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【春コミ】ワールドエンド・アウトサイド【サンプル】

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飽きる、臨也は不思議なイントネーションで声を上げ、首を傾げて帝人を見つめた。赤色の瞳に射抜かれた帝人は、概念の問題だと自分の中だけで蹴りを付けて微笑む。
「恋の終わりは 飽きることにあると 思うんです」
「君の中では、恋はさしずめ流行りものかな?」
からからと臨也は笑いながら、時計を眺めて ああ と嘆息する。帝人も導かれるように時計に視線を向け、出なければならない時間だと思いながら小さく微笑んだ。
「ここ、学校から近くて良いですね」
「君を基準にして選んだから」
帝人は臨也の言葉へ曖昧に笑い、嬉しいです、と短く声を上げる。臨也は小さく微笑みながら、行こうか とコートを靡かせた。帝人はこくりと頷きながらも、暖かく熱せられた床を踏みつけ、シンプルながらも使いやすい家具が並んだ部屋から急ぎ足で出ていこうとする。臨也はからりと鍵を持ち上げ、優しく小さく笑った。
「気にいってくれたみたいで良かったよ、今のところは」
「…今のところは?」
帝人の声に、臨也はにこにこと笑みを深めて首を傾げた。帝人はそれ以上言及することも忘れ、ぱちりと瞬きを落としながらも 行かなきゃ と声を上げる。
「臨也さん、やっぱり 送っていただかなくても 結構です」
一人でいけます、帝人の言葉に、きょとんと目を丸めた臨也は、それでも引きさがることなく そう と微笑みを浮かべたまま声を上げた。
「帰る時に、メールだって やっぱりしません」
貴方がここにいない可能性の方が高いのに、連絡だけ取りたがるなんて無意味です。帝人がゆっくりと呟いた言葉に、臨也は笑いながら そう と簡素な言葉で等しく肯定を示した。帝人はやりきれなさを抱えながらも いってきます とぼそぼそとした声を上げる。
「気を付けて、帝人君」
微笑みながら、いつも笑顔を浮かべながら、臨也は帝人のためだけの、送りだす声を上げる。帝人は肩をすくめ、臨也から視線を離して溜め息をついた。臨也は笑いながら、帝人を見送る。