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こらぼでほすと アッシー8

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イヴイヴとイヴの超繁忙期を乗り切ったクリスマス当日の朝は、気分的にのんびりしたものだ。もちろん、今日も店はあるが、お客様の予約は少ない。
「キリストってーのは、ある意味、可哀想な人だよな? イヴまでは騒いでもらってもさ、当日は何もないんだぜ? 」
 店の残り物のケーキを食べつつ、ハイネは、そう言う。
「今更、そんなこと、クリスチャンだけだろ? クリスマスってーのは、サンタクロースがメインなんだからさ。」
 こちらも、残り物のローストビーフで作ったサンドイッチを食べながら反論する。
 あれから、その翌日、マンションに刹那と戻ったのだが、なぜかハイネもやってきて居候した。間男稼業も再開したのだから、亭主の居ぬ間は、俺が担当だ、と、いい加減な理由をつけていたが、実際は、アッシーをするためだった。刹那は運転はできるはずだが、まだ偽造免許がない。これがないと、無免許運転で捕まってしまう。年の割りに小柄だから、チェックされやすいから厄介だ。
 刹那の偽造免許を作るまでの運転手ということで、ハイネは居座っているが、刹那は無視している。今も、親猫の横に座って、一緒にサンドイッチを食べている。
「今日は休めよ? ママニャン。」
「いいのか? 」
「いいも何も、本日、盛大な寝坊してたのは誰だ? 」
 連日、ウエイターをやって、帳簿をつけて、年少組のおやつを準備して、と、親猫はフル活動していた。そして、今日、目が覚めたのは午後過ぎだった。このブランチはハイネが準備してくれたものだ。
「よく寝たからさ。逆にいいんじゃないかと思うんだけどな。」
 今日は、予約が少ないが、店が終わってから、クリスマス仕様から年末仕様に店の内装を変える仕事がある。飾りを全て撤去して、いつもの状態に戻すだけとはいえ、結構、小物が多いから手間取りそうだとトダカと話していた事だった。
「せつニャン、ママニャンの様子は、どう思う? 疲れが残ってそうだと思わないか? 」
 自覚症状の無い親猫の意見なんて聞くだけ無駄だから、ハイネは相手を変える。
「目が、まだ開いてない。」
「ほら、子猫が、そう言うんだぜ? 」
「うーん、ちょっと身体は重いかなーとは思うけどさ。」
「だから、ここで身体をナマケモノモードにしておかないとダウンすんだよ。せつニャン、今日は監視してくれるよな? 」
「了解した。」
「俺は今日、ラボで泊まり。」
「わかった。戻りはいつだ?」
「今のところは、明後日だな。店仕舞いの打ち上げがあるから、それには参加する予定だ。」
 『吉祥富貴』の営業は、二十七日までだ。その日、打ち上げをして、新年は七日から営業する。ホストたちは、打ち上げが終われば休暇に突入する。バックヤード担当のトダカと沙・猪家夫夫は、翌日、クリーンサービスに店の掃除をしてもらい、帳簿の整理をするので、二十八日までが仕事ということになっている。
「年末は? 」
「年末年始は、ラボというか別荘で引き篭もり生活。毎年、そういうことになってるんだ。」
 独り者遊撃隊のハイネとダコスタが、休暇中のラボの責任者として交代で滞在する。今年は、そうも言ってられないだろうから、適当に割り振りして、他のものも顔を出す予定になっているが、親猫には内緒だ。
「差し入れしようか? 」
「おまえさん、そんな暇あると思ってるのか? 」
「え? 」
「トダカ家と寺に顔出ししなきゃならんだろ? 年末は、亭主がこき使うつもりで、てぐすね引いて待ってるだろうし、年明けはお里の父上様が、孫連れて帰省する娘を待ち侘びるんだぞ? ラボに来る暇なんかねぇーよ。」
 どちらも顔を出すというが、一日で終わらない。泊まって何日かは過ごすことになるだろう。となると、十日間の休暇なんてものは、あっという間に消化してしまうことになる。それを指摘すると、あーそーかーと、ロックオンも納得する。トダカは今年こそ年越ししようと言っていたし、三蔵は、顔を出せと言っていた。どちらも、すぐに終わる用件ではない。
 そして、このメンバーは、どちらもラボの仕事に関与していないから、ロックオンを引き止めておくことは可能だ。
「そう言われてみれば、そうだな。」
「まあ、俺とは、後日しっぽりと楽しもうぜ? 」
「俺にホストトークすんな。」
「いや、ほんと、嫁に貰いたいと思ってるからな。性転換しないか? ママニャン。」
「ああ? ハイネ、そこまで切羽詰ってるのか? 俺に、そんなこと勧めるよりも、どっかでいい女を捕まえてこいよ。」
「あのな、実際、おまえさんぐらい甲斐甲斐しい女性ってーのは、なかなかいないと思うわけさ。家事能力満点で、器量も良いとくるだろ? 難点は性別だけなんだって。」
「それ、三蔵さんにも言われてるよ。・・・てか、俺はノンケだ。おまえさんたちに押し倒されたら、舌噛み切るからな。」
 冗談の応酬なので、どっちも怒鳴りつつ笑っているのだが、黒子猫が、親猫の膝に座り込み、対面のハイネを睨みつけた。
「俺のおかんに、何かあったら、おまえたちは駆逐する。」
「何かって、ママニャンをレイプとかいうことか? せつニャン。」
「ロックオンの嫌がること全てだ。」
「ハイネ、刹那の前で、そういう生々しい単語はやめろ。教育上よくない。・・・刹那、今のは冗談だ。ハイネも三蔵さんも、からかってるだけだから、真剣に受け取らないでいい。」
 三蔵にしても、ハイネにしても、気楽な同居人という感覚である。どっちもノンケなのだから、そういう気は微塵も無い。ただの例え話なのだが、黒子猫には通じない。きっしゃあーと、ハイネを威嚇することはやめない。
「いいよなあー、こうやって守ってくれる相手があるなんてさ。」
 それを微笑ましいと、ハイネは頬を緩める。ハイネには、ここまでしてくれる相手はない。作戦行動なら、フェイスでも『吉祥富貴』のMS組でも、背後を任せられる相手はあるが、そういうものではない。
「おまえさんも作ればいいじゃないか。・・・刹那、重くなったな? 」
 膝に座り込んでいる黒子猫を、ぎゅっと抱き締めて親猫も笑う。こういう相手は、マイスターになるまで切り捨ててきた。ハイネが、同じようなことをしているのも解る。一度、それを持ってしまうと、それに流されるからだ。特務機関なんかにいたハイネには、それは厄介な荷物だろう。
「俺は、地道に子育てできるキャラじゃないからなあ。」
「子育てしなくても、『吉祥富貴』のスタッフとは、そういう関係に見えるぜ? お互い、いい感じに繋がってる。」
「まあなあ、そりゃ、おまえさん。やってることがやってることだから、信頼関係がないとできないさ。」
「うちのも、その延長線上だ。こいつは、最初に世話係を拝命しちまったんで、こんな調子だがな。」
 刹那がマイスターとして、ロックオンと対面したのは、刹那が十四の時だ。その前に、アレハレルヤたちの世話係もしていたから、押し付けられたが正解だ。一番古株のはずのティエリアは、刹那のことなど無視していたし、アレハレルヤは、まだ慣れてきたところだったから、必然的にロックオンしかいなかった。