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だいすきだいすき!に!

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せかいでいちばん!





さくらぐみの新羅といえば、あの問題児臨也の唯一の友達らしい。
どこで波長が合ったのかは知らないが、帝人先生の知っている限りでは、気づいたときには割りと良く遊んでいるっぽかった。
だがしかし、そんな二人が珍しく、今日は言い争いをしているようだ。


「ぜったいにみかどくんだもん!しんらのばか!へんたい!」
「こればかりはゆずれないよ!せるてぃにまさるものなし!」
「しんらはめがわるいから、そうおもうんだ!そうにきまってる!」
「ちがうもん!いざやはせいかくがゆがんでるからそうおもうんだ、ぜったいにせるてぃだもん!」


ぎゃーぎゃーと言い争っている言葉をきいただけで、帝人先生はげんなりする。何で園児同士の喧嘩にまで自分の名前が出てくるのだろう、もういい加減にしてくれないかな本当に。
「はい、ストップ」
今にも掴みかからんばかりの二人の間に割って入って、殴り合いになる前に喧嘩を止める。ふてくされた表情で押し黙った二人に交互に視線を向けて、帝人先生はゆっくりと尋ねた。
「何が原因で喧嘩してるのかな?」
「・・・」
「・・・」
ぶーっと頬を膨らませた二人は、ちらりと互いに視線を合わせて、ぷいっと顔を逸らす。
「しんらがばかちんだからだもん」
「いざやがわからずやだからだよ!」
「はいはい、やめなさい。それで、原因はなあに?」
帝人先生にとっても弱い臨也なので、首をかしげて尋ねられたなら答えざるを得ない。しぶしぶ口を開いて答えた喧嘩の原因はというと。



「みかどくんがせかいでいちばんかわいいんだもん」



「・・・は?」
「ちがうよ!せるてぃだっていってるじゃん、いざやのあほ!」
「みかどくんいがいにないっていってるじゃないか!しんらのおたんこなす!」
「せるてぃなんて、こわいはなしがにがてでうちゅうじんとかこわがっちゃうんだぞ!かわいいじゃないか!」
「みかどくんなんてゆうれいとかだいすきでしんれいすぽっとにこのんでいっちゃうんだぞ!かわいいだろ!」
「ストーップ!」
一体何かと思ったら、この二人は何てくだらないことで言い争いをしているのか。帝人はあきれつつも再び取っ組み合いになりそうになった二人を引き剥がし、あのねえ、とため息をついた。
「可愛いとか可愛くないとかいうのはね、人それぞれだから、誰が一番ってことはないんですよ」
「でもみかどくんがかわいいもん」
「せるてぃのほうがかわいい」
これは無限ループの可能性が大である。っていうか、と帝人先生は遠い目をした。僕、男なんですけど。
「みかどせんせい!みかどせんせいはどうおもう?やっぱりぼくのせるてぃのほうがかわいいよね!」
「ばかだなしんら、みかどくんがこのじょうきょうでじぶんのほうがかわいいなんていうはずないだろ、けんきょなこなんだから。できたよめだよ」
「嫁じゃないです。とりあえずセルティ園長は可愛いと僕は思いますよ」
ちょっとしたことに大慌てしたり、料理が苦手なことが密かにコンプレックスだったり、セルティ園長はとても可愛らしいと思う。職員で肝試しにいった時なんかも非常に微笑ましかった。
「・・・みかどくん、ああいうのがこのみなの?」
がーんっ!とショックを受けたような顔をして臨也が言うと、それをうけて新羅はがるると帝人先生にキバをむく。
「いくらせんせいでもせるてぃはわたさないよ!」
「いえ、欲しいとは言いませんが」
「なんで!あんなにかわいいせるてぃをいらないとかなにさまなのせんせい!」
「そんなこと言われても!先生は、しいていうなら園原先生が一番可愛いと思います」
「ああいうみすてりあすなこがこのみなのみかどくん!おれおれ、おれもみすてりあすだよ!かみのけくろいし、めのいろもちかいよ!」
「いざやあわれだねきみ。やーい、ふられんぼ」
「ふられてないよ!いまはみかどくんがおんなにゆめをみているだんかいで、これからじょじょにおれのみりょくにきづいてときめきをおぼえていくんだよ!」
だめだこのままでは埒が明かない。
帝人先生は最後の手段を使うことにして、丁度廊下を通りかかったセルティ園長を手招きした。とことこと近づいてきた黒いボディの園長先生に、帝人先生は申し訳なさそうに切り出す。
「すみませんセルティさん、誰が一番可愛いかで喧嘩してるんですけど、セルティ先生は誰が一番可愛いと思いますか?」
するとちびっ子二人、はいはいっと手を上げて、
「みかどくんだよね!」
「せるてぃにきまってるよね!ああきょうもなんてうつくしいんだせるてぃー!」
と、一斉に叫んだので、セルティ園長は首を傾げる。
『な、なんでこんなことになっているんだ?』
「いえ、それが臨也君と新羅君が、お互いの主張を譲らず大げんかになってしまって」
ここまでの敬意を手短に話すと、なるほど、とセルティ園長は大きく頷いた。そうして手早く手元のPDAに文字列を打ち込む。



『私は、新羅が可愛いと思う』



一瞬の沈黙。
「せ、せぇるてぃ~!」
きみってひとはなんてよそうがいなんだ!とか言いながらぎゅーっと抱きつく新羅を慣れた様子でなだめつつ、セルティ園長はさらに文字を打ち込んだ。
『子供は天使だな、帝人』
園長先生、多分その子本気です、逃げてください超逃げて。思ったものの、帝人先生は帝人先生で同じような境遇にあるので、口にだすのもためらわれ、曖昧にほほえみを浮かべることしかできなかった。
ちぇっ、と面白くなさそうにふてくされる臨也が、帝人先生のエプロンをぎゅーっと掴む。
「けっ、ばかっぷるが。っていうかみかどくんはもちろんおれがいちばんかわいいよね?」
おれ、てんしのようにあいらしいでしょ?とくりくりお目目で帝人先生を見上げる臨也、寸分の隙もない表情である。この子はどの角度でどの表情をすれば一番可愛く見えるか、を知っているよな、と帝人先生は遠い目をしながら答えた。
「先生は園原先生が一番可愛いと思います」
頑なに臨也から顔を背ける帝人先生のエプロンをさらに引っ張って、若干焦った声がもう一度問いかける。
「おれがいちばんだよね!」
「園原先生です」
これにも即答を返せば、「ああうぅ」とダメージを受けたような声を上げて、臨也は背けられた帝人先生の顔の方向へ回りこむ。
そしてさらなる追撃。
「・・・お、おれっ、おれがっ、いちばんっ、だもん・・・!」
「ちょ、臨也君!?積み木ぶん投げられて流血しても泣かないのに!」
「みかどくんのいちばんだもんー!うぁあああん」
「な、泣かないで臨也君ー!分かった!分かりましたから!一番ですよー!」



折原臨也、泣き落としをマスターする、の巻。

作品名:だいすきだいすき!に! 作家名:夏野