鉄の棺 石の骸8
1.
お終いだ。
ついに世界の滅亡の日が来てしまった。
この日を恐れて、今まで必死になっていたというのに。
世界全体を救うには、あまりに時間が足りなすぎた。
――そう、「私たち」が救うには、あまりに時間が足りなすぎたのだ。
モーメントは人の負の心の作用に影響され、とうとう破滅的な逆回転を始めてしまった。
暴走したネットワークは自滅の道をたどり、今まで人間を襲っていた機皇帝は連鎖するように自爆していった。
爆発に巻き込まれて、人間の身体があちらこちらで吹き飛ばされていく。
倒れる建築物、大地に穿たれた深い深い裂け目。
大地の裂け目の底には、赤々としたマグマがとうとうと流れている。その裂け目に、幾人もの人々が落ちていく。
その中には、「遊星」がよく見知った顔もいた。
ある人は、以前に「遊星」が機皇帝から助けた人だった。彼は深い感銘を受けたと言い、自ら遊星についてきてくれた。
またある人は、クリアマインドを披露した時にその場にいた。最初はこんなことで機皇帝が防げるのかと疑っていたが、その後はただ一心に「遊星」のことを信頼してくれた。
ある人は、ある人は……。そんな人たちが、今「遊星」の目の前でマグマに飲まれ、消滅していく。
『――助けてくれ、遊星!』
一人でも多く救おうと、「遊星」は必死で手を伸ばした。せっかく届いた手も、するりと滑って彼女もマグマに落ちていく。
『みんな……!』
愕然とする彼を今度は爆風が巻き込み、彼の身体をしたたかに瓦礫の山へと打ちつける。
やっとのことで彼が身体を起こした時には、もう全てが終わっていた。
手の中で、《シューティングスター・ドラゴン》の潰れる感触だけが残った。
「私たち」は、誰一人として救ってやれなかった。
「私たち」は、誰の力にもなってやれなかった。
「私たち」は、無力だ。
これを絶望と言わずして何と言うのだ。
――心の中の、たった一つの鉄の箱。
――その中で「遊星たち」の心は共に砕け、粉々になってしまった。
――何よりも強い絶望に、衝撃を受けて。
お終いだ。
ついに世界の滅亡の日が来てしまった。
この日を恐れて、今まで必死になっていたというのに。
世界全体を救うには、あまりに時間が足りなすぎた。
――そう、「私たち」が救うには、あまりに時間が足りなすぎたのだ。
モーメントは人の負の心の作用に影響され、とうとう破滅的な逆回転を始めてしまった。
暴走したネットワークは自滅の道をたどり、今まで人間を襲っていた機皇帝は連鎖するように自爆していった。
爆発に巻き込まれて、人間の身体があちらこちらで吹き飛ばされていく。
倒れる建築物、大地に穿たれた深い深い裂け目。
大地の裂け目の底には、赤々としたマグマがとうとうと流れている。その裂け目に、幾人もの人々が落ちていく。
その中には、「遊星」がよく見知った顔もいた。
ある人は、以前に「遊星」が機皇帝から助けた人だった。彼は深い感銘を受けたと言い、自ら遊星についてきてくれた。
またある人は、クリアマインドを披露した時にその場にいた。最初はこんなことで機皇帝が防げるのかと疑っていたが、その後はただ一心に「遊星」のことを信頼してくれた。
ある人は、ある人は……。そんな人たちが、今「遊星」の目の前でマグマに飲まれ、消滅していく。
『――助けてくれ、遊星!』
一人でも多く救おうと、「遊星」は必死で手を伸ばした。せっかく届いた手も、するりと滑って彼女もマグマに落ちていく。
『みんな……!』
愕然とする彼を今度は爆風が巻き込み、彼の身体をしたたかに瓦礫の山へと打ちつける。
やっとのことで彼が身体を起こした時には、もう全てが終わっていた。
手の中で、《シューティングスター・ドラゴン》の潰れる感触だけが残った。
「私たち」は、誰一人として救ってやれなかった。
「私たち」は、誰の力にもなってやれなかった。
「私たち」は、無力だ。
これを絶望と言わずして何と言うのだ。
――心の中の、たった一つの鉄の箱。
――その中で「遊星たち」の心は共に砕け、粉々になってしまった。
――何よりも強い絶望に、衝撃を受けて。