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こらぼでほすと アッシー8

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「まあ、これぐらいは妥当でしょうね。」
「うわぁー俺、何にもしてないのに・・・」
 忙しくて、バタバタと過ごしていたから、クリスマスプレゼントなんて用意する暇がなかった。トダカのほうは、毎日、晩酌の肴を作ってくれてるから、それでいいよ、と、おっしゃったので、そのぐらいのことなんだろうと、コートの値段も考えていたのだ。
「別にいいじゃありませんか。お父さんからの贈り物なんだから。」
「いや、そういうわけには・・・」
「トダカさんにしたら、探す楽しみとか、着て貰ってるのを見るのが、嬉しいことだと思いますよ、ロックオン。せいぜい、親孝行してあげてくださいね。・・・それから、店の名前とか金額とかは、ちゃんと確認してください。ほら、店のロゴの上にファッションって入ってるでしょ? これは服飾関係の店です。」
「・・あ・・・すいません・・・」
「最初は、わからないと思いますが、徐々に慣れてください。悟浄、次はトダカさんです。」
「トダカさん? おや珍しい。」
 戻って来た悟浄に、すかさず次のを渡す。それを見て、ぶぶっと噴出した。
「ママニャンのコートかよ? あのおっさんもやるなあ。」
「なんで、それだけでわかるんですか? 」
 悟浄は、今、戻って来たところだ。話が聞こえていたはずはないのに、びったりと言い当てた。
「そりゃわかるさ。この金額で、トダカさんで、ママニャンの新しいコートという符号が重なってればな。」
 トダカは、仕事絡みの請求書なら、見るのも怖い金額のものを提出することもある。なんせ、酒の仕入れを担当しているから、高額商品が多いからだ。それは、大概が決まった取引業者が相手だから、それ以外のものは少ないし、金額もかさばらない。だから、高額の領収書で、服飾関係なんてものだと、おかしいと気付くと説明をされた。
「なるほど。」
「しばらくやってるとわかるようになるんだな? これが。」
 じゃあ、返却してくる、と、悟浄は、また戻っていく。経理も奥が深いなあ、と、ロックオンは感心した。



 翌日は、打ち上げだから、と、いつもより遅い時間に出勤した。今日は、無礼講だから、飲み放題なんてことになるので、タクシーを使う。
「てめぇーは飲むんじゃねぇーぞ。」
「わかってますよ。」
「てかさ、美味いもん一杯あるから、一杯食おうな? ママ、刹那。」
 今日だけは、厨房担当の爾燕も料理はしない。デリバリーを頼むことになっているし、片付けも、クリーンサービスにお任せなので、バックヤードのほうも飲みまくることになるらしい。年に一度、店での無礼講ということになっているが、主にバックヤードの慰労会というのが主目的だ。無礼講なんていうのは、どこかの筋肉脳姫とかオーナーが来店すれば、やらかしている日常茶飯事だ。だから、それ自体は珍しくない。バックヤードも何もしないというところが、ミソなのだ。

 店に全員が揃うと、まずは、ビールで乾杯なんてことから始まる。こういうのは、どこでも同じだ。未成年者は、ノンアルコールということになっているので、悟空と刹那あたりは、ジュースだ。
「キラ様、まずは一言、乾杯の音頭をお願いします。」
 ここは、『吉祥富貴』なので、責任者ではなく、トップホストのキラが挨拶する。
「お疲れ様。来年もよろしく。えーっと、初詣は一月二日。集合場所は、お寺に二時だから遅れないように。では、かんぱーいっっ。」
 一斉にグラスを持ち上げて乾杯と声を出して、一口飲むと拍手する。挨拶というより連絡事項の通達というようなスピーチは、短いので好評だ。それから、本格的な連絡事項をアスランが読み上げる。新年の開店は例年通りの一月七日。その日から十五日までは和服で接待になるので、いつもより早目の出勤をしてください、なんていう話だ。それが終わると本格的に無礼講に突入する。カラオケで、懐かしいメロディーを唸るのもいれば、がつがつと食事を平らげているのもいるし、のんびり、酒盛りしているのもいるというフリーダムさ加減だ。そして、時間が遅くなってくると、身内も乱入してくる。仕事が終わったマリューがやってきたり、アイシャがやってきたりという感じで賑やかに時間は過ぎていく。
「大晦日に返してもらうよ? 三蔵さん。」
 いつもはカウンター越しに話しているトダカと三蔵は、ソファで同じように極上の焼酎のオンザロックを飲みつつ会話している。
「わかってるよ。」
「大掃除の手が足りないなら、うちのを派遣するから働かせすぎないでくれ。」
「ああ。それなら、半日貸してくれ。本堂が大変でな。」
「いつがいい? 」
「いつでも、そっちの都合がつく時でいい。・・・・あんたの瞳に吸い込まれそうだ。」
 と、真面目に話していると思っていたら途中から、どこかで口説きモードに変っている。ロックオンが気付いて、グラスを取り上げてチェイサーに変えて渡す。
「はははは・・・婿殿から口説かれる舅って、どうだろうね? ロックオン。」
「どうって言われても。」
 そこへ、虎が加わった。
「トダカさんは仕方が無いでしょう。親衛隊があるくらい色気が残ってるんだから。」
「うちのは、そういうんじゃないんだけどね。虎さん。」
「だが、まあ、愛されるキャラクターではある。」
「俺も、それは賛成ですね、虎さん。」
「おいおい、私をおだてても、何もでてきやしないよ? 」
 あれだけの人間が、ボランティアでトダカに力を貸しているのは、魅力的な人間であるという証拠だ。今は、初老だがら、いぶし銀という雰囲気だが、きっと若い頃は、モテタだろうと推測される顔だ。というか、ここのスタッフは、誰もが魅力的ではある。『吉祥富貴』は普通じゃない、というのは、こういうところにもある。