箱庭
幸せな夢を見ているようだった。
アメリカが独立した。
雨の中、突き付けた銃と、突き付けられた銃と言葉は、イギリスに酷い痛みをもたらした。
時間とはなんと残酷なのだろう、とイギリスは思う。
イギリスが与えるものだけではなく、もっとたくさんのものを自分の目で見たいのだと、アメリカは言う。
アメリカはいつの間にか、イギリスの庇護を必要としないほど大きくなっていたのだ。
かつてイギリスが望んだように、夢と希望を抱いた瞳はそのままに、アメリカは強く大きくなった。
それはイギリスにとって、微かな喜びであり、大きな悲しみだった。
イギリスの愛した幼い弟はもうどこにもおらず、あの日々が戻ることはない。
それだけが今のイギリスにとって、ただひとつ確かなことだった。