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心配

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変化の乏しい表情を見つめている間に、逆にライトニングのほうが居たたまれなさを感じ始めた。ただはじめは、女神を守るために前しか見ていない彼に、後ろにも横にも彼を見ている人間がいるということに気付いてほしいだけだった。彼の戦い方は、見ている仲間達のほうが疲れてしまうような強行軍をしていることがたびたびあるのでこころ優しい仲間の中には、彼の身を案じている者もいるのだ。そのような好意にも彼は滅多に甘えようとしないことに、ライトニングは彼の性質の悪さを感じていた。

ライトニングは、自身には仲間のように彼を素直に心配できないことを知っている。彼らの分かりやすい素直な心配にも鈍い彼が、分かりにくい不自然な自分の行動に気付くとは初めから思っていなかったはずなのだが、どこかで思わず感情が噴出してしまったようだ。

伝わりはしない感情から、これ以上休息の時間を削ることに意義を感じなくなってきたライトニングは、小さく嘆息をつき彼とコスモスのもとを離れようと、踵を返した。
すると、銅像のように立ち尽くしていた光の戦士が、今気がついたかのようにライトニングを呼び止めた。

「待て、ライトニング」
「……なんだ」
「分かった、君の言葉に甘えよう。武器の手入れも、しなくてはならないしな」
「最初からそう言え」

真っ直ぐに自分に向けられた言葉に、嬉しさか気恥ずかしさか満足か分からない気持ちがこみ上げてきて、ライトニングはわずかに俯いて口元だけで笑った。
作品名:心配 作家名:みりん