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雨の朝

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雨が降る。曇天の空からこぼれ落ちる雨粒はまるで己の心のよう。
帝人は自分の部屋の中の唯一存在する鏡を見つめながら、己の首筋を見つめ続けた。
信じていた。信頼していた。信用していた。その帝人の気持ちを、あの男--臨也は裏切った。
今までの交戦も、ダラーズの内部腐敗も、友達の喪失も全て全てあの臨也が己の人間観察のために仕組んだことだった。
帝人を愛していると言った同じ口で同じ声で、あの男は帝人の友を傷つけ、追いやり壊した。
奥歯を噛み締めながら、帝人は目に力を入れる。そうでもしないと泣き出してしまいそうだったから。
裏切られていたと分かっていても、思い出すのはあの人の笑顔。あの人の優しい手のひら。
心が痛くて痛くて、ぶすぶすと鋭利なナイフで肉を生きたまま引き裂かれているかのよう。
帝人はその哀しみに、臨也への愛に蓋をした。
そして、手に持っていた持っていた包丁を己の首筋に立てる。

「・・・さようなら、臨也さん」



作品名:雨の朝 作家名:霜月(しー)