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つわものどもが…■04

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「あの方に一切関わらないでもらおうか」
単刀直入に言い切る。
『…っざけんな、テメェ』
声音を低くしたかと思うと、どれだけ待ったか、とがなり立ててきやがった。まともに聞く気のなかった俺は携帯を耳から少し遠ざけ、煙草をふかしていた。あぁいい天気だ。
電話の向こうの騒音もそろそろ収まったか、と然して短くもなっていない煙草を灰皿に押し付ける。と、
「小十郎…sorry,まだ長引きそうか?」
戻ってきた政宗様が気遣わしげに声を掛けてこられた。
「すみません、直ぐ済みますので」
「じゃあ俺もう少し見て回ってるから、終わったら声掛けてくれ」
言って、今度は買い物籠を取って店内に戻られた主に、すみません、と重ねて詫びて、仕方なく携帯に意識を戻す。
『ハッ、直ぐ済むたぁ…馬鹿にされたもんだなァ?今の、政宗…だろ?』
「その通りだ。が、そうではない」
『…はぁ?』
素っ頓狂な声に、俺はわずか苛立ちを覚えて小さく舌打ちした。
「その様子では、記憶があるのだろう?」
『まぁ…そうだが』
「あの方には、それがない」
手近な壁に背を軽く預け、澄んだ空を仰いで告げる。
『なに…言って…』
「あの方は、テメェ等の事はもとより俺の事も、覚えてはおられん」
『冗談きついぜ…』
「だが真実だ」
そう、それが現実。
「あの方に近付かないでもらおうか」
『おいおいおい、それこそ冗談じゃねぇ…っ、あ、おい元就…っ』
『代わった。片倉か?』
「あぁ。…毛利か、」
『どういう事か。簡潔に述べよ』
「いま西海の餓鬼にも言ったが…あの方にはかつての記憶がない。徒に関わらないでもらいたい」
『なるほど…不用意な入れ知恵はするな、と申すか』
「話が早くて助かる」
『ふん、政宗に悪しき結果をもたらす事は我の本意でないだけ。キサマの為などではないわ』
相変わらずいけ好かねぇ。
「ではもうひとつ、あの方に近付かないで頂こう」
『小賢しい。キサマ如きの斯様な提案を受け入れると思うてか』
「テメェ…っ」
『勘違いするな、先の件は我も異論ない』
「では…」
『記憶など関係ない。今生では我もただの学生よ、独眼竜がそうであるように、な』
ただの学生、それこそ冗談だろうと言いたい。が、今はこの腹の内を見せない野郎に頼るしかないのが口惜しい。
「ともかく、あの方がかつての奥州王でない事を覚えておいてくれ」
『……承知した』
念押しすると、不承不承といった返事が寄越され、そして容赦なく通話が断たれた。
俺は苦々しい思いで物言わなくなった携帯を見遣った。しかし何時までそうしていても気が晴れる訳でもなし、区切りに大きく嘆息し、携帯をポケットに仕舞う。

確かに記憶はお持ちでない。
失礼ながら何度か試すような事をさせて頂いたので間違いない。

どうした巡り合わせか、同じ名で、同じ眼差しで、同じ仕種で。それでいて全く違う。
この胸に巣食う想いが竜の右目としての「小十郎」のものなのか、この世を生きる「俺」のものなのかは分からない。
それでも…
あの竜の魂を宿すお方を大切に想っている事に相違はない。
例え記憶があろうとなかろうと、「政宗」様は「政宗」様なのだから。





(お題提供:エソラゴト様 http://eee.jakou.com/)

** あとがき **
こんな口調かな、こんな対応かな、と考えながら書くのが楽しかったですw
矢鱈と長くなるのは……よくない癖です、すみません。
** 2011.3.5 **
作品名:つわものどもが…■04 作家名:久我直樹