笑いの王国
「ちょ……とまらなっ……あはは、あはは、……あは……あれ……っ? おかしいですね、なぜか涙が……止まらな……」
両目からぼろぼろとあふれる涙とともに笑いも止まらない。
困惑しつつなおも泣く日本を止めもせず、大阪は穏やかに笑みを浮かべた。
「笑いと涙は究極的には同じもんやさかい。おんなじようにここに響くんです」
とんとん、と。
右手で軽くたたいたのは、誰もが鼓動を奏でる場所。
温かな体温(ねつ)と豊かな感情を約束する場所に手を置いて、大阪はにっこり笑った。
「やから、遠慮のう泣いたってください。我慢してもええことないさかい」
その言葉で堰を切ったようにあふれ出す何か。
それをもうこらえもせずにうなだれる。
自分がひどく情けなくて申し訳なかった。
迷惑や心配を山ほどかけているのが心苦しい。
「わたし……なさけない、ですね……いつもあなたがたに心配をさせて……」
せめて必死に思いを紡いで謝ると、大阪はゆっくりと首を振ってひどく真剣な表情をした。
「ええんですよ。そのために俺らはいるんですから。それこそ遠慮のう使ったってください。俺ら関西広域連合かて、日本さんには協力惜しみませんから! どーんっと大船に乗った気ぃでいてください!」
「ありがとう、ございます。心強いです」
力強い応援の言葉に肩の力が抜けてゆく。
笑みとともに礼を述べると、大阪は照れながらも力強く宣言してのけた。
「ほなら、この大阪一世一代の大舞台、とく見といたってください!」
【おわり】