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雨の朝

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雨脚が強く窓を叩き、外の景色がぼやけて見える。
臨也はオフィスの椅子に座りながら、ぼんやりと池袋の方向を眺めていた。
最初は新しい駒と思っていたはずなのに、いつの間にか彼の表情に、内面に惚れてしまって。
気が付いたら好きになっていて、愛していた。
だから、怖いと思う。帝人が今まで自分がやってきたことを知ったときが。きっと帝人は臨也を許さないだろう。
もう二度と、笑いかけてくれないに決まっている。臨也は自分が臆病になっていることを理解し、自覚していた。
自分から告げることはない。そして、これからも帝人に気が付かれないように、知られないように隠していくつもりだ。

(雨・・・止まないなぁ・・・)

背もたれに背を預けたまま、PCを開いてみたものの仕事をする気にならずただ時間だけが過ぎていく。
波江は今日、弟が旅行に行くというので付いていってしまったため、今現在このオフィスには臨也1人。
雨が降っていなければ、帝人をこのオフィスに呼んで2人で過ごせたはずなのに。
流石にこの雨の中、帝人を呼ぶわけにはいなかい。
自分が向かえば良いのかもしれないが、雨で濡れた自分を帝人に見られたくなどなかった。

(濡れると髪の毛のセットとか崩れるし、帝人君部屋濡らしたら嫌われるかもしれないし・・・)

臨也はため息を吐くと、付けっぱなしだったPCからネットを繋ぎ、チャットルームを覗いてみる。
けれど、帝人がいる形跡など無く、そこには自分だけしか存在していない。

「帝人君・・・どうしてるんだろ・・・」

臨也はまたため息を吐くと、チャットルームから退室し、また窓の外を見つめ続けた。

「君に会いたいよ・・・」



作品名:雨の朝 作家名:霜月(しー)