は経験済みで念のため聖凱布の切れ端を右腕に結んで置いたからである。そのため、簡単に言えば「抗魔力」の力で「魔力抱出」の蛇口を補強したのだ。
家の前に付くとアレイスター・クローリーが待っていた。
「なかなか、面白い見世物だったぞ。」
「そうか。それはよかった。」
そういって、いつも士郎だった自分が入れているバックから自宅の鍵を取り出すと、鍵を開け玄関に入った。
「なにもないが、上がってこい。」
「いいのか。」
「かまわんさ。元をただせば俺の家なのだから。」
間違いではなかった。見慣れた光景がそこに広がっていった。
そして、士郎の寝室に布団を敷くと士郎の制服を脱がし背中に手を当て「魔力回路の補修」を行った。
呼吸が少し楽になったらしく、寝息が心地よさそうだった。
「さて」
そういうと、自分はこの時代すでに故人となった「衛宮切嗣」の遺影の飾ってある仏壇に線香をあげ合唱をした。
「君は以外に信心深いのだな。」
「いや、これは俺を助けた切嗣へのお礼だ。」
「そうか。」
そして、時計をみた。どうやらもうすぐらしい。
「アレイスター。士郎の隣部屋辺りに隠れていて貰えるか?」
「これから何が始まるのだ?」
「俺が忙しくなるのだ。」

桜と、タイガーこと藤村大河はいつもより早く士郎の家に向かっていた。既に放課後だったため、帰宅させるのが一番と思い「ヤト君」に任せてしまったものの、気がかりである。今日の夕飯がカップ麺になる可能性も含め、士郎を待っていたと思われる桜ちゃんを念の為の予備戦力として捕まえ、一緒に向かうことにした。ちなみにことの事情を話した途端、顔から血の気が引き倒れそうになったのだが、今は大丈夫のようだ。
そして、衛宮邸につくといつものように入っていった。
すると、台所からスムーズな包丁がまな板を叩く音が聞こえた。そのリズムは、明らかに「士郎」のものだった。
「先輩おきていて大丈夫だったのでしょうか?」
「私も、詳しく解らないけど大丈夫だったみたいね。」
そういって台所まで入っていった。
「士郎君。けがとかなかったの?」
「今日は、買い物に行ってないから残り物で我慢しろ。」
「え?」
そこにいたのは、ヤト君だった。
何故に彼が、台所で料理しているのだろう?
「藤村先生は、茶の間で待っていて下さい。」
「あ、はい」
「桜君」
「はい。」
「冷蔵庫の中の卵を三個程割って、そのたれに混ぜてくれ。」
「あ、はい。」
何故か違和感なく、この台所を無駄のない動きはこの台所の主「衛宮士郎」その人のように思えた。

そんな、中ヤトの手伝いをいつのまにかさせられていた自分も驚いていた。
「まるで、先輩と料理しているのと同じ手順だ。」
それは、技量の差こそあれ基本が先輩と同じなのである。
「後は、十分ほど鍋で煮れば完成。」
そういうと、彼が私と先生に声をかけた。
「士郎なら、いま寝室で寝ている。もうすぐ夕飯が出来るから、起こしてきて貰えるか?」
「あ、はい。」
私は、さっきから返事することしか出来なかった。
なぜ彼は、士郎の料理レシピを知っているのだろうか?
桜に疑問が生まれた。

少し蒸しあがるまで時間があるし、それまで火の番もかねて台所にいつも用意してある椅子に腰掛けた時だった。
「少しいいかしら、ヤト君。」
「何か、藤村先生?」
「一成君に聞いたわよ。どうして、縁戚の人間だったことを隠していたの?」
「ああ、そのことでしたか。」
嘘じゃなく血縁というか、当人なのだから仕方ないが、説明を統一していなかったのが良くなかったな。
「俺も家の長老の話を聞いただけなのだが、涼宮家は衛宮家の分家筋に当たるらしい。そして、衛宮切嗣が衛宮家の頭首だったらしいのだが、亡くなる数年前頃からなにか事情があって疎遠になってしまっていた。」
「そのなにかって?」
「さあな。そればかりは長老も他の年寄も口を開こうとはしない。ただ、今になって「士郎」という養子をもらって「「衛宮」の姓を名乗らせているらしいから、「衛宮」に相応しい者かどうか見て来い。」と言うのが長老の話だ。」嘘八百である。
そうしといた方が、良いかもしれないというか単純明快なタイガーに嘘なんて見破れるはず無いのだが、一応そういう風に設定しておいて問題は無いだろうと思った。
「その料理の手際を見なかったら、意地でも家から追い出していたでしょうね。」
「それは何故だ?」
「簡単。料理の動きが士郎君によく似ているもん。」
「当人です。」という突っ込みは控えることにした。

衛宮士郎は、初めて料理においてここまでの屈辱を受けた。桜に下着姿を見られたのは、そりゃあ恥ずかしいがそれ以上にヤトの作った料理は、全部自分の得意料理ばかりであった。そればかりか、味付けが自分より上なのである。
桜と、タイガーもヤトの料理が自分の得意料理と知っているだけに、複雑な顔をしていた。
「おい。ヤト」
「何だ。」
「この卵焼きの味付けは、市販の物じゃないだろう。」
「良くわかったな。」
「そりゃ、この料理は俺の得意だからな。使ったのは煮干を細かく粉状にしたものだろう。」
「半分正解だ。」
「なに?」
「もう半分は、自分で当ててみろ。」
「クソ。」
一度挑戦した事があるが、ここまでの味にならず断念したのだ。
「そういうより、俺としてはほかの事に目を向けてほしいのだが。」
言い返せなかった。
「確かに、士郎君の料理人バージョン的レベルの味ね。」
「先輩も料理の道に入れば、彼位のレベルになりますよ。」
桜達の慰めが逆に自分を惨めにした。
「そんな落ち込んでいると、折角の料理が冷めるぞ。」
そういって、自分の好物に箸を伸ばしたときだった。
ヤトの箸も同じ物に向かっていた。
二人は、ピタット動きを止めた。
いくら人が良い人で知られる僕だがこの料理は絶対はずさなかった。
どうやらヤトも同じようだ。
そして、中国雑技団紛いの箸の攻防が繰り広げられた。
しかし、こいつは料理といい好物といい何故自分と同じなのだ?
「スキあり。」
一瞬の迷いが隙を生み料理は奴の口の中に入っていった。
いつかこの恨みを晴らす事を誓った。

その日、言峰綺礼は教会じゅうを落ち着かず昼間から歩き回っていた。
「私が、この数年アイツへの復讐と「聖杯」を手に入れるため、どれ程の苦労をしてきたと思っているのだ。」
あの、魔力の塊みたいなアレイスターを敵にすれば大抵どんな魔術師も逃げるか、自害するだろう。
それくらいの、相手なのである。
「五月蝿いぞ雑種。」