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心配

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「アレ、止めに入った方がよくないか?」

二人の醸し出すなんとも言えない空気に、周りで静観していた仲間の中でジタンが声をあげた。

「さあな、気の済むまでやらせればいいさ」

返された言葉自体の投げやりな印象とはうってかわって、カインの口元は珍しく微かに弧を描き、口調もどこか楽しげである。顔のほとんどを隠してしまう兜で、表情を直接うかがい知ることはできないが、おそらく穏やかな顔をしているのだろう。
そんな親友の様子に同じく優しい表情をしたセシルは、剣呑な雰囲気のままの二人を見つめ、若干首を傾け本当に不思議そうに呟いた。

「でも、どうしてライトはあんなに怒っているんだろう?」

こちらから見える限りでは、光の戦士の提案をライトニングが頑なに拒否しているようだ。二人はライトニングがコスモスに召喚された時から、あまり馬が合わない様子だったので、ちょっとした言い合いは、誰も不自然だとは思っていない。しかし、ここまでそのいざこざが長引くのは珍しい。皆が不思議がっているのはそちらの方だった。
実は一番近くで二人を見ているのは、コスモスなのだが、何故かコスモスも二人の間に入ることなくただ事の次第を見守っている。

「彼が、女性に失礼なことをするとは思えませんが……」

ユウナは、不安そうに二人の様子を他の皆と一緒にみつめていた。ライトニングと共に行動することも多い彼女でも、光の戦士の度を越すほどの誠実さと実直さは知っている。だから、彼がライトニングを怒らせたというより、彼の実直さとライトニングの強情故の悲劇ではないかと思っている。二人とも真っ直ぐ進もうとすると、どこかでぶつかってしまうものだ。

「そうそう、ヴァンと違ってね」

そんなユウナの心配をよそに、伝説の戦士(オニオンナイト)の称号を持つ少年は、悪戯っ子のような表情でそう皮肉った。何かにつけて彼に構いたがる、『兄弟』の魔の手を振り払い、肩まですくめてみせる。だが、少年にそう言われた本人はきょとんとした顔で、少年に伸ばしていた腕を頭の後ろに回して組んだまま近くの仲間を振り返って尋ねた。

「?どういう意味だ?」

本当に分かっていない様子のヴァンに、周りの仲間も、皮肉を言った少年すらも苦笑の混じった溜息を漏らした。

「(……そのままの意味だと思うが)」
「ん〜君はそのままでいいんだよ、ヴァン君」

スコールが心の中で呆れて呟くのと、ラグナが実際に口から慰めにもならない助言を発したのはほぼ同時だった。いかに少年がヴァンに辟易しているのかを知っているスコールとしては、ラグナの発言も同意しかねるものだったが、勿論口にはしない。

「フフ、そうね。ヴァンは、それが一番かも」

ティファがラグナの言に同意した意味も分からないらしく、ヴァンは直接少年から聞こうとしている。これだからヴァンは、と少年は相手にもしていない。

「でもさぁ、ライトってアイツにだけいっつもつっかかるよな」

誰に聞かせるでもなく、バッツが呟く。実際にはライトニングの機嫌が芳しくないときならば、光の戦士以外でも角が立つこともある。特にライトニング曰く、『緊張感に欠ける』面々に対しては、彼女のチェックは厳しめだ。しかし、バッツが知る限り彼女と向き合って会話(口論?)している回数が一番多いのは、光の戦士だった。

「確かに……俺達には普通に接してくれるのにな」

フリオニールもユウナと同じように少し困惑気味の表情でバッツに同意した。視線は二人に向いたままである。二人の会話は聞こえてくるが最初の方は些細な話題だったので、仲間達も気に留めていなかった。そのため言い合いが長く続いている理由の部分はほとんどの仲間は知らないので、どう二人の間に入っていいものか、計りかねているのだ。
そんな中、最年長者の威厳を見せるかのごとく、聖域に直にあぐらをかいていたジェクトが立ち上がった。

「しょうがねー、俺様が行ってくらぁ!」

作品名:心配 作家名:みりん