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国城 龍耶
国城 龍耶
novelistID. 24182
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東方無風伝 1

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 シュンシュンとヤカンが沸く音で目が覚める。

「……あ?」

 此処は?
 周囲を見渡す。其処は見知らぬ部屋の中。
 暖かなベッドに埋まった身体を起こし部屋を観察する。木造の部屋に様々な雑貨。火が灯されたストーブに、その上の湯が沸いたヤカン。
 何より気になるのは、沢山の人形。部屋の雑貨よりも明らかに多い数の人形。和風なもの。洋風なもの。中華風なもの。ロシア風なもの。
 一つ手に取って見る。

「……良いのか?」

 それは、俺が元居た世界の某ランドの某黒ネズミ。
 多分、ネタでも小説的には色々危ない。

「メメタァ」

 と、ふと頭に浮かんだ意味の無い言葉を呟いてみる。
 あれから、俺が倒れてからどれ程の時間が経ったのか気になり、時計を探してみるが、視界にはそれは映らなかった。
 仕方がないから窓から外を見る。空は曇り、冷たく柔らかい氷が降り注いでいた。
 ……どうやらかなりの時間が経ったようだ。

「あら、起きたのね」

 ガチャリと部屋の扉が開き、そこから一人の少女が入ってきた。
 金髪にカチューシャ。その顔立ちは人形のように整っている。本人もそれを意識しているのか、その服装も人形のようだった。 
「君が、助けてくれたのか?」

「私はただ介抱しただけ。見つけたのは魔理沙よ。感謝するなら魔理沙にしてちょうだい」

 そう言い放つ少女。
 どうやら俺は、寒さで倒れたところを魔理沙と言う者に拾われ、たまたま近かった少女の家に運ばれたそうだ。

「紹介が遅れたわね。私はアリス。アリス・マーガトロイドよ」

「ん。アリスか。……俺は風間と言う。助けてくれて感謝する」

「さっきも言ったでしょ?感謝するなら魔理沙にしてちょうだい」

「アリス。君も俺を助けてくれた。そのことに変わりは無いだろ?」

「……勝手にしなさい」

 何を言っても無駄だと思ったのかアリスはその顔を俺から背ける。
 顔が赤くなっているように見えるのは俺の気のせいかね?
作品名:東方無風伝 1 作家名:国城 龍耶