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和(ちか)
和(ちか)
novelistID. 11194
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My home2

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My home XIII


「菊ちゃん可愛い! 嫉妬するぐらいお兄さんのこと好きなんだったら言ってくれれば良いのに! そしたら一緒に座ったりしなかったよ?」
「……やっぱり嫉妬したの、好きだからだと思いますか?」
「え、菊ちゃんもしかして好きだって気づいてなかったの?
「はい……」
「嫉妬なんて、相手のことが好きで独占したいと思ってなきゃしないじゃない。
 目の前で凄く綺麗なお姉さんとキスしてたわけでもなければ、ただの兄弟とか友達なのに嫉妬はしないと思うよ?」

そう言ってすぐに、再び胸にめり込むんじゃないかと思うくらい強く抱きしめられて唖然とした。
年齢と同じかそれ以上の女性との交際経験があると言うフランシスさんが言うならそうなのだろうし、考えてみれば最もだ。 私は兄弟がいないから詳しくはわからないが、どんなに仲が良くても普通なら血は繋がらないとは言え兄が女性と話してるだけで嫉妬はしない気がする。 それに以前のように甘えられなかったのも、恋の相手として見ていたからと思うと説明がつく。 そうなると、私は疾うの昔に彼のことが好きだったことになるわけだ。 自分では気づかなかったなんて、確かに言われた通り鈍いかもしれない。
でも、恐らく気づきかけてはいたのだ。 ベールさんに言われた時も、帰り道でも。 けれど気づくのが恐くて、わざと考えなかっただけで。

「そうですね、本当は私もうずっと前からフランシスさんが好きだったのかもしれません」
「はぁ、なんだ。 だったらもっと早く気づけばよかった、お兄さんなんて今考えたら多分一緒に住みだした頃から好きだったのにな」
「えっ!?」
「自覚したのはちょっと前なんだけど、考えてみたらそうなんだよねぇ。 なのにあいつと仲良さそうに歩いて行っちゃうんだもん、あれには嫉妬したなー」

少しだけ腕が緩んで、顔を見上げたらにやりと悪戯っぽく笑いかけられた。

「じゃっじゃあ、お相子ですね」
「えー、でもお兄さんおいて行かれた上にちょっと嫉妬して怒ったら無視されたんだけど」
「それは……申し訳なかったと思ってます」
「じゃあ罰として、今日はお兄さんと一緒に寝てくれる?」

一緒に、と言うとベットで添い寝と言うことだろうか。 フランシスさんの匂いの染み付いたベットで一晩。 ついでとばかりにベットの上で絡み合い盛り上がり始めた妄想を振り払って首を振った。 そんな恥ずかしいこと出来るわけが無い。

「いっ、嫌です!」
「なんで?」

からかわれて抗議しようと上げた顔を掴まれた。 フランシスさんのささくれ一つ無い滑らかな手が優しく頬を撫でる。 半ば無理矢理に向き合わされた顔に揶揄するような色はなく少し拗ねたような、けれど本気なのがわかる真摯な表情をしていた。
そんなに私なんかと一緒のベットで寝たいのか。 改めて見せ付けられたフランシスさんの想いに、戸惑いで口篭った。 好意への喜びと美しい顔に絆された心が一緒に寝るくらい良いじゃないですか、と呟いた。 恥ずかしさなんて我慢できるでしょう、とも。
しかし流石に付き合い始めて一日で体も、と言うことは紳士的なフランシスさんに限ってないと思うのだが何となく不安だ。 それに何よりこの端整な顔が一晩中、私の顔の直ぐ側にあるなんて耐えられるだろうか。

「ねぇねぇ菊ちゃん。 そんなに頭抱えて悩まないでくれると嬉しいなぁ、流石にお兄さん傷つくんだけど……」
「あっ、すみません……!」
「何にもしないから。 抱きしめて一緒に寝るだけだよ」

空いていた隙間を埋めるように抱き寄せられた。 耳元で低い声が誘うように良いでしょ、と囁く。 最初は拒否する方に傾いていた天秤は徐々に承諾が重さを増して、今や心はすっかり提案を受け入れてしまっていた。
それでも最後の抵抗として深く溜息を吐く。 もしかして、今から冗談にしてくれないだろうかと言う僅かな期待を乗せて。
でもいつまで経ってもフランシスさんは私の返事を待っているだけで何も言ってくれなかった。 もう、こうなっては仕方ない。

「わかりました……」
「え、本当!? やったぁ、菊ちゃん愛してる!」

むぎゅっと潰れそうになるほど強く掻き抱かれて歪んだ頬の肉が痛むのに、フランシスさんが心底嬉しそうに抱きしめるから私も何となく嬉しいような気持になって微笑んだ。
私は確かに、この人に愛されているのだ。
作品名:My home2 作家名:和(ちか)