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こらぼでほすと アッシー8

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 刹那にとってエクシアは宝物というか、一心同体というか、切っても切り離されたくないものだ。それと同等の価値と言われると、ロックオンも悪い気はしない。ニヤニヤと笑って、自分の首辺りから垂れ下がっている刹那の手をぽんぽんと叩いている。
・・・ここまではできないな・・・・
 その光景が羨ましいと、レイは眺めている。ロックオンとは、かなり親しくなったが、それでも、刹那みたいなことは言えない。
「刹那、おまえがいない時は貸してもらう。それでいいか? 」
「ああ、それでいい。」
「ロックオン、そういうことでお願いします。さて、どこへ送りましょうか?」
「マンションの往復を頼むよ、レイ。三蔵さんが帰って来いって言うから、こっちに戻ることにしたんだ。」
 やっぱり、そういうことになるんですね、と、レイは苦笑した。こうなるんじゃないか、と、先日、八戒たちと予想していたからだ。
「わかりました。ですが、年越しは、是非、トダカ家に戻ってあげてください。トダカさんが楽しみにしていたので。」
「うん、そうなると思うよ。たぶん、トダカさんが迎えに来るだろうからさ。」
 トダカのほうは、一人ではないはずだが、一緒に過ごしたいと言われている。三蔵も、それはわかっているだろう。年末は寺、年越しからはお里というのは、決まっていた予定だ。




 その日は店に出勤したものの、お客様の予定はない。ということで、のんびりモードで、スタッフたちもホールで寛いでいる。シンとキラは、悟空が好意で残してくれた親猫のシフォンケーキを食べている。
「これ、うちの母さんと同じ味がする。すっごーいっっ、ママ。」
「てか、レイッッ、こんなのあるんなら、俺も呼べよっっ。ずりぃーぞっっ。」
「だが、シン。レポートの構想が未完成だっただろ? 」
 悟空にしたら、シフォンケーキのワンホールぐらい軽いものだが、シンのために少し残して持ってきてくれた。こういうことを言うだろうと察していたからだ。それをキラが横から分捕ってしまったので、取り分は、さらに少なくなった。
「また作ってもらえばいいだろ? シン。ママは、大晦日から、そっちへ帰るんだからさ。」
「そうだけどさぁー。」
 美味いんだよーーと、がつがつと残りを食べて、シンは怒鳴っている。まあまあ、と、レイが宥めているが、あまり効果はない。

 事務室のほうには、その喧騒は届かないものの、経理の仕事をしながら、年末年始の予定について盛り上がっている。
「僕らの地域では、大晦日は水餃子を家族で作って食べるんですよ。新年は、火を使わないので、まあ、冷めてもいい料理を用意します。・・・・ですが、さすがに、僕には、悟空の胃袋を満足させるほどの餃子は作れませんので、市販のやつを、いろいろと買ってきてホットプレートで焼いてますけどね。」
 ちまちまとした餃子を作っていたら、とてもではないが年が明けてしまう。だから、そういうことにしています、と、八戒が説明する。
「俺のほうは、食事は普通でしたね。クリスマスのほうが盛り上がるから、新年は静かなもんですよ。」
 アイルランド人のロックオンとは、根本的に新年の考え方が違うから、こういうことになる。
「年越ししたら、俺らも帰るんでさ。うちの女房が、カレーとかシチューとか豚汁とか、まあ、日持ちするのを大量に作っておくんだ。だから、そっちは心配しなくてもいいぜ、ママニャン。」
「あそこは寺ですからね。初詣の客もいませんし、いつも通りですよ。たぶん、悟空は、キラくんたちと初詣に行くでしょうから、そちらにも召集がかかりますね。」
「あのー、うち、無神論者ばっかりですが、そういうのが、その行事に参加してもいいもんなんですか? 八戒さん。」
 刹那は、神様なんていない、と、言うし、過去、一応クリスチャンだったロックオンも、すでに、そっちとは縁が切れている状態だ。そういうのが、神様に新年の挨拶なんてものをしてもいいのか、気になった。
「特区の初詣なんて、そんなの気にしてるヤツはいないぜ? だいたい、キラたちだって、神様なんか信じちゃいないしさ。露店の買い食いが目的だって。」
 自らが大明神様なキラが、今更、神頼みするはずがない。悟空だって、元を質すと、神様枠だ。初詣に来られる寺社のほうが、拒否したくなる陣容に違いない。真面目に拝むのはシンくらいだろう。
「それならいいんです。八戒さん、この経費、認めてもいいですか?」
 ロックオンが請求書を差し出すと、八戒は、ちらっと見て、笑顔になった。
「悟浄、虎さんに突き返して下さい。サイフォンなんて、個人のものです。」
 虎から提出されたのは、サイフォンの請求書だ。普通の業務用なら、いざ知らず、高級すぎる金額だから、認められないらしい。
「へーへー行ってきます。」
「こういう時に提出してくるのが悪質ですよ。僕が忙しくて見落とすのを狙ってるんですからね。今年は、かなり助けてもらって感謝してます。」
 いつもなら、この時期は溜まりに溜まった請求書の整理で四苦八苦するところだが、今年は、ロックオンが処理してくれていたお陰で、スムーズに進んでいる。
「お役に立ててよかったです。」
「毎年、こんな状態なので、よろしくお願いしますね? ロックオン。」
「・・はあ・・・」
 組織に関与しないことは確定しているから、ロックオンは、ここで過ごすことになる。それを自覚させるために、八戒は、そう告げる。
「明日は、身内だけなので、開店と同時に打ち上げですから、服も、そのままでいいですよ。あなたも、明日で店は終わってください。どうせ、三蔵が用事を言いつけるでしょうから、そちらをお願いします。」
 話題を振り替えて、これからの予定を続ける。今夜は、予約が無いから、爾燕が軽食を準備しているので、そういう意味でも時間がある。整理のついたものから、入力してしまえば、本日の業務は終わりだ。おとついまでは、ロックオンがある程度、入力してくれているので、それも時間はかからない。
「これは鷹さんですね。突き返して下さい、刹那君。」
 ぼんやりしている黒子猫に、どこかの飲み屋の領収書を差し出す。この時期の悪巧みは、じじいーずたちの定番だ。
「了解した。」
 びとっとくっついていた黒子猫は、それを手にして店表へ走る。ロックオンの入力していたデータと領収書をチェックして、八戒は笑顔だ。領収書は提出させているが、精算はさせなかった。だから、その領収書のデータは抹消する。この重箱の隅を突付き倒す仕事は楽しい。
「なんで、いちいち悪戯するんだか・・・・」
「頭脳戦を楽しんでいるとか? 」
「頭脳戦というよりも、僕の管理能力の確認なんでしょうねぇ。」
 経理担当が、確認を怠っていないかを、じじいーずはチェックしているらしい。それが、いい証拠に、トダカのサインのある領収書まで出てくる。
「これ、ロックオンのコートでしょ? 」
「え? そうなんですか? 」
 クリスマスプレゼントと称して、トダカは、新しいコートを買ってくれたのだが、値段も店も、ロックオンは知らない。家で、ぽんとコートを渡されただけだったからだ。領収書を見て、ちょっと絶句した。結構、高額だった。
「こんなにすんの? 」