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　人を食う者を許容し、何の見返りも求めずに食われている人間がこの近辺にいるらしかった。
　彼というからには男性、高校生というちょうど食べ頃の年齢で、惜しむらくには唯１人にその身を献じているようでその詳細は知れない。
　しかし飢えに苦しむ捕食者共が、食べ頃の餌という存在を知って何の行動も起こさないなど有り得はしない。
　誰に献身していようが構わない、掻っ攫って己が食うまで。
　それが凡その食人種に共通する、食われる側の権利を無視した傍迷惑な常識、もとい思想なのである。