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【米英】HAPPY☆ICE CREAM

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「何考えてたんだい?」
「な、何って、別に」
 慌てて目を逸らすが、バレバレのようだ。アメリカが苦笑を洩らすのが気配で知れた。
「そうかい?」
「ああ……」
 まっすぐな視線に耐えられなくなってそっと振り返ると、口がふさがれた。キスをされたのだと分かったときにはアメリカの舌が俺のそれに絡みついていて、軽くくちびるを吸われたのち、すぐに離れる。
「イギリス」
「ん……」
 あまりに短いそれに、物足りなさを感じているとアメリカが笑った。
「甘いね」
「……ああ、甘い」
「さっきの、まだついてるぞ」
 アメリカが云ったと同時、ぺろりと舌が頬を拭う。アイスを舐められたのだと知り、つられたように笑った。
「っ、ばか。犬みてえ……」
「……イギリス、熱くなってる」
 アメリカの手が股間に触れる。あっさりとした口調だが、どうやらその気になってきたのは俺だけではないようだ。その証拠にくちびるに触れる息が荒くなっている。
「アイス、冷凍庫に入れねえと、溶けるぞ……」
 下着に手を掛けられながら、溶け始めているのは俺自身かもしれないと、頭の隅で思った。


***

「……という新刊を出そうと思っていたのですが、私としたことが落としてしまいました」
 日本の声に、イギリスは目を剥いた。
「はあっ!? に、日本……?」
 なんだこれ、と手にした原稿用紙を眺めながらイギリスは呟いている。その横から覗いたアメリカが驚いた声を上げた。
「ワオ! 何だい、これ! ありえないだろう!」
「だよなあ……」
 俺とお前が、こんな……なんて。そう云おうとしたが、アメリカの言葉が遮った。
「イギリスのスコーンがおいしいなんて、まったくありえない話だぞ!」
「そっちかよ!」
 突っ込んでから、ん? そっちなのか? とイギリスは首をひねる。何かがおかしい気がしたが、日本の微笑により思考は閉ざされる。
「そんなこと仰って、アメリカさんはもうスコーン入りのアイスを開発なさってるじゃないですか」
「えっ……」
「な、何のことだい、日本?」
 イギリスとアメリカの声が重なる。スコーン入りのアイス? 初耳だ。そんなのをアメリカが本当に作ったのだろうか。半信半疑かつ期待を込めてイギリスはアメリカを振り返った。
「そうなのか、アメリカ?」
 う、という顔をアメリカはした。けれどすぐにそっぽを向いてしまう。
「さあ……、俺は知らないぞ!」
 そんな二人を前に、日本は一人、にこにこと笑っていた。

(了)