想いよ、届け 刺繍組編
2月14日、聖バレンタインデー。
世界中で人々が愛する人に愛を伝える日。
そして、ここにも愛を伝える一組の恋人たちが――。
<英と列の場合>
2月14日、バレンタインデー当日。
スイス宅にリヒテンシュタイン宛の国際小包が届いた。
一応、他国とも付き合いがあるリヒテンに、たまに手紙やら小包が届く事がある。
が、今回の小包には差出人が不明だった。
一応、差出人の欄には「A.K」とイニシャルが書かれていたが、それ以外は全くの不明。小包が出された国はイギリスとなっていた。
家主であるスイスは、「不審物である。これは我輩が開封する」と言って、スイスの私室へと持って行ってしまった。
受取人であるリヒテンはスイスに「ここで待っているのである」と言われ、リビングで待機していた。
しばらくして、開封された小包を持って、スイスがリビングへと戻ってきた。
「兄様、どうでしたか?」
リヒテンはリビングに戻ってきたスイスに駆け寄ってきた。
「………………」
スイスは何やらブツブツと呟いていたが、リヒテンには聞き取れなかった。
この様子からすると、スイスはとても怒っているようだった。
スイスはリビングのローテーブルの上にドンッと小包を置いた。
「……まあ!可愛らしいです!」
リヒテンは小包の中身を見て、感嘆の声を上げた。
小包にはたくさんの緩衝材が入っており、その中にはクマのぬいぐるみと透明なプラスチックのキューブケースに入ったプリザブートフラワー(ピンクのミニバラ)と真っ白な封筒(未開封)が入っていた。
くまのぬいぐるみの左足裏には「Harrods」と刺繍がされていた。
恐らく、イギリスの有名老舗デパート・ハロッズのマスコットとして有名なテディベアだろう。
薔薇はイギリスの国花の一つである。
真っ白な封筒には、同じく真っ白なメッセージカードが入っていた。
カードを開くと、右隅に一つだけ赤いハートマークが押されており、リヒテンの公用語であるドイツ語で、
「Ich liebe dich.」(私は貴女を愛しています)と書かれてあった。
リヒテンはこのメッセージを読んで、思わず優しい笑みを浮かべて、頬を赤らめた。
「!!!!!」
スイスはリヒテンのこの表情を見て、思わず贈り主の男を射殺したい気分になった。
「ゴホン!とにかく、これは警察の鑑識に回して、不審物かどうか鑑定してもら…」
スイスは咳払いをした。
「い、いけませんわ、兄様!!これは私が頂いた物なのですから、不審物かどうか確かめるために鑑識の方々に提出する権利は私にあります。ですから、私が判断します!」
スイスの提案に珍しくリヒテンが異を唱えた。
しかも、リヒテンはスイスに正論をぶつけてきた。
「あ、ああ、そうであるな…」
スイスはリヒテンの珍しい反論に思わずたじろいだ。
「で、では、私は部屋に戻ります!」
リヒテンはスイスの一瞬の隙を突いて、小包を持ってそそくさと自室へと戻って行った。
「……はっ!しかし、リヒテンシュタイン!万が一という事も………」
スイスが正気に戻った時には、既にリヒテンは自室へと戻った後だった。
―やはり、あの御方からでしたわ。
早速、御礼のメールをお送りしませんと…。
リヒテンは小包を机の上に置くと、サイドテーブルに置いてある携帯電話を手に取った。
そして、ベッドの上に腰かけて、ポチポチと携帯メールを打ち出した。
世界中で人々が愛する人に愛を伝える日。
そして、ここにも愛を伝える一組の恋人たちが――。
<英と列の場合>
2月14日、バレンタインデー当日。
スイス宅にリヒテンシュタイン宛の国際小包が届いた。
一応、他国とも付き合いがあるリヒテンに、たまに手紙やら小包が届く事がある。
が、今回の小包には差出人が不明だった。
一応、差出人の欄には「A.K」とイニシャルが書かれていたが、それ以外は全くの不明。小包が出された国はイギリスとなっていた。
家主であるスイスは、「不審物である。これは我輩が開封する」と言って、スイスの私室へと持って行ってしまった。
受取人であるリヒテンはスイスに「ここで待っているのである」と言われ、リビングで待機していた。
しばらくして、開封された小包を持って、スイスがリビングへと戻ってきた。
「兄様、どうでしたか?」
リヒテンはリビングに戻ってきたスイスに駆け寄ってきた。
「………………」
スイスは何やらブツブツと呟いていたが、リヒテンには聞き取れなかった。
この様子からすると、スイスはとても怒っているようだった。
スイスはリビングのローテーブルの上にドンッと小包を置いた。
「……まあ!可愛らしいです!」
リヒテンは小包の中身を見て、感嘆の声を上げた。
小包にはたくさんの緩衝材が入っており、その中にはクマのぬいぐるみと透明なプラスチックのキューブケースに入ったプリザブートフラワー(ピンクのミニバラ)と真っ白な封筒(未開封)が入っていた。
くまのぬいぐるみの左足裏には「Harrods」と刺繍がされていた。
恐らく、イギリスの有名老舗デパート・ハロッズのマスコットとして有名なテディベアだろう。
薔薇はイギリスの国花の一つである。
真っ白な封筒には、同じく真っ白なメッセージカードが入っていた。
カードを開くと、右隅に一つだけ赤いハートマークが押されており、リヒテンの公用語であるドイツ語で、
「Ich liebe dich.」(私は貴女を愛しています)と書かれてあった。
リヒテンはこのメッセージを読んで、思わず優しい笑みを浮かべて、頬を赤らめた。
「!!!!!」
スイスはリヒテンのこの表情を見て、思わず贈り主の男を射殺したい気分になった。
「ゴホン!とにかく、これは警察の鑑識に回して、不審物かどうか鑑定してもら…」
スイスは咳払いをした。
「い、いけませんわ、兄様!!これは私が頂いた物なのですから、不審物かどうか確かめるために鑑識の方々に提出する権利は私にあります。ですから、私が判断します!」
スイスの提案に珍しくリヒテンが異を唱えた。
しかも、リヒテンはスイスに正論をぶつけてきた。
「あ、ああ、そうであるな…」
スイスはリヒテンの珍しい反論に思わずたじろいだ。
「で、では、私は部屋に戻ります!」
リヒテンはスイスの一瞬の隙を突いて、小包を持ってそそくさと自室へと戻って行った。
「……はっ!しかし、リヒテンシュタイン!万が一という事も………」
スイスが正気に戻った時には、既にリヒテンは自室へと戻った後だった。
―やはり、あの御方からでしたわ。
早速、御礼のメールをお送りしませんと…。
リヒテンは小包を机の上に置くと、サイドテーブルに置いてある携帯電話を手に取った。
そして、ベッドの上に腰かけて、ポチポチと携帯メールを打ち出した。
作品名:想いよ、届け 刺繍組編 作家名:桜飴♪